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2017/04/21

ビジネスバズワード - 第10回

定着するか?「プレミアムフライデー」 鍵を握る生産性向上への取り組み



働き方改革=労働時間の短縮ではない

注目は集めたものの、まだ浸透にはほど遠い「プレミアムフライデー」。働き方改革と連動し、労働時間の短縮に向けた取り組みのひとつですが、そもそも働き方改革の目的と合致しているのでしょうか?

文/まつもとあつし


半ドンから花金まで労働時間短縮の歴史

 今年2月から始まった「プレミアムフライデー」。国や経団連を中心に、月末の金曜日を軸に15時頃に退社することで、「個人が幸せや楽しさを感じられる体験」を得るための時間の創出を目指したものです。皆さんの会社では参加への動きはあるでしょうか?

 スマートワーク総研でも2月にはプレミアムフライデーに各社が企画したイベント等を特集しました。初のプレミアムフライデーはテレビニュースなどで大きく取り上げられ、注目を集めました。けれども、2回目となる3月は年度末最終日と重なったこともあり、「それどころではなかった」という会社も多かったようです。

 飛び石となっている祝日・休日を月曜日に移動するハッピーマンデー制度もある中、今度はなぜプレミアムフライデーなのか? その背景には明治時代から脈々と続く労働時間短縮に向けた取り組みがあります。

 会社で働くけれども、早めに皆が退社する制度としては、1876年から官公庁が土曜半休となったことが日本での起源とも言われています。これを、オランダ語で休日を指す「zondag」がなまって「ドンタク」、その半分なので「半ドン」と呼ばれたという説が有力です。ちなみに博多どんたくは、戦後復興の一環として休日に開催されたお祭りがそのはじまりです。マンガ「はいからさんが通る」では、土曜日の午後に鳴らされていた空砲の「ドン」という音が語源として描かれてもいます。

 1980年代には「日本人は働き過ぎだ」とするアメリカからの経済要求も背景に、週休2日制が導入されました。これが定着するにつれ、「半ドン」という言葉は使われなくなりましたが、金曜日の15時に退社するという考え方は、かつての半ドンに通じるものがあると言えそうです。バブル経済期には、金曜日の夜を指して「花金」と呼ぶことも流行しました。週末の前日、翌日も仕事がないというのは、たしかに充実した時間を過ごすには適したタイミングではあるでしょう。

 けれども2017年の現在、「プレミアムフライデー」は必ずしも皆が導入に向けて動き始めているという様子があまりありません。一体何が足りないのでしょうか?

次のプレミアムフライデーは連休直前の4月28日(金)に設定されている。

単なる「働く時間の短縮」を超えるには?

 このプレミアムフライデー、元々は「働き方改革」の動きと連携したものです。今秋以降、関連法案の審議も始まりますが、そこで中心となっているのは残業時間の削減です。しかし本来、働き方改革とは、労働時間をいかに短くするかということが本質ではなく、生産性を維持・向上しながらワーク・ライフ・バランスを実現し、出生率を向上させ、少子高齢化(人口オーナス期)への対応を進め、日本の将来の国力低下を防ごうというものです。

 たしかに残業時間・労働時間は、数字で図りやすい指標となりますが、スマートワーク総研での各種インタビューで識者の方々が語っているように、「本来手段であるはずの数値目標の達成が目的化すると、取り組みが歪む」というリスクがあります。

 プレミアムフライデーに象徴されるような、働く時間の短縮は、短期的には働き手の手取り収入の減少を招きます。実際、働き方改革を巡る街の声も収入の減少を心配するものが増えているようにも感じられます。

政府の働き方改革実行計画にも、長時間労働の是正は謳われているが……。

 明治時代の「半ドン」、バブル経済期の「花金」に共通しているのは、その当時の好景気です。景気が良く収入が安定しているからこそ、人々はその時間を積極的に消費に投じたと言えるのではないでしょうか?

 働く時間の短縮=手取り収入の減少としないためには、企業活動の生産性向上=収益の拡大とセットであることが求められます。働き方改革に成功した企業の中には、ボーナスとしてそこから生まれた収益を従業員に還元する動きも出てきていますが、まだ一部に留まっています。プレミアムフライデーを本来の意味、つまりワーク・ライフ・バランスを向上させていく方向に活用するためには、時間だけでなく、そのために使えるおカネあってこそ、なのです。

 「残業時間」に対する規制が厳しくなる中、働く時間を短くしながら生産性を高めていくという難易度の高い取り組みを企業は続けていく必要があります。また同時に国も規制だけでなく、生産性を高めていこうという企業の取り組みを一層支援していく仕組みを整備していかなければならないはずです。一見華やかな「プレミアムフライデー」の背景には、働き方改革が私たちに求める高いハードルも控えている、と言えるのではないでしょうか?

筆者プロフィール:まつもとあつし

スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。

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