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2017/06/23

ワーキング革命 - 第14回

「ワークスタイル変革を推進中」は約2割

一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は、企業のIT投資・IT戦略などの動向を調べる「企業IT動向調査2017」を実施した。その中で、ワークスタイル改革に関する速報値から、興味深いデータが得られた。多くの企業がワークスタイル改革に高い関心を示すものの、まだ全体の約2割しか導入が進んでいないという。反対に考えると、その潜在ニーズは約8割もあるということになる。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

取り組みが進んでいる業種は金融

 JUASは、業種グループで導入の進捗状況を調査している。それによると、すべてのグループの平均値として、ワークスタイルの改革に「3年以上前から推進している」「この数年で推進するようになった」「現在、試行・検討を始めたところ」は約4割程度となった。

 最も取り組みが進んでいるといえるのは金融グループだ。「3年以上前から推進している」が5.3%、「この数年で推進するようになった」が22.8%、「現在、試行・検討を始めたところ」も28.1%になり、ワークスタイルの改革に取り組んでいる割合は56.2%に上る。3年以上前から取り組んできた比率は低いものの、この1~2年で急速にワークスタイル変革に取り組み始めた金融機関が多いという傾向がわかる。

 その他の業種グループ別の進捗状況を分析してみると、建築・土木や社会インフラなどが、ほぼ全体の平均に及んでいるが、素材製造や商社・流通、サービス業などは、4割に至っていないグループもある。しかし、最も進んでいると評価されている金融グループでも6割未満なので、ワーキング革命に関連したIT商材の提案は、多くの業種に対して大きなビジネスチャンスとなる。

 企業がITを活用したワークスタイル改革に期待する効果を聞いた調査では、1位は「業務を効率化するため」いわゆる生産性の向上だった。その効果を最も期待する企業の割合は全体の57.0%に上る。2位は「社員が働きやすい環境を作るため」。しかし、4位に位置づけられた「介護など個人の状況を踏まえ業務を継続できるようにするため」という効果は、ほぼ2位の内容と同一と考えられる。2位と4位の数値を合算すれば、1位よりも上になるため、実際にワークスタイル改革を求める最大のニーズは、「社員の働きやすさの向上」にあると言えるだろう。

 その結果として、効率のよい働き方や生産性の向上が得られることが、経営者の意識にあると推測できる。

これから約8割の潜在市場が動き出す

 本連載をはじめた当初、テレワークなどのIT商材を提案するための「働き方の見直し」や「ワークライフバランス」などのキーワードは、IT系の専門誌で少し取り上げられる程度だった。しかし、現在ではテレビのニュースや新聞でも、「働き方改革」や「ワークスタイル変革」といった言葉を目にする機会が増えている。それだけ、少子高齢化の進む日本にとって、多くの労働者が各自の生活環境に合ったワークライフバランスの確立を喫緊の課題と考えるようになってきたのだろう。

 ただし、先に触れたJUASの調査結果でも、ワークスタイル改革の全体的な進捗状況は、「3年以上前から推進している」が9.0%、「この数年で推進するようになった」は11.4%で、実際に推進している割合は約2割程度だ。試行や検討段階も含めると、約8割の企業で潜在的なニーズが存在する。

 日本の企業の傾向として、ワークスタイル改革の必要性を感じている経営者は「守り」の意識が高い。「いま働いている社員を大切にしたい」とか「有能な社員の離職を避けたい」といった、経営者として人材を大切に思う気持ちが強いのだろう。こうした意識に寄り添うワークスタイル改革のためのIT商材も、数多く登場しているので、各社の課題をヒアリングして適切なソリューションを提案するだけでも、多くのビジネスにつながるはずだ。

 しかし、既にあるソリューションの多くは、提案の優位性を維持するのが難しい。「守り」のワークスタイル改革を踏襲するだけでは、IT商材を単純に比較されてコストだけで判断されてしまう懸念もある。そこで、「守り」のITを踏まえた上で「攻め」のソリューションを提案する取り組みが求められてくる。

 「攻め」とは、IT商材によるワーキング革命を通して、働いている人たちの意識まで改革する提案だ。例えば、最近の金融機関などで推進されているテレワーク環境は、「社内のシステムを社外からでも使えるようにする」ための仮想化ソリューションが多い。このアプローチは、「守り」のITとしては堅実なソリューションになる。しかし、単に「社内」を「社外」に置き換えただけでは、社員は「通勤時間」からは解放されるものの、働いている意識は「社内の延長」のままだ。もちろん、それだけでも充分な成果は得られる。

 だが、現在のモバイル&クラウドを前提とした最先端のITソリューションは、コミュニケーションやコラボレーションを加速する力を秘めている。例えば、メールとSNSを比較してみると、そのスピード感や距離感の違いがわかるだろう。多くのビジネスで使われるメールでは「作法」が決まっていて、本当に伝えたい文面に至るまでに、宛名や挨拶文や定型文などが入り、コミュニケーションにロスが発生している。

 それに対してSNSのチャットやメッセージングでは、よりストレートに距離感の近い会話やコラボレーションが実現する。こうした最先端のIT活用によるワーキング革命は、社員に「攻め」の働き方を促し、生産性の向上を超えた「創造性の発揮」という革新をもたらす。

一杯のコーヒーを飲む場所の変革から

 海外の先進的なIT企業を取材していて感じるのは、会社が社員のクリエイティビティを引き出すために、ファシリティも含めた先進的なワークスタイルの実現に取り組んでいる「攻め」の姿勢だ。その中でも印象的なのは、サードウェーブ系コーヒー店に象徴される「居心地の良さ」の追求にある。

 かつて、オフィスのコーヒーといえば自動販売機で買うか、コーヒーマシンからドリップされたものを注ぐイメージだった。それに対して、「居心地」を追求しているオフィス環境では、本格的なエスプレッソマシンなどを取り揃え、飲むだけではなく雰囲気も味わえるようになっている。

 こうしたコーヒーに対するこだわりが可能になっている背景には、Wi-Fi環境が充実しカフェのようなスペースでも仕事ができる「真の働き方改革」の成果がある。従業員によっては、それが街中のカフェやオフィスではなく、自宅になるのかも知れない。いずれにしても、各自にとって最高に「居心地の良い」一杯のコーヒーを飲める場所を提供できるITソリューションを提案することが、「創造性を発揮する」ワーキング革命につながるのだろう。

(PC-Webzine2017年5月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

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