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インテルに学ぶグローバル企業の最新ワークプレイス変革 後編


世界で約10万人の社員が働いているインテル。半導体産業の老舗企業であると同時に、現在も最先端のテクノロジーカンパニーとして、多くの業界に影響を与えている。そんなインテルのワーキング革命は、グローバル企業ならではのスケールとナレッジにあふれている。後編は、その中でもモバイルアプリとファシリティとセキュリティに注目する。

第2回

インテルに学ぶグローバル企業の最新ワークプレイス変革 後編

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

モバイルアプリで専用シャトル便を予約

 インテルは1997年からモバイルビジネスPCを活用して、社員のワークスタイルのモバイル化に積極的に取り組んできた。2000年の早い時期からはWebポータルサイトによる各種の社内サービスを提供している。代表的なものが、会議室の予定管理や各種の設備予約になるのだが、グローバル企業のインテルらしいサービスが「Air Shuttle」というモバイルアプリだ。

 これは主に米国で利用されているもので、社員専用のシャトル便を予約するシステムとなる。インテル規模の会社になると、社員が米国内を移動する頻度も多い。個人の航空券をその都度手配して精算していては、コストも業務の負担も増す。そこでインテルでは専用の航空便を定期的に運行している。Air Shuttleはそのシャトル便を予約できるモバイルアプリだ。

 Air Shuttleはいささかスケールが大きな社内サービスになるが、かつて社内Webポータルサイトで提供してきたサービスをモバイルアプリで利用できるようにするという仕組みそのものは、あらゆる会社で応用できる事例であり、ワーキング革命にとっても手軽な第一歩となる。もちろん、その実現にはクリアしなければならないハードルが一つある。それがセキュリティだ。その点については最後に触れるとして、もう一つ注目すべきインテルのワーキング革命のポイントとなるファシリティについて整理しておこう。

ファシリティ設計をグローバルで共通化

 インテルでは、効率の良い働き方や社員の創造性の向上を実現させるために、オフィスのレイアウト改革にも取り組んでいる。代表的な例が、つくばオフィスになる。基本的にはフリーアドレスのオフィスになっていて、社員は各自のノートPCやモバイルデバイスで、任意の席について仕事をする。デスクワークを行うスペースのほかに、カフェテリアのようなソファとテーブルが配置された部屋があり、丸テーブルにパイプ椅子というコミュニティゾーンもある。また、電話などをするための電話ブースという個室も用意されている。その他に、オープンな雰囲気で会議ができるコラボレーションルームもある。

 こうしたファシリティの多くは、日本で独自に企画されているのではなく、グローバル基準で設計されている。日本の社員が米国などの海外拠点に出張しても、また海外の社員が日本の拠点に来ても、違和感なく働けるようになっている。こうした世界基準を採用している理由について、同社 情報システム部 APAC and Japan 地域部長の邱 天意(キュウ テンイ)氏は、次のように説明する。

 「働く場所をグローバルで共通化することによって、人種や宗教や習慣に違いがあるスタッフが集まっても、インテルというコーポーレートの基準の中で等しく働けるようになります。さまざまな国の人たちが、効率よく効果的にコラボレーションを推進していく上で、ファシリティ面でのグローバル基準は、とても重要な役割を担うのです」

5段階のセキュリティレベルで安全を確保

 インテルでは、社員が社内や社外に持ち出すモバイルPCは、すべてリッチクライアントになっている。ディスクの暗号化や高度な認証システムを採用し、紛失や盗難などの被害を受けても、大切なデータが外部に漏洩しないようにしている。さらにインテルに見習うべきセキュリティ対策が、全部で5段階に分類されるアクセス権のレベル設定にある。

 「セキュリティのレベルは、携わる仕事によって分類されています。例えば、プロセッサーの設計などに携わるエンジニアには、最上級のセキュリティレベルが設定されます。この場合には、設計に関連するPCなどはすべて外部のネットワークからは遮断されて、一切のデータが漏れないように対策が施されます。その他のレベルでも、それぞれの職能に適したセキュリティを確保しています」と邱氏は話す。

 モバイルデバイスとクラウドサービスの連携によって利便性が向上すればするほど、外部から不正にアクセスされたり、内部から外に情報が漏れる危険性は高まる。かといって、情報漏洩だけを危惧してすべてのネットワークを遮断してしまえば、コラボレーションをはじめとして、効率的で効果的な仕事ができなくなってしまう心配もある。

 このジレンマを解消するための一つの対策がレベル分けにある。もちろん、すべての会社がインテルのような5段階の強固なレベル定義を実践する必要はない。しかし、最低でも3段階のレベルは想定した方がいい。外部のネットワークから完全に隔離され安全にデータを保護できるレベル1と、社内のすべてと限られた権限のみで外部からアクセスできるレベル2、許可された立場にあれば外部から自由にアクセスできるレベル3の3段階だ。もちろん、それぞれのレベルに合わせて、アクセスできるサーバーやサービスやデータへの制限は定義しておく必要がある。そうすることで、不正なアクセスからの被害を最小限に留めることが可能になる。

 2回にわたってインテルのワーキング革命について検証してきたが、モバイルアプリとファシリティとセキュリティという観点から、商材として検討できるテクノロジーやサービスの可能性を数多く学ぶことができた。働きやすさの追求は、今や必須の経営課題となっている。それを支えるITの数々が、多くの企業が求める成長の原動力となるのだ。

(PC-Webzine2016年5月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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