ナレッジマネジメント
「ナレッジ(knowledge)」とは業務のうえで得られる知識や技能など幅広く役立つ情報を意味する。「ナレッジマネジメント」は、従業員のナレッジを組織の内部で共有し活用する仕組みのこと。1990年代に経営学者の野中郁次郎が提唱した「知識創造理論」が基礎となっている。
近年、終身雇用制の崩壊で人材の流動化が進み、ナレッジを引き継ぐ機会が減少する傾向にある。さらに、新型コロナウイルスの影響やテレワークの普及で知識格差・情報格差が生じている。ビジネスを取り巻く環境が激変し、長期的な人材育成が困難となった今、創造的な経営手法として、ナレッジマネジメントが注目を集めている。
ナレッジマネジメントの重要なキーワードに「暗黙知」と「形式知」がある。暗黙知は“職人のカンやコツ”といった、主観的・感覚的な知識のこと。形式知はマニュアルなど、主観的・感覚的な知識を言語化したもので、客観的な知識のこと。暗黙知から形式知への転換が、ナレッジマネジメントへの一歩といわれている。
ナレッジを共有し、業務の属人化(特定の業務を1人だけが担当し、他の人にわからない状態になっていること)を防ぐことで、従業員の退職や休職による業務の停滞やトラブルを回避できる。人材を効率的に育てられ、業務の効率化にもつながる。ビジネスを取り巻くさまざまな環境から、企業はこれまで以上の成長を促されている。企業の競争力を高め生産性を向上させるためには、ナレッジマネジメントの導入が鍵になるといえるだろう。
(青木逸美)