筆者プロフィール:まつもとあつし
スマートワーク総研所長。ジャーナリスト・コンテンツプロデューサー。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程でデジタルコンテンツビジネスに関する研究も行う。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『スマートデバイスが生む商機』(インプレス)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。
2016/09/01
2015年に相次いだ事件・事故によって“社会から排除すべき悪者”のレッテルを貼られかけた「ドローン」ですが、その歴史は案外古く、何よりビジネスと連携することでもたらされる“可能性”は無限大と言っても過言ではないでしょう。
文/まつもとあつし
今回取り上げるバズワードは「ドローン」です。「ドローン、知ってるよ。ほら空を飛ぶアレでしょ」という方も多いはず。でもそこには奥深い世界と、未来への可能性が拡がっています。要点を押さえていきましょう。
まず、「ドローン」とは蜂の羽音が元々の語源です。この言葉を聞いて「回転翼を備えた飛翔体」をまずイメージするのは間違いではありません。しかし、現在では無人探査機全般を指すことも増えています。その範囲は幅広く、軍用の無人偵察機から、水中・陸上を探査するものまで様々な形/用途のドローンがすでに各地で活躍しています。
軍用ドローンは2000年代から実戦投入されていますが、大型で非常に高価なものでした。それに対して、2010年代に普及が拡がったドローンは私たちにとっても比較的身近な存在です。ここまでドローンの活用が拡がった背景には、実はスマートフォンの存在が大きいのです。
本連載の第一回でも触れましたが、ドローンに搭載されている小さなカメラ、通信モジュール、姿勢制御に欠かせないジャイロセンサー、薄型軽量なバッテリーなどは、スマホの部品を流用していることがほとんどです。世界中でスマホの需要が高まった結果、これらの部品は大量に生産されることになり、結果として安価にドローンでも採用できるようになったのです。
かつてラジコンの飛行機やヘリコプターは、高価であることはもちろん、操縦には高い技術と習熟が求められました。しかし、ドローンはジャイロセンサーやGPSモジュールを搭載することによって、初心者でも比較的簡単に操縦が可能になっていますし、あらかじめ地図上で指定した座標や高度を、決められた時刻に通過するといった自動制御も容易に行えるようになりました。
この自動制御に目を付けているのが、米アマゾンです。現状、ドローンの運搬能力(ペイロード)はトラックなどと比べるべくもないのですが、小型・軽量の商品であれば別です。アマゾンは、各地に備えている自社倉庫から客先までドローンが自動的に届けてくれる、という実験をすでに始めています。
日本でもドローン活用について様々な実験が行われています。輸送の世界では、楽天がゴルフ場内に限定した配送サービス「そら楽」の試験を2016年5月から6月にかけて行いました。自動運転車同様、あるいはそれ以上に、ドローンによる輸送は条件が整えば、始めることができる、という段階にまできています。老朽化した橋梁やトンネルの目視確認はとても時間とコストが掛かりますが、これをレーザーセンサーを搭載したドローンに代替させようといった取り組みもすでにスタートしています。
ここで問題になるのが、ドローンをどう安全に運用するかという点です。残念なことに、2015年はドローンによる事件や事故が相次ぎました。不注意による落下によってけが人が出ただけでなく、首相官邸屋上に放射性物質を「持ち込んだ」事件は、どこにでも飛んでいけるドローンに対して、安全や機密に対する備えをどうするのか? といった問いを私たちに突きつけました。
こういった状況を受けて、国土交通省はドローンの飛行についてのガイドラインを定めています。これは、個人が趣味でドローンを飛ばす際にも、企業が空撮や、商用実験などを行う際にも必ず参照すべき内容となっています。警視庁も、不審なドローンを「捕獲」する装置の実験を行うなど、ドローンの安心・安全な運用を巡る環境は徐々に整備されつつある、と言えるでしょう。
ジャーナリズムの世界では、ドローンを報道に活用しようという取り組みが進んでいます。「鳥の目」を読者に提供することで、文字や写真だけでは伝わらない現場の生々しい状況を、ドローンは伝えてくれるのです。
CMやエンターテインメントの分野での活用も進んでいます。以下のトヨタのCMでもわかるように、センサーによって細かな動作が可能なドローンは、それ自体を用いた表現のツールとなったと言えるでしょう。
どうしてもまず危険性が取り上げられがちなドローンですが、ビジネスの分野では、もはや無視できない存在です。ガイドラインが定められたことによって、それを守れば様々なトライアルも可能となっており、そのチャレンジをサポートする企業も登場しています。現在皆さんが日々取り組んでいる事業と、ドローンを組み合わせることで新しい「視点」が得られるかもしれません。
スマートワーク総研所長。ジャーナリスト・コンテンツプロデューサー。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現在は東京大学大学院情報学環博士課程でデジタルコンテンツビジネスに関する研究も行う。ASCII.jp・ITmedia・ダ・ヴィンチニュースなどに寄稿。著書に『スマートデバイスが生む商機』(インプレス)、『ソーシャルゲームのすごい仕組み』(アスキー新書)、『コンテンツビジネス・デジタルシフト』(NTT出版)など。
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