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2017/09/29

働き方改革のキーワード - 第4回

日本人が「一億総活躍」しても労働力不足を補えない――外国人労働者の受け入れ



働き方改革とダイバーシティ2.0

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少はもはや避けられません。そしてその不足を補うための「外国人労働者受け入れ」は喫緊の課題です。今回は政府資料をもとに、現状と問題点そして将来の展望を探ってみましょう。

文/まつもとあつし


働き方改革に欠かせない「外国人労働者の受け入れ」

 スマートワーク総研でも繰り返し取り上げているように、少子高齢化が進む中、今後日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の生産活動に従事しうる年齢の人口)は減り続けていきます。「ヨーロッパで起こっているような移民問題が心配だ」という声もありますが、持続的な企業活動、競争力の維持のためには外国人労働者の力が不可欠だということを、経産省の資料(平成29年6月「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」)と、働き方改革実現会議の総括資料(平成29年2月「外国人材の受入れについて」)を紐解きながら見ていきましょう。

 安倍内閣が「アベノミクスの第2ステージ」として掲げた「一億総活躍社会」というスローガン。子育て支援の拡充といった施策をとることで女性の力を活かす=労働力として活用する、という狙いのもと、一定の成果もあがっています。しかし、女性が働きやすい社会が実現できても、日本の将来の労働市場・生産年齢人口の推移は予断を許さない状況が続いています。

生産年齢人口の見通し(ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ/経済産業省)

 生産年齢人口が、2060年に約50%まで落ち込むという試算が示す未来は、なかなか厳しいものがあります。人口の半分を占める高齢者・子どもたちを、残りの人口が働いて支えなければなりませんが、生産力が人口減少に伴って落ちることに加えて、国際的な競争を勝ち抜いていけるのかどうかも不透明なのです。

 そんな中、政府が進めてきた「働き方改革実現会議」では、外国人人材の受け入れ(労働者としての受け入れ法制)が議題の1つとしてあげられてきました。そこでは、2016年に外国人労働者が初めて100万人(うち専門的・技術的分野の在留資格を持つ人は20万人)を突破したものの、以下の様な課題が存在することが指摘されています。

  • 評価システムが不透明
  • 求められる日本語レベルが高い
  • 高度人材の定着のため専門能力(博士号やMBA)を報酬等に反映している企業が極めて少ない
  • 英語だけで仕事ができるようにする取り組みは極めて限定的
  • 在留資格や社会保障など制度手続き面での障害が多い

 その結果、諸外国に比べて外国人労働者が占める割合は、日本では非常に低くなっています。「仕事が奪われる」といった移民問題が懸念されるよりもずっと手前の段階に我々はいる、というのが現状認識としては適切ではないでしょうか。

外国人人口・就業者数の国際比較(ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ/経済産業省)

 これらの課題を解決するためには、企業だけでなく、国も次の国会で検討が予定されている法改正などを通じて、外国人が働きやすい環境を整備していく必要があります。

攻めと守りの外国人受け入れを

 外国人材受け入れは、攻めと守りの両面があります。昨年メディア等でも話題になったのは、農業や介護などすでに労働力が不足しており、外国人の受け入れによってその解消を図る取り組みでした。一部には、これらの産業に外国人が従事して果たして大丈夫なのか? といった不安の声もあがりました。しかし、国全体で見ると先のグラフの通り、労働力不足解消は待ったなしの状況です。

 これらの「目に見えて労働力が不足している」産業への外国人受け入れ拡大はいわば守りの施策と言えるのではないでしょうか。それに対して、グローバルな競争にさらされる、いわゆる「高度人材」の獲得は、国・企業の将来に向けての競争力・成長力の確保のためには欠かせない攻めの施策と言えそうです。

人材獲得における課題“雇い負け”(ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ/経済産業省)

 経産省が作成した「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」では、「雇い負け」という言葉を使って日系企業の人材獲得力の低さを指摘しています。グローバルな競争を勝ち抜く、と言われると「国内市場を主に相手にしている我が社には関係ない」と考える方がいるかもしれませんが、否応なしに海外企業が日本市場にも進出する今日、その備えとしても外国人材の活用は産業を問わず必要になっていきます。

 今年3月にまとまった「働き方改革実行計画」では、高度外国人材向けのグリーンカードを創設し、従来の永住許可申請に必要だった在留期間を5年から1年に短縮するといった案は挙げられたものの、様々な懸念に配慮して、「国民的なコンセンサス」形成をまず行う、といったかなり慎重な方針が示されるに留まりました。しかし、企業活動においては外国人材をはじめとした多様な人材の活用は、イノベーション創出には欠かせません。多様な人材を受け入れ、その多様性が活かされる環境を用意することは、すべての企業に求められた課題であると言えるでしょう。

筆者プロフィール:まつもとあつし

スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。

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