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2017/02/08

いますぐ読みたい「働き方ブック」レビュー - 第1回

ヤバい職場は「地図化」せよ!? 過労自殺を防ぐための改善法教えます



『職場の問題地図 「で、どこから変える?」 残業だらけ・休めない働き方』沢渡あまね著

政府が推進する「働き方改革」の波に乗り遅れまいと、いま書店では働き方関連本が山積み。しかし、いったいどれを読めばいいのだろう……? この連載では百戦錬磨のブックレビュアーが働き方改革やスマートワークに役立つ「働き方ブック」を厳選して紹介! 初回は、職場の問題は「地図化」して解決せよと説く一冊。

文/成田全


寝ないで作れば面白くなる?

 以前、あるテレビ番組が「面白くない」と記事で批判されたことを受け、番組関係者がネット上で「スタッフはみんな寝ないで頑張って作ってるんだ」と反論したことがあった。しかしふと疑問が湧いた。「それで本当に面白い番組が作れるのか?」

 2016年、大手広告代理店「電通」の新入社員の過労自殺が契機となり、違法な長時間労働の問題がクローズアップされた。政府も「働き方改革」で残業規制に重点を置く長時間労働抑制策を検討するなど、常態化している長時間の残業やワークライフバランスに関する問題の解決は喫緊の課題となっている。

 しかし現場では「どうやったら解決できるのか?」「忙しくてそんな暇がない」と問題を先送りしたり、「そもそも何が原因なのかわからない」「残業を減らしたら仕事が立ち行かない」といったさらに劣悪なケースもあることだろう。しかし改善をしないとさらに悪い状況になりかねない。そこで職場の問題を明らかにし、解決する参考にしてほしいのが、業務改善・オフィスコミュニケーション改善士である沢渡あまね氏の『職場の問題地図 「で、どこから変える?」 残業だらけ・休めない働き方』だ。

“残業規制”と“研修”だけでは改善できない

 本書は冒頭で「ワークライフバランスの向上」のための施策として、多くの会社が行っている残業規制のような「制度」と、コミュニケーション改善のために行われる研修のような「個人スキル」の強化だけでは不十分だと言っている。それは制度と個人スキルが働く「個人」に依存しているだけで、現状は「職場の根本的な問題に蓋をしたまま、そこで働く個人の気合と根性にひたすら頼っている脆弱な状態」にあり、本当のワークライフバランスを実現するには「制度」と「個人スキル」に加え「プロセス」と「場」が必要であると指摘している。

 さらに「仕事をする」=「インプットを成果物に変える」ことと定義、「目的」「インプット」「成果物」「関係者」「効率」という「仕事の5つの要素」を軸に、職場で何が問題になっているのか具体的な問題を挙げ、その原因をひとつひとつ浮き彫りにしていく。

 本書では以下の11個の問題をピックアップ、解決法を探る。どこの会社でもひとつは心当たりのある問題があるはずだ。

  • 頼まれた仕事が戻ってきてしまう「手戻り」を防ぐには
  • 上司と部下の「意識のズレ」はなぜ起こるか
  • 「報連相」には何が必要か
  • 「無駄な会議」と「会議の無駄」を減らす有効な対策
  • 効率を上げて仕事の「所要時間」を短縮する方法
  • “◯◯さんじゃないとできない”という仕事の「属人化」
  • 「過剰サービス」の断り方
  • 「何をどこまでやればいいのか」の線引き
  • 「仕事をしない人」の処し方
  • 「誰が何をやっているのかわからない職場」の改善法
  • 「現場の声」がなぜ上司や経営層へ届かないのか

問題と原因を特定し、改善する

 これらの問題を解決するには、まず「自分の会社の問題はどこにあるのか?」を「地図化」することから始めることだ。1人ではなく、上司・同僚・部下・他部署の人たちと一緒に、ホワイトボードや模造紙に問題を書き出し、ワークショップ形式でやること、そして会社外部の意見を聞くことも大事だと著者はいう。

 問題は会社ごと、部署ごとに違う。少しのズレが重なって大変な状態に陥っていることや、勘に頼っていること、マニュアルがなく一から始めないといけない仕事、職場で慣例やなあなあのまま引き継がれていること、会社の悪しき文化として定着していることなど、何が問題なのかをはっきりさせ、足かせになっている原因を具体的に列挙し、今後どう対応するかを考える。そして総意としてまとまった「定義」を決め、やってみてどうなったかを「測定」する。測定した内容はきちんと「報告」し、「改善」すべき点を精査する。それを再び新しい「定義」として立てる……とサイクルを回していかねばならないのだ。

 本書を参考に冒頭のテレビ業界について考えてみると、個人の「経験」と「勘」に頼りすぎで、本来ならマニュアル化できる単純な仕事が、引き継いだ人のやり方や好みが積み重なってブラックボックス化し、一からやらねばならない無駄な仕事が増え、結果的に時間が足りない、その状況が嫌になって辞めてしまう人が後を絶たない状態になっているのではないかと推測できる(もちろん他にもいろいろあるだろうが)。

 テレワークや時短勤務など多様な働き方が求められている今、無駄を省き、効率を上げ、誰にとっても働きやすい職場環境を改善することは、働く人すべてを幸せにする。「忙しいから」を言い訳にせず、すぐに取り組んで欲しい。

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。文学、漫画、映画、ドラマ、テレビ、芸能、お笑い、事件、自然科学、音楽、美術、地理、歴史、食、酒、社会、雑学など幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1500人以上を取材。

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