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2017/08/02

テレワーク・デイ参加企業の実態。テレワークは浸透していくのか?

全社で実施したレノボ・ジャパンは積極的に導入

7月24日に官民あげて「テレワーク・デイ」と称し、始業から10時半までテレワークを実施する運動を行いました。「働く、を変える日」のキャッチコピーのもと、参加した団体は一部重複するものの927件に上り、約6万人が参加したといいます。その中から今回、終日テレワーク・デイを実施したレノボを取材し、テレワークの実態について伺いました。

文/飯島範久


 そもそも、なぜテレワーク・デイを推進し開催に至ったのかというと、2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会のとき、ロンドン市内の交通混雑が予想されることから、テレワークなどを活用して通勤せずに仕事ができるよう、市交通局が呼びかけました。これに対し、ロンドン商工会議所をはじめ企業や市民も賛同し、テレワークの導入が進んでいったそうです。結果としては、交通混雑を回避し、生産性の向上やワークライフバランスの改善につながったことから、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、今からテレワークを浸透させていこうと総務省をはじめとした政府と東京都、経済界が連携してテレワーク・デイを実施することになりました。実施日を7月24日にしたのも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開会式にあたるためです。

 今回取材したレノボ・ジャパンは、NECパーソナルコンピュータ、レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ、モトローラ・モビリティの関連企業とともに全社でテレワークを実施しました。テレワーク・デイ参加企業は、始業から10時半まで実施することが条件でしたが、レノボ・ジャパンの場合はまる1日実施していました。

 東京・秋葉原のオフィスで働く正社員、派遣社員のうち約800人が対象で、そのうち98%が実施予定とのこと。今回対象外になっているのは、テレセールスやコールセンターの従業員と、請負業務構内事業者の約90人だそうで、これは全体の約10%にあたります。ただ、今回のテレワーク・デイで、実際にこれだけの人数がテレワークを実施して出社しない企業はほとんどないそうで、ここまで徹底して行なえたのは、テレワークに対して積極的だったレノボ・ジャパンだったからこそだと思います。

テレワーク・デイ当日、昼前のオフィスの様子。ご覧の通り静まり返っていた。

 レノボ・ジャパンは、2005年4月の創立直後にテレワークを導入していました。ただし当時はeワークと称し、上限週1回だったそうです。その後、2011年3月11日の東日本大震災により、従業員の出社が困難になったため、発生後2週間はテレワーク推奨勤務になりました。テレワーク=自然災害による出社困難時に備える、という考えから、テレワーク実施に必要な環境整備が進み、2015年11月に回数無制限のテストを施行。2016年3月には第1回全社テレワーク・デイを実施しましたが、まだこのときは自然災害を考えて安否確認システムがきちんと働くかなどのテストも兼ねていたそうです。その後業務ツールを整え、Skype for Businessの導入によって内線代わりにSkypeが使えることで、取り引き先から電話がかかってきても応対可能になったことをきっかけとして、回数無制限テレワークを正式スタート。総務省テレワーク先駆者百選にも選定されました。

 レノボ・ジャパン人事担当執行役員の上南順生(まさお)氏は、「働き方改革のために、スマートデバイスを支給し、PCの持ち出しも推奨とし、いつでも社員がつながっていることを目指し変革してきました」と語り、場所や時間ではなく、社員同士がつながっていることが働いている姿だとしています。

レノボ・ジャパン 人事担当執行役員/NECパーソナルコンピュータ 人事担当執行役員常務・上南順生氏。

 これからの社会、労働人口が減っていく中で優秀な人材を確保していく必要があります。企業は、社員が直面する介護や出産・育児といったライフステージに合わせた柔軟な働き方を提案していかなければなりません。レノボ・ジャパンは、この点について今年の3月にも第2回全社テレワーク・デイを実施し、介護離職ゼロ宣言やふるさと人事構想を掲げ、リモートで仕事ができるようにすることで、優秀な人材を手放さずに済むための施策を実行しています。社員の中にはすでに介護のためテレワークをしている方や、東京への単身赴任を解消して山形でテレワークを活用している方がいるとのこと。 

北海道で介護のためテレワークをしている社員の事例では、メリット・デメリットのほか「近所の人から失業中のお父さんと誤解される」といったおもしろ報告も隠さず公開。

 「今年4月からなので、まだ改善点もありますが、業務に支障なく実施しています。時間の使い方が柔軟にできますし、人事担当でもテレワークで仕事ができています。また、レノボ・サプライチェーン担当のジョン・タイラーは、伊豆下田へ転居し週1回だけ東京本社へ出社、あとはテレワークで仕事しています」(上南氏)。ジョン氏の事例はかなり極端で、全社で数%程度だそうですが、週に1回はテレワークを実施している従業員が40%から50%はいるそうです。基本的にテレワークをする際はマネージャーの承認が必要で、よほどの理由がない限り承認されるとのこと。

ジョン氏は1日3時間の通勤から開放され、犬の散歩や農作業をその時間にあてたり、夜に仕事したりと柔軟な時間の使い方をしているとのこと。理想的なワークライフバランスを実現していると言ってよいでしょう。

 このように、レノボ・ジャパンではテレワークを実施するにあたり、先述の変革点以外には、人事制度や評価制度は大きく変更せずとも、テレワークを実現してきました。取材してみて、会社に来なければならない理由の1つが、電話の応対のようで、これを解決できればテレワークはそう難しくないと感じました。また、テレワークにより会議のやり方も変わったそうです。「会議をメンバーへ伝える際は、カレンダーに必ずSkypeのリンクを張るようになりました。これは、当日誰かが急に出社できない場合でも、Skypeで参加できるようにするためです。また、資料を表示して説明するときは、Skypeで参加しているメンバーにも伝わるよう、『ここの』といったような指示語ではなく、具体的に説明することを心がけています。が、つい言ってしまってよく指摘されます(笑)」(レノボ・ジャパン広報担当・鈴木氏)。

会議室もSkypeを使った会議に対応した設備を備えている。テレワーク導入によってミーティングの形式にも変革が求められている。

 実際にテレワークを実施してみないと、不都合な事案は見えてきません。改善点を洗い出し、修正していくことではじめてテレワークでも滞りなく業務が遂行できるようになるのです。まずは、テレワーク制度を導入してみて試行錯誤し、その会社にあったやり方を見つけていくことが、働き方改革を促進させていく秘訣でしょう。

筆者プロフィール:飯島範久

1992年にアスキー(現KADOKAWA)へ入社し『DOS/V ISSUE』や『インターネットアスキー』『週刊アスキー』などの編集に携わる。2015年に23年務めた会社を辞めフリーとして活動開始。PCやスマホはもちろん、ガジェット好きで各種媒体に執筆している。

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