4社の情シスがこっそり語る「ウチの働き方改革事情」〈前編〉



働き方改革のキーマン“情シス”覆面座談会

「クラウド導入NGの理由は“法務が英語喋れない”から」「親会社の事例を見せても『私たちは日本の会社です』と一蹴される」――働き方改革の潮流に乗り遅れまいと、率先して改革にチャレンジしている情報システム部門の担当者にお集まりいただき、覆面座談会形式でそれぞれの働き方改革事情をこっそり語っていただいた。

文/編集部


働き方改革の最前線に立っているのは情シスだ!

 企業に迫る働き方改革の波は日ごとにうねりを増している。もはや待ったなしの情勢だが、働き方を変えることは“仕事のやり方を見つめ直す”ことでもあるため、一筋縄では行かないのが実情だ。そのなかでも業務遂行のために必須なPCやスマホ、そしてネットワークなどを管理する情報システム部門は、働き方改革で最も大きな役割を果たす部門のひとつだ。今回は「働き方改革の潮流に乗り遅れまいと、率先して改革にチャレンジしている情報システム部門の担当者」に集まっていただき、それぞれの現状、チャレンジの内容・成果・今後の課題など、幅広く語っていただいた。

―― まずは皆さんの自己紹介から始めましょう。全員情報システム系の部門に在籍していらっしゃるところまでは変わりませんので、大まかな業種とご自身の担当分野などを教えてください。

Aさん はじめまして。業種は広告業のAです。私の所属する部門では、運用からアプリ開発までITに関わることをすべてやっています。ちょっと他と違うかなと思うのは、アジャイル開発手法の1つであるスクラムを取り入れつつ、ほとんど内製でやっているところでしょうか。管理端末は、WindowsとMacが250台ずつぐらい、そしてiPhoneが500台程度です。また、最近は働き方改革ということで、人事などとの連携が多くなってきたかなという感じです。

Bさん うちは商社で、所属部門ではグループ会社含め約2000人のITを見ています。私の担当範囲は主にグループウェア全般です。現在の課題は、新旧のツール群を社員が用途によって使い分けしなければならない状況であること、そしてシステムやツールの機能に比してルールが古く、運用が追いついていないことですね。

Cさん 私の会社は金融業で、所属部門ではパソコンやサーバ、ネットワーク機器、ディレクトリ管理、グループウェアなど、ITインフラ基盤全般を担当しています。私は、情報システム部門には10年ほど在籍していて、今の担当は、iPhoneやiPad、MDM、ディレクトリ同期、ファイルサーバです。社員数は1000名ほどで、パソコンも1000台、iPhone・iPad合わせて900台くらい管理しています。私が課題だと感じていることは、巷で働き方改革が叫ばれているご時世にも関わらず、従来の働き方から脱却できずにいることです。

Dさん 私の会社はサービス業で、扱っているPCは3000台ぐらい、iPadが1000台、iPhoneは500台という規模感で、情シスのメンバーは隣のEさんも含めて5人です。たぶん会社の規模からすると少ないと思います。基本的にはヘルプデスクも含めて全部アウトソーシングしています。

Eさん Dさんと同じ会社のEと申します。今年3月に入社したばかりで前職はSIer、つまり法人にシステムを提供していた側の人間です。ただ、社内システムの運用技術を担当していましたし、実はSIerの働き方改革に取り組んでいた経験もあります。

匿名座談会出席者一同。貴重なエピソードを多数語っていただいた。

電話をソフトウェアフォンに変えたらまさかの……!?

Aさん。業種は広告。所属部門では従業員のIT管理のほかアプリ開発なども担当する。最近、働き方改革に伴い人事などとの交流が増えてきた。

―― ありがとうございました。ではさっそく皆さんの会社の働き方改革事情をお伺いしたいと思います。最初は、アウトソーシングの結果、すでにコンパクトな情シスとなっているDさん、Eさんに現状を語っていただければと。おそらく皆が目指すべき内容になっていると思うのですが。

Dさん まず働き方等については、2年前に「Notes」から「Office 365」に切り替えたので、基本的にメールサーバーやファイル共有などについての改善はだいぶ図られていて、目には見えていませんが情シスの負担も大きく緩和されていると思います。Notesをオンプレミスで使っていた時代と比べると、業務が停止するような障害もほぼなくなってきているので。

 Office 365になり、会社に戻らなくても外出先からiPadでメールが見られるようになったことで、利用者の働き方も大きく変わってきたなと思います。あと、iPadからリモートで自席のPCにログインする、リモートデスクトップのようなものも提供しているので、社員はiPad越しにWindowsを操作して基幹システムから決裁などができます。要するに、どこからでも一応決裁できるようになったことで、お客様へのメール返信ですとか、決裁者が外出中でも業務が滞らないようになりましたので、インフラとしては“つぎはぎ”ですけれども、一定の評価はあるだろうなと思っています。

 セキュリティ上はどうなのかという話もあるのですが、リスクはある程度カバーできていれば利便性というか、効果の方が大きいと感じているところです。

―― なるほど、ハンコをもらうために書類がオフィスを飛び交うような状態から解放されているのですね。

Eさん 私は現職より、前職のところでどういった取り組みをやっていたか少しお話ししますと、お客様に対してソリューションを提供する関係上、実は社内でもかなり実験的なことをやっていました。たとえば社内システムをすべてAWSに持っていき、実際にほとんどすべてのシステムが動くというところまでは確認しました。インフラ面をクラウド化させることは私のミッションとしてあるのかなと思っています。また、コミュニケーションラインはOffice 365を導入した上で、マイクロソフトの「Skype for Business」を全社で展開し、内線を全部取っ払って全部ソフトウェアフォンに変えましょう、ということもやりました。

―― それは大胆ですね。

Bさん。業種は商社。所属部門では従業員約2000人のITを管理しており、Bさんはグループウェアを担当。日々進化するシステムやツールに対して社内ルールが追い付かないことを悩みに思っている。

Eさん そこで最も大きな問題になったのは、受話器を取って顔に近づけて話すという“あの仕草”がないと、みんな電話をしなくなっちゃうこと。ヘッドセットでやろうとしてもなかなか……最終的には電話を使わずチャットに流れたという経緯があります。社外とのやり取りなどでは使うのですけれど、そのほかはチャットに流れていって、電話としての利用は少なくなったという経験があります。

 実際に導入するにあたっては、日本マイクロソフトさん含めていろいろと話を聞いたのですが、日本マイクロソフトさんはチャットに流れず、みんなヘッドセットを付けて音声・映像によるコミュニケーションをしているようです。しかし実際の現場(一般企業)にとって、ヘッドセットを使った音声通話は、やはり一段ハードルが上がるかなと思います。若い人でもスマートフォンでテレビ電話みたいな使い方をしているわけではなく、いわゆるLINEなど文字チャットの世界ですよね。どちらかというと、そちらの方へ人のコミュニケーションラインが移ったかなという感はあります。

―― 電話からチャットに流れたことで、社内コミュニケーションがおろそかになったとか、そういうことは特にないわけですか?

Eさん 業態によっては電話じゃないとコミュニケーションが取れないみたいなところも多いと思いますが、SIerのような会社ですとプロジェクトメンバー内だけでコミュニケーションが完結しちゃう部分が大きいので、数人~十数人でコミュニケーションを取っている限りでは、実はチャットだけで済んでしまうというのがあったかなという気がします。不便とか便利という観点ではなくて、自然とそうなったという感じの方が強いかもしれません。

「プロセスのデジタル化に遅れたせいでフォーチュン500から半分が脱落」

―― Dさん、Eさんの例はほぼ理想形と言ってよいと思いますが、Aさんの会社はいかがでしょうか。

Cさん。業種は金融。所属部門では約1000人のITを管理中。Cさんの担当はモバイルデバイスとディレクトリ同期、そしてファイルサーバ。自社が働き方改革に乗り遅れつつあることを課題と感じている。

Aさん Dさん、Eさんと一緒で、プロセスのデジタル化がやっぱり必要かなと。去年、サンフランシスコでファイル共有サービス「Box」のイベントに参加したのですが、そこでCEOのアーロン氏が、「2000年のフォーチュン500にランクインしていた会社の半分ぐらいが、プロセスのデジタル化に遅れたせいで、いなくなっちゃった」みたいなことを話していたのを聞いて、“やっぱり今年はやろう!”と考えています。

 実際、ペーパーがネックになるので、これからは先日購入した電子サインサービスを使って、プロセスのデジタル化を実行したいと思います。そこが一番、費用対効果が大きそうでもありますし。

―― 電子サインサービスは何を使おうとされていますか?

Aさん うちは「DocuSign」にしましたね。

―― DocuSignにした理由みたいなものはありますか?

Aさん 現在、「Salesforce」とBoxを使っているのでステータスが自動的に連携できて、なおかつ外との合意文書が紙ではなく電子サインで済みます。あとリマインドをくれたりなど、欲しいものが揃っていますね。Docu“Sign”と命名されてはいますが、実際に使ってみると、このサービスはプロセスを自動化するための仕組みだったので。実は他社の電子サインシステムと両方試してみたのですが、DocuSignの方が価格は高いものの、業務プロセスを自動化するための仕組みとして捉えた場合、魅力的にみえました。

Bさん 書類などのワークフローも、すでに全部Salesforce経由だったのですか?

Aさん いいえ、もう全くペーパーで、今までノータッチでした。実はここ数年、外向けのソリューション開発に追われていて、内はほったらかしだったんですよ。そこで今年はレガシーなものを潰していこうかなと。

「業務フローは変えたくないけれど、働き方は変えたい」は虫の良い話!?

Bさん DocuSignではないのですが、弊社の法務でもやはり電子サインを検討しているようです。今も“書類を回してハンコを集める”的な承認方法が一部残っているので、「電子化したいから良いソリューションはないですか?」という相談が来ていましたが、まだ導入には至っていません。

 課題は、弊社は見積管理システムや受注管理システム等の基幹システムで昔から同じシステムを使っているため、業務が変えられない、ということが挙げられます。

 また、業務部門は変化を望みませんが、営業は外に出ているので、今のままだと使いにくいから変えてほしいという意見もあり、相反する部分があって、新しいシステムへの移行はまったく進んでいません。既存のシステムと新しいソリューションを組み合わせて、モバイル対応させるかとか、そういったことに知恵を使っているような状況ですね。しかしこれがなかなかうまく行かず、何年も滞っています。

―― 何年も、ですか……。

Dさん。業種はサービス業。所属部門では約3000台のPCのほか、iPad1000台、iPhone500台を管理中。積極的にアウトソーシングしていることもあり、会社規模は大きいが所属部門の構成人数はわずか5名。

Bさん 私、実は今の会社に入社したのが5年前なのですが、Eさんと同じくSIerでNotesのインフラエンジニアでした。ところが転職して早々、「NotesをやめたいからOffice 365に変えて」と言われまして、転職最初の仕事が、長年愛し続けたNotesからOffice 365に移行するという内容で……。

一同 (笑)

Bさん そのとき、なぜNotesをやめたいという話が出たかと言いますと、“外からアクセスしづらい”というところが一番大きくて。営業マン全員がPCを持ち歩かなければならないという状況を変えたかったのですね。それで一部のコミュニケーションツールは変わったのですが、業務システム部分はまったく変わらないので、結果的に現在の営業マンはスマホとPCをワンセットで持って行って、普段はほぼスマホでどうにかなるのですが、アシスタントさんなどから承認依頼が届くとPCを開く……という状態です。もう5年前に見えた課題にもかかわらず未だ100%の解決には至っていません。

―― その課題を解決できるタイミングと言いますか、どういうことが起きれば解決するのでしょう。トップの一言だけで実は何とかなっちゃうものなんでしょうか。それとも他に何かありますか?

Bさん 業務システムの問題ではなく、なんといいますか“業務自体”を変えないと、システムを変えても変革できないのではないかと、私は思っています。

―― ああ、本当に働き方改革が必須なのですね。

Bさん 業務そのものを昨今言われている新しい働き方にあてはめないと……。業務は変えたくないけれど働き方だけ変えたい、というのはちょっと難しいですね。5年間悩んできて実現できなかったので。

残業時間は危険水位だが「自分は困っていない」と言われ……

―― では、「従来の働き方から脱却できていない」と仰ったCさんの会社の実情をもう少し詳しく教えてください。

Eさん。元SIer。中途入社したばかりでDさんの同僚。前職でも情報システム部門に所属。SIerを対象とした働き方改革に取り組んでいた経験もあり。

Cさん はい。私の会社では、昔ながらの仕事のやり方が根付いていて、スマートな働き方ができないことに苦しんでいます。具体例として、社内稟議の流れを挙げると、まず、パソコンで稟議に必要な書類を作成したあと、紙に印刷します。それから、稟議書類は、承認が必要な人たちのところを回ってハンコを集めていき、決裁されると所定の部門でファイリングされる、というものです。必要な人たちのハンコが揃わないと仕事が進まないので、わざわざハンコを押しに会社に戻ってこなければならないとか、「○○さんが夏休み中なので、この件は休み明けに……みたいなことが起こっていまして。

―― ちょうど「改革前夜」といった趣きですね。

Cさん はい。私は、ITの活用方法を考える以前に、仕事のやり方を見直す必要があると感じており、「他社さんでは、一体どんな取り組みをされているのだろうか」という点が、最近の興味のひとつです。私自身は、チャレンジしていることは色々あって、悩みもBさんとかぶるのですが……やはり、変化を好まない人が多いですね。

変化を好まない人の言い分は、「わたしが関わる仕事は、日々滞りなくできているので、変える必要性を感じられません」というものです。その人に、普段の仕事のやり方を聞いてみると、「朝、出社したら、パソコンのスイッチを入れて、仕事に必要なシステムにログインして仕事に取りかかります。印刷する時は、パソコンで印刷ボタンを押してからプリンターのところまで歩いていって印刷物を取りに行きますし、上司のハンコが必要なら、自分のハンコを押してから上司に紙を手渡していて、何も問題ありません」と。私から見れば問題だらけに思えるのですが……。

私は、過去に日本マイクロソフト社のオフィス見学ツアーに参加したときに、私自身の仕事のやり方や考え方のギャップに気づけたりして、とても参考になった経験があるので、人事担当や会社の同僚に「他社の仕事のやり方を見に行ってみたら?」とツアーへの参加を促しているのですが、そもそも本人たちには今の仕事のやり方に凝り固まっていて問題意識がないので、「参加する」という行動にたどり着かないのです。

―― 各部門の上長含めてそういった態度なのですか?

Cさん 問題意識がないのは、中間管理職とその課員です。一方、その上にいる役員は、世の中の変化に敏感なため、日頃から変えていく意思を示しています。

―― そうなると多数決で困っていないから現状維持になってしまいますね。逆に困っている人っていないのですか?

Cさん 私です(笑) 私の部署には4人いるのですが、普段の仕事のほかに、上から仕事がどんどん降ってきていて、受ける人がいない状況にも関わらず、社内からどの程度の工数が掛かるか分からないような担当外の相談事を寄せられることが多いので、勤務時間は法律的に危ない状態が慢性化しています。

Aさん アウトソースはしているんですよね。

Cさん はい。していても足りません。

Aさん 4人で1000人ですよね。

Cさん はい。私の部署のインフラ担当の社員が4人です。アウトソース先にも4人いるのですが、まだ足りません。

 日本の会社の人たちは、基本的に変化を好まないじゃないですか。日本の会社の中で、何か変化を起こそうとしても、骨抜きにされてしまう一方、外資系の会社であれば、指示が本社から日本法人にトップダウンで降りてくるので、日本法人は変わらざるをえません。最近、このやり方を見習って、「社外」から働き掛けてはどうかと考えています。「社外」とは、わたしの会社の親会社や監督官庁を指します。

クラウドサービスを入れたくても法務が反対
その理由は「訴訟になっても私、日本語しか話せません」

―― なるほど。ちょうど3月末に働き方改革の実行計画が決定して、おそらく秋ぐらいには法案の審議が始まるというスケジュールですから、もしかすると2018年早々ぐらいからは国家権力の、まさに外圧が来るかもしれませんね。

Eさん CIO(Chief Information Officer)がいるかいないかで結構変わるのかな。

Cさん そうですね。CIOの言葉の重みや、社内の影響力に尽きると思います。

―― 政府だったり、Cさんの会社なら親会社がありますよね。それこそ親会社の働き方改革って何か見聞きされたりとかしていますか?

Cさん 私の会社の親会社は、毛色の異なるふたつの会社なので、それぞれの良い面と悪い面を見られる珍しい環境にあります。一方の親会社は、世界中の通信インフラが乏しい場所で仕事をしているので、参考になる内容が多々あるのですが、その内容を社内に提案してみると、社内からは「私たちの会社は、日本の会社です。海外になんか行きません」と返ってくるので呆れてしまいます。

一同 (苦笑)

座談会は期せずして、“Cさんの会社をいかに説得するか?”会議と化した。

―― すごいですね。政府の働き方改革が盛んに報道されて、新聞でこの5文字を見ない日がないってご時世に、そこまで凝り固まれるものなんですかね。

Cさん そうですね。もうひとつ例を挙げると、誰かが、「クラウドを使いましょう」って言うじゃないですか。「色々便利ですよ」と。でも、私の会社の法務部門は、「このクラウドサービスの提供元は海外の企業です。もし、トラブルが起きたら、日本国法が通用せず、訴訟するなら現地に行く必要があります。現地で裁判をするとなれば億単位のコストが掛かるので、リスクが大きすぎますし、私は、そもそも日本語しか話せませんよ」と言うわけです。

一同 (笑)

Bさん 法務が反対しているんですか。

Cさん はい。

―― まあ実際問題として、法律云々は確かに解決不可能なことですが……。

Cさん 日本語しか話せなくても利用している会社はたくさんあるし、クラウドサービスの提供元の海外の企業と訴訟に及んだ事例があるかと言ったらないんですよね。そういう事実を踏まえてAWSなどのクラウドサービスを利用することについて、他社ではデメリットよりもメリットの方が十分大きいと考えられているのではないかと。先ほどDさんが仰っていましたけど、リスクの取り方を変えていかなければならない、という点は、役員の人たちは認識しているんです。メリットのほうが絶対大きいと。現に、私の会社の関連会社でもAWSを採用している会社がありますし。

しかし、そのニュースを読んでもなお、「私たちは日本人なので関係ない」と。

―― 本当にトップダウン、「やれ!」という強い命令を待ち望むしかない。

Cさん はい。本人たちに、やらないと自分の席がなくなるぞ、という危機感を与えない限りはなかなか……。スモールスタートで徐々に変えていく、という方法も試してみているのですが、先ほどの法務部門の件などがあってやりづらいです。

Bさん じゃあ法務の方はそれで業務が回っているということなんですよね。

Cさん そうなんです。

Bさん それ以上の業務負荷はないから危機感がない?

Cさん いえ、法務部門も、これ以上仕事を増やされると仕事が回らない、と言っています。今も回っているようには見えませんが……。

Bさん 回ってないけれどやらねばならない……であれば、どれだけ効率的に回すかという意味で、昨今の働き方改革が浮上してきたのかなと思っていましたが。

Cさん そうなんです。今考えている「社外からの働きかけ」は、「勤務時間の削減」についてです。本当に危ないので、具体的な数字は言えないです。

Aさん うちも危ないです。

Cさん 長時間残業を行っている企業名が新聞に取り上げられたりしているご時世に、このやり方を続けなければいけないのでしょうかと。会社として変えなければ、本当に新聞に載りますよと。

Aさん どうやって危機感を演出するかっていうところですよね。

―― 実際にメディアに載らないと、ことの重要性がわからないんですよ。……いつの間にか“Cさんの会社 対策会議”になってますね、これ(笑)

次回予告:実は働き方改革を強制する必勝法があった!?

 期せずしてCさんのための相談室と化した覆面座談会。次回も、「iPhoneはいいけどiPadはケーブルでカバンとつなぐべし!?」など次から次に出てくるCさん苦労話に参加者全員大盛り上がりしつつ話は弾む。そのほか、Dさんが語る「経営層が速攻で動く最強の外圧」とは? Aさんが体験した「2週間前に『数百台の携帯電話を全部iPhoneに切り替えて』と言われた」話、そして各社のMDM事情など、働き方改革を進める企業なら他人事じゃないエピソード満載。お楽しみに!