ビジネスで成功した女性は●●を買いやすい?〜女性活躍推進の大規模調査から



5400人の大規模調査からみる女性の思いと職場の実態

トーマツ イノベーションと東京大学 中原淳准教授による共同調査研究プロジェクト「女性の働くを科学する」において約5400名を対象にした大規模調査が行われた。その結果によれば、女性の仕事観は男性とは大きく異なることも多いという。

文/陣武雅文


実務担当者期は男性よりもやりがいのある仕事を求める傾向

 トーマツ イノベーションと東京大学 大学総合教育研究センター 准教授の中原淳氏による共同調査研究プロジェクト「女性の働くを科学する」において、5402名を対象とし、男女それぞれの管理職・リーダー・実務担当者の6つの属性における、仕事への向き合い方や取り巻く実態などについての調査が行われた。女性の仕事観や職場観、昇進時の戸惑いなどが男性と大きく異なることが判明したという。

 まず実務担当者期に置ける仕事観については、「大変でもやりがいのある仕事」を重視する女性が男性よりも多く、男性が18.5%なのに対し、女性は30%となっている。他の選択肢では、男性が将来や仕事への評価、あるいは給与などの見返りなどが女性が選ぶ割合より多いのに対し、女性は仕事にやりがいを求めていることがわかる。

 また、この実務担当者期、「できるだけ長く仕事を続けたい」と思う割合も、男性より女性のほうが多いという結果となった。

実務担当者期における仕事観。

 次に、女性たちがその職場で働き続けたいと思う要素としては、「平等に機会を与えてくれる」が最も多く、続いて「責任を持って仕事に取組み、互いに助け合う」「残業を見直す雰囲気がある」となっている。

女性が働き続けたいと思う職場の特徴。

 また、昨今の働き方改革で声高に言われている、既婚女性や子育て中の女性に対する柔軟な働き方へのサポートや、女性の昇進を奨励するといったことは、女性が働き続けたいと思うかどうかには影響しないという結果も出ている。

リーダー時期の戸惑いと、管理職昇進の受け入れについての男女差

 実務担当期を経て、部下などを持つリーダーへ昇進した頃はさまざまな戸惑い(リアリティショック)を生じさせる。この戸惑いは男女ともに生じるが、その戸惑う要因が男女で異なることが明らかになった。

リーダー昇進期に受ける役割移行に伴う戸惑い。

 男性がプレイヤーとマネージャーの役割バランスや人材活用、ネットワーク作りにおける課題が大きいのに対し、女性は曖昧な状況や葛藤、板挟みといったメンタル面での課題を感じる割合が多くなっている。さらに、この戸惑いは、管理職や昇進に対してネガティブな印象があると高まることが多く、女性の場合、「ビジネスで成功した女性は妬みを買いやすい」と感じる傾向が強いことも調査結果から判明した。

リアリティショックを高めるもの。

 さらに、昇進についての考え方、引き受けた理由についても男女で大きな差がある。男性は、昇進したいと考えていたり、昇進することが社会や会社から認められることであると考えていることが役職を引き受けた理由であるのに対し、女性は上司のために役職を引き受けざるを得ない状況になったという理由が最も大きいことがわかった。

管理職の役職を引き受けた理由。

 これらの調査結果がすべての女性に当てはまるわけではないが、現在行われている女性活躍促進の施策は本当に女性が望んでいることなのか、再考する必要があるようにも思える調査結果となっている。