ドリンクでオフィス改革!? 自販機で買える“常温飲料”の恩恵とは

アサヒ飲料の常温飲料自動販売機は冷え過ぎたオフィスに癒しをもたらす

文/二瓶朗


「あたたか〜い」「つめた〜い」に続く新たな選択肢が登場!?

 最近ではコンビニなどで目にする「常温飲料」だが、アサヒ飲料株式会社は2016年4月から自社の自動販売機にて常温飲料の提供を開始した。

 同社はこれまで約50度の「ホット」、約5度の「コールド」で飲料を提供してきたが、今回新たに約20度の「常温」をラインナップに加えた。「あたたか〜い」「つめた〜い」に続く、第3の選択肢が登場したわけだ。「ふつ〜う」もしくは「ぬる〜い」とでも言うべきか。

 まあ自販機の表示はともかく、この常温飲料自販機の設置もまたオフィス改革の一手と言えるのでは!? ということで、さっそくアサヒグループホールディングス広報部門にお話を伺ってみた。

常温飲料でオフィスでの冷えを解消! 評判も上々で設置は100台超え

 常温飲料自販機について、アサヒグループホールディングス広報部門は「夏場は水分補給をこまめにされるかたが多い一方、飲み過ぎて体の冷えを気にするかたが特に女性の中に多くいます。実際に近年では夏場に常温飲料を提供するコンビニも登場しています。同じように、常温を自販機で提供できれば、女性が自販機で飲料を購入する機会が増えるのでは? と考えました」という。

 オフィスへ設置する狙いに関しては、「夏場のオフィスやビル内は冷房が効いていて、身体の冷えを気にするかたが多いであろうという予測から、オフィスでの設置を進めています」とのこと。冷房が効いている(効き過ぎている)オフィスなら、女性のみならず体調を気にする男性の需要も多いことだろう。

 オフィスでの評判は上々のようで、設置の要望も増加。7月末時点では約100台が設置されたという。気になる飲み物の種類は、「おいしい水」「アサヒ 十六茶」「なだ万監修 旨みの日本茶」といった、ミネラルウォーターとお茶系飲料。常温でも美味しく飲めるラインナップとなっている。

オフィスのほか、薬の服用に便利なことから医療施設への設置も。

 そして同社にとってはうれしい誤算(?)も。「常温飲料がオフィスで購入できるようになってよかった、という多くのお客様の声をいただいています。それと合わせ、やや想定外ではあるのですが、病気を患われているかたが薬を服用する際の飲み水として常温飲料をリクエストするお客様の声も挙がってきました。その結果、医療施設への設置も進んでいます」(同広報部門)とのこと。常温飲料を自販機で買うというスタイルは意外な場所から普及し始めそうだ。

 なお、この常温飲料は試験的な設置ではない。今後は全国規模での設置を進めていき、2016年内で300台を目指すという。「これまではホットとコールドの2つの温度帯での提供だった自販機に、“常温”という新たな温度帯を提供することにより、お客様に新たな価値を提供していきたいと考えています」(同広報部門)。

ありそうでなかった“スマートな選択肢”

 盛夏は過ぎたものの、まだまだ厳しい残暑が続く。いささか冷え過ぎたオフィスで飲む常温飲料は秋口に向けての健康管理に役立つことだろう。また、常温飲料は冷えたペットボトルが汗をかいて周囲の書類を濡らしてしまうようなトラブルとも無縁。前述した医療施設への設置など意外な場所での需要もありそうだ。なお余談ではあるが、常温飲料の表示は「ぬる〜い」でも「ふつ〜う」でもなく、ストレートに「常温」だったことを付け加えさせていただこう。