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RTB

「Real Time Bidding(リアルタイムビッディング)」の略称で、Webサイトに広告を表示するとき、リアルタイムで広告枠の入札を自動的に行う「プログラマティック広告」の代表的な取引形態。「リアルタイム入札」とも言う。RTBは2010年頃、米国で開発・導入された。日本では、2011年にDSP(広告主のプラットフォーム)事業者によって初めて導入され、現在では国内外のほとんどのDSPに実装されている。

広告主は掲載したい広告とターゲット、予算、入札枠の上限などの買い付け条件を設定。ユーザーがWebサイトにアクセスし、広告表示のリクエストが発生した瞬間、複数の広告主の買い付け条件をもとに入札が行われ、最も高い金額をつけた広告主の広告が表示される。落札価格の高騰を避けるため、実際に支払う落札額は2番手の価格+1円とする、「セカンドプライスビッディング」方式が用いられることもある。

広告主はユーザー個人を対象とした効率的な広告配信が可能となり、広告の表示先が特定の媒体にとらわれないため、広告表示の機会を増やす効果が期待できる。1インプレッション(広告表示)単位で入札するので、不要な広告費を減らせるメリットがある。掲載する媒体側にも広告枠に空きが生まれなくなり、最低落札価格(フロアプライス)を設定することで、一定の販売価格を担保できる。仮にフロアプライス以上で入札した広告主が1社しかなかった場合は、フロアプライス+1円で入札される。このように、RTBはDSPの効率的な広告配信とSSP(媒体のプラットフォーム)の利益最大化を両立させる仕組みとなっている。

一方で、RTBでは低品質な広告枠の存在やビューアビリティの低さといった課題がある。手動でコントロールできないため、望ましくないWebサイトに広告が配信されるケースもあり、ブランド毀損のリスクも考えられる。広告主も媒体も広告のミスマッチによる悪影響を受ける可能性がある。
(青木逸美)