1万人の会社員・公務員アンケートでわかった残業実態



残業は平均18.3時間、残業の理由最多は「生活費を増やしたい」

長時間労働が問題となっている昨今。時間短縮に向けての働き方改革の議論が続く中、現在の残業時間や残業そのものへの考え方に対する1万人規模の調査結果が公開された。

文/陣武雅文


平均的な残業時間は、1カ月10時間以内が半数を超える

 残業時間に上限を設けるといった議論が政府内で進められているが、この上限時間に抵触する企業や従業員がはたしてどのくらいいるのか? というデータはあまり見かけない。

 そんな中、メイテックグループのall engineer.jpが運営するエンジニアのキャリア応援マガジン「fabcross for エンジニア」が、20〜59歳の公務員・会社員1万145人を対象とした残業に関するアンケート調査を行い、その結果を公開した。調査は平均残業時間、理想と考える残業時間、残業に対する考え方などについて行われ、現在の社会の残業に対するリアルな声が聞こえてくる結果となっている。

 1カ月の平均的な残業時間では、1〜10時間が35.9%と最も多く、残業なしの21.3%と合わせると、月10時間以内と答えた回答者が半数を超えていることがわかる。

平均的な1カ月の残業時間。

 残業時間が11〜20時間と答えた回答者は15.6%となり、月20時間以内を合計すると7割以上の人がこれに該当する。月の就労日数を20日とした場合、7割以上の労働者が残業は1日1時間以内となっていることになる。

 また、36協定の上限である45時間以上の残業をしていると答えた回答者は10.9%、そして2.1%が100時間以上と答えている。

平均的な1カ月の残業時間が45時間以上の割合は10.9%。

 この10.9%という数値をどう受け止めるかは定かではないが、10人に1人が上限時間を超えた残業をしている現実が浮かび上がった。

理想とする残業時間は月平均11.8時間

 理想とする残業時間は、残業ゼロが31.8%、1〜10時間が33.7%と、10時間以内と答えた回答者だけで65%を超えている。

理想的な1カ月の残業時間。

 この回答の平均値は11.8時間。1カ月の平均的な残業時間の平均値が18.3時間であったことから、現状の残業時間は理想とする残業時間よりも6.5時間多いという結果が導き出される。しかし、回答者の22.7%は平均残業時間よりも理想とする残業時間を多く答えており、2割以上の回答者が、現在の残業時間よりも多く残業することを望んでいるという結果も出ている。

 では、残業時間は何時間になると多過ぎると感じるのだろうか。この調査結果では、10時間までで22.9%、30時間となると半数以上は多過ぎると感じるという結果が出ている。回答者のうち9.2%は、多過ぎると感じる残業時間よりも平均的な残業時間のほうが多く、現在の残業時間が多過ぎると感じている人が約1割いることも判明した。

残業する要因は収入を増やしたいためという結果

 なぜ残業をするのかという要因についての調査も行われている。残業をする要因の中で「非常に当てはまる」「やや当てはまる」の合計が最も多かったのは「残業費をもらって生活費を増やしたい」の34.6%となっている。つまり、3分の1以上が、生活費を増やしたいという理由で残業している。前述した理想の残業時間の項で、もっと残業したいとする人が2割以上いたことからも、生活給としての給与不足を残業で補いたいと考えている人が多く存在することが伺える。

 また、残業の要因が自分の能力不足によると答えた人は、「やや当てはまる」までで28.9%いるという結果だ。この残業の要因については、仕事量についての設問はないので、適切な作業量が割り振られているにも関わらず残業となっているのか、従業員のキャパを超えた仕事量で残業となっているのか不明だ。

残業をする要因。