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ワーキング革命を実践する企業の最前線


今回は、これまでの取材で明らかになった国内企業のワークスタイルの現状についてまとめていく。日本の社会を取り巻くさまざまな課題に対して、「働き方」の改革がどのように貢献できるのか。実践的に取り組んでいる企業ならではの最前線の事例は、これからワーキング革命に挑む経営者にとっても、有益な情報となるだろう。

ワーキング革命 - 第4回

ワーキング革命を実践する企業の最前線

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

テレワークの誤解と対策

 育児や在宅介護で有能な社員が離職してしまうのを防ぐために、テレワークに取り組む企業は増えている。すでに、制度として確立し実践している企業もあるが、大手企業では労務規定などの整備が不十分で、まだ実験的な取り組みにとどまっている例も多い。

 現状を知るために、日本を代表する製造業の人事課に取材したことがある。そのメーカーでは、年に1回、テレワーク月間という期間を設けて、社員が決められた範囲内で在宅勤務できるようにした。制度の開始当初は、育児を中心とした在宅支援を目的に据えていた。ところが、実施してみると意外な意見が集まったという。それは、子育て世代がテレワークを利用しにくいというものだった。なぜだろうか。

 1億総活躍社会ではないが、現状は政府も働く子育て世代の支援に取り組んでいる。企業がテレワークによる在宅勤務を推奨すれば、より効果があがるはずだ。しかし、現実には子育て世代だけに限定したテレワークの推奨は、かえって対象者を追い詰めてしまうというのだ。

 在宅勤務制度を利用したいという社員の数は多いだろう。ほとんどの働く世代が、可能であれば通勤から解放されて、心地よい空間で集中して仕事をしたいと思っている。そのため、対象者を限定してしまうと、逆にテレワークが後ろめたい働き方のようになってしまう。

 結果的に、このメーカーではテレワークの対象者を制限しないようにした。すると、与えられた範囲内でそれぞれの社員が自由に利用するようになったという。これまでのテレワークの常識と思われていた、育児や介護を支援するため、という目的はあまり意味がなく、実際には全社員に開放することが、より効果的なワーキング革命になるのだ。

ボイスミーティングとカラオケボックス

 この数年で、電車の中や駅のベンチ、カフェやファーストフード店などで、モバイルデバイスユーザーを目にすることが多くなった。資料の整理や企画書の作成、メールやWeb閲覧など、モバイルデバイスの利用は、会社の机に縛られない働き方を実現している。しかし、より先進的なモバイルワーカーにとっては、これらの空間ではモバイルワークに不十分なのだという。なぜなら、最前線でモバイルワークを実践している人たちにとって、デバイスを使う場所の「静かさ」が、ときとして「使えない」場所となってしまうのだ。それはなぜか。

 答えは「ボイス」にある。ビジネスにおける重要なコミュニケーションの方法は「会話」だ。多くの人たちにとって、キーボードを打つよりも話した方がはやい。これまでならば電話を利用していたが、最先端の「ボイス」によるコミュニケーションでは、Skypeのようなボイスチャットが活用されている。

 Skype for Businessでは、1度に複数の人たちがオンラインの会議に「ボイス」で参加できる。出張先や海外にいても、Skypeならば会議室にいるかのように会話ができる。しかし、そのためには「聞く」だけではなく、「話さ」なければならない。そうなると、カフェや電車の中の空間は不便になる。そこで注目されているのが、カラオケボックスなのだ。

 実際に日本マイクロソフトの社員でも、Skype for Businessを使うオンライン会議のために、カラオケボックスを探すことがあるという。カラオケボックスであれば、外部の音も遮断され、静かな空間で音声会議に参加できる。また、室内には電源もあるし、昼間の空いている時間帯であれば、リーズナブルな価格で利用できる。

 車中心で移動している営業担当であれば、室内をそのままボイスミーティングの空間にできるが、首都圏や電車中心の移動では、なかなか便利な「個室」を確保するのは難しいだろう。そうした背景から、カラオケボックスはモバイルワーカーの意外な作業場となっているのだ。

タブレットとキーボードの組み合わせ

 スマホとタブレットとウルトラブック。持ち歩くデバイスとしてベストなデバイスはどれだろうか。商材としてモバイルワークを中心としたワーキング革命を提案していくのであれば、ポイントとなるのはやはりサービス&デバイスとなる。大手企業の例では、仮想デスクトップなどを構築して端末もシンクライアントに統一し、セキュリティと利便性を同時に担保しようとしている。だが、IT予算の限られた中堅や中小企業では、モバイルワークのためだけに予算を割くことはできない。むしろ、モバイルワークも想定したデバイス選びが基本となる。

 WordやExcelなどのアプリを使いつつ、モバイルの機動性も両立させようとすると、単一のデバイスでは難しい。仮にWordやExcelを出先で頻繁に使うのであれば、生産性が高まる14インチのウルトラブックが最善の選択といえる。ただし、その場合はモビリティが犠牲になる。逆に移動中のメールや資料のチェックが中心であれば、画面サイズの大きなスマホで十分なケースも多い。とはいえ、セキュリティに配慮すれば個人の所有物をそのまま仕事で使わせるのも問題だ。

 そうなると、タブレット+キーボードという組み合わせが、いいとこ取りの選択となる。iPadでもAndroidでも使えるOfficeが提供されているので、PCで作った文書やワークシートも、閲覧や少しの編集ならば困ることはない。あるいは、すべてをGoogle ドライブに統一してしまえば、あらゆるデバイスに依存しないドキュメントの編集や共有が可能になる。

 モバイルワークを最優先に考えたときに、タブレット+キーボードというのは、改めて検討すべき組み合わせだ。この利便性を伝えることができれば、ワーキング革命を商材として提案するときの強い説得力になるはずだ。

(PC-Webzine2016年7月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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