新社会人に贈るSNSマナー講座 - 第2回

どうする!?上司からの友達申請/仕事関係者への友達依頼はあり?

文/高橋暁子


 「上司から友達申請がきたけれど、スルーしてもいい?」「クライアントに友達申請をするのはあり?」――こんな疑問を抱いたことがある社会人は多いだろう。

 産業能率大学が実施した2015年の新卒社員の意識調査によると、SNS利用者に「上司から友達申請があったらどう思うか」を尋ねたところ、「嫌だ」(16.1%)、「どちらかというと嫌だ」(39.6%)と過半数が嫌という結果となった。特に女性は「嫌だ」(19.3%)、「どちらかというと嫌だ」(43.1%)と、3分の2が否定的な回答をしている。

 今回は、多くの社会人が悩むSNSにおける友達申請について考えていこう。

突然、上司や同僚から友達申請が! 一体どうすれば?

Facebookは「使っていない」は通用しない

 学生時代のSNSは自分を表現するため、友達付き合いのために自由に使える。ところが、社会人になるとそうではなくなり、SNSにおいても会社の一員としての振る舞いを求められる。書けることも限定されるし、上司や同僚、クライアントなど利害関係者からの視線があることを自覚する必要がある。

 SNSにおける振る舞いは、リアルの人間関係に影響する可能性がある。たとえば、上司や同僚から友達申請がきたら、スルーは絶対にしてはならない。必ず何らかの対応をする必要があるのだ。特にFacebookは実名で顔写真を掲載して使うことが多いため、「知り合いかも」に表示される可能性が高く、「使っていない」という言い訳は通用しないと思ったほうがいい。

 なお、LINEを仕事で使いたくない場合は、設定→「友だち」→「友だち追加」「友だちへの追加を許可」をオフにしておけば、いつの間にか上司や同僚がLINEの友だちになっているという事態は防げる。LINEで仕事関係者と友だちになりたくない場合は、「LINEより電話の方が連絡がつきやすいので、電話で連絡してほしい」など代替手段を提案するのがスマートだ。

上司の友達申請を受ける場合、断る場合の対策とは

 「上司からFacebookで友達申請がきて仕方なく受けたら、『君は“いいね”をしないんだね。投稿を見ている?』と“いいね”の強要をされた」「上司と友達になった後、Facebookでプライベートのことを投稿したら、上司に仕事の場で『毎週末楽しそうでいいな』と嫌味を言われた。それ以来、プライベートのことが投稿しづらい」といった話は珍しいことではない。

 上司や同僚からの友達申請を受ける場合、「Facebookでの振る舞いは仕事への評価に反映させないでくださいね」などと断っておくと安心だ。「いいね」を強要されたり、投稿内容について文句を言われたりしないように、予め牽制しておくというわけだ。

 それでも上司や同僚とつながるとやりづらいのは確か。そのような場合は、上司や同僚とは友達になるだけでお互いに投稿が表示されない設定にすると気が楽になるかもしれない。パソコンで相手の投稿の右上にある「下向きの矢印」→「○○のフォローをやめる」をクリックすると、友達のままだが相手の投稿は表示されなくなる。

フォローをやめると相手の投稿が表示されなくなる。

 また、ホームの左カラムから「友達」をクリックし、リストの一覧から「制限」→「リストに友達を追加」で、上司や同僚を制限リストに追加すれば、相手には全体公開で投稿した投稿しか表示されなくなる。プライベートな投稿は「友達」まで公開するようにすれば安心だ。

制限リストに追加した相手には、「友達まで公開」の投稿を見せずに済む。

 仕事相手とはFacebookではつながらないという方法もある。一度つながってしまってから友達関係を切ると相手への心象は悪くなるので、つながる前に断るようにしよう。友達申請をもらったがつながりたくない場合は、「Facebookはプライベートで使っているので(あまり使っていないので)、代わりにTwitterでつながっていただけますか?」のように、他の代替手段を提案するといいだろう。関係性を拒絶しているのではないことが伝わるため、問題になりづらくなる。

仕事関係者に友達申請はあり?

 SNSに対するスタンスは人によって異なり、「友達」になる範囲も人によって違う。仕事関係者に友達申請する場合は、まず相手のスタンスを確認する必要があるだろう。特に、上司から部下に友達申請する場合などは、パワハラと感じられてしまう可能性もあるので注意が必要だ。

 いきなり申請などはせず、対面の場で「Facebookは使っていますか。友達申請を送ってもいいですか?」などと確認するといいだろう。相手から許可をもらってから申請すれば問題は起きない。

 直接対面しづらい相手でも、友達申請してもいいかどうかは相手のFacebookの使い方を見ればおおよそ見当はつく。友達が極端に少ない人は仕事相手とはつながっていない可能性が高く、逆に友達が多く投稿を全体公開にして積極的に使っている人は申請しても問題ない場合が多いので、参考にしてほしい。

筆者プロフィール:高橋暁子

 ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、監修、講演などを手がける。SNSや情報リテラシー教育に詳しい。主な著作として『Twitter広告運用ガイド』(翔泳社)、『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎エデュケーション新書)、『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)など多数。

■関連URL

公式サイト「高橋暁子のソーシャルメディア教室」