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2017/12/20

働き方改革のキーワード - 第6回

生産性向上の強力な武器「RPA」を業務プロセス見直しの契機とせよ



ついに神Excelからの解放が訪れる

日々の単純作業を自動化させるRPA(Robotic Process Automation)。多様な業務に導入することで労働時間の短縮と効率化を一気に達成できる働き方改革の切り札です。上手く使えばアウトソースしていた業務の内製化、さらに将来的にはAIの発展に伴って非定型業務への適用も可能とされています。

文/まつもとあつし


自動化は工場だけの話じゃない

 企業における「働き方改革」の取り組みが進む中、RPA(Robotic Process Automation)という言葉にも注目が集まってきました。「ロボティック=ロボットのような」「オートメーション=自動化」という意味の単語が合体していますが、従来の「工場での製造工程の自動化」とは異なり、オフィスでの作業の自動化を図る取り組みを指しています。工場のようなロボットがオフィスで働くわけではなく、主にパソコンで行っている業務をあたかもロボットが人に代わって行ってくれるかのように自動化することで、飛躍的に生産性を高めよう、というものです。

 過労自殺が問題となった電通でも、2017年内にRPAを導入して400の業務を自動化することが明らかになっています。この問題では、クライアントからのリクエストに応じた大量のインターネット広告の入稿管理を、Excelを使用し手作業で行っていたため膨大な時間と負担が1人の新入社員に掛かってしまっていたことが、原因であったとされています。

電通「労働環境改革基本計画」より。

 電通では、社員一人あたりの総労働時間を80%に削減することを宣言しています。その取り組みのなかで、月間5万8000時間の業務スリム化を担うのが、このRPAなのです。

 この例でも示されているように、現在のところRPA導入で期待できるのは、定型業務の自動化による生産性の向上です。具体的には、サプライヤーから送られてくる請求書を人ではなく、機械が読み取り、そのままシステムへの入力や勘定元帳への転記が自動的に行われるといった例が典型的なものとして挙げられます。通販サイト等での注文から発送といった業務プロセスもかなりの部分で自動化が進んでいます。あらかじめ、業務工程に沿った操作・動作をソフトウェアに記憶させておくことで、人が行っていた作業をプログラムが「なぞって」処理していくというわけです。

 もちろん、完全に自動化してしまうと、読み取りなどで間違ったデータが入力されても気がつかない、といったことも起こりえます。従って、RPAを導入しても業務プロセスのなかで、人間がチェックをする工程は多くの場合欠かせないのですが、それでもそれまで10人が1週間かけていた作業を、チェックとエラーの修正だけを2人で1日で済ませるといったことが可能になってきます。まさに働き方改革の根幹を成す生産性の向上に直結するソリューションだと言えるでしょう。

RPAは会社経営そのものも変えていく

 現段階でのRPAは、上記の例のように伝票処理のようなシンプルな(けれども非常に手間と時間が掛かっていた)作業の自動化を目指すものです。多くのツールが、既存のシステムに手を加えることなく、比較的低いコストで導入できます。しかし、この取り組みはそれに留まることはない、とされています。

 その背景にはAIの急速な発展があります。単に人が行う作業を模倣するだけでなく、何らかの判断が必要な工程でも、AIが適切な処理を行なえるようになると予想されているのです。つまり定型業務だけでなく、近い将来には非定型業務もこのRPAが担うことになっていく可能性が極めて高いのです。

 また、これまで定型業務はより人件費が安い国・地域へのアウトソースが行われることも一般的でした。しかし、RPAを導入することで、改めてそういった業務を内部化するといった動きも出てくるとされています。これまで自動化といえば、企業内のIT部門が主導するものでしたが、RPAの各種ソリューションはそれぞれの業務部門でも導入やカスタマイズが可能なものが多くを占めます。アウトソース業務の内部化のみならず、部門業務の自動化を内製化できる可能性をもったRPAは、環境の変化にも迅速・柔軟に対応できるツールとなるのです。

 このようにRPAは経営資源の配分(ポートフォリオ)にも大きな影響を与える要素となってきます。業務処理に関するポートフォリオを競合他社に先駆けて最適化を図れるかどうかは、働き方改革のみならず、企業の競争優位にも直結する優先度の高い経営課題となります。

 電通のように、何らかの問題が起こってからその対策としてRPAに取り組むのではなく、今から積極的に検討・導入を始めるべき領域です。日本では、まだまだホワイトカラーの生産性が低いことが繰り返し指摘されています。印刷して手で記入することを前提としたいわゆる「神Excel」が組織内で幅を効かせているようでは、自動化は夢のまた夢です。恐らく多くの企業で、「自動化が可能な形へのドキュメントのアップデート」も求められることになります。そういった業務の見直し、棚卸しの契機とするためにもRPAの積極的な導入検討が求められていると言えるでしょう。

筆者プロフィール:まつもとあつし

スマートワーク総研所長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程に在籍。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『知的生産の技術とセンス』(マイナビ新書/堀正岳との共著)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。

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