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2017/07/14

いますぐ読みたい「働き方ブック」レビュー - 第7回

あなたの仕事が終わらない10の理由とその解決策を教えてくれる本



『仕事の問題地図 「で、どこから変える?」進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方』沢渡あまね著

仕事が進まない・終わらない10の要因とその解決策を「失敗すること前提で」丁寧に教えてくれる一冊。計画不在・進捗不明・一体感がない・モチベーションが低い・期限に終わらない・意見を言わない・有識者不在・抵抗勢力の壁・対立を避ける・失敗しっぱなしは本書を読んで乗り越えるべし!

文/成田全


今問題が起きている“現場”に効く一冊

 今回ご紹介するのは、連載第1回「ヤバい職場は『地図化』せよ!? 過労自殺を防ぐための改善法教えます」で取り上げた『職場の問題地図』の続編的存在である『仕事の問題地図』(沢渡あまね/技術評論社)だ。

 「働き方改革」が目指すところは、機械(ICTソリューション)や制度などを導入して仕事を効率化し、働く人の負担を減らしてより働きやすい環境を手に入れることである。しかしいくらトップダウンで指示を出し、システムや制度を作り、旗振り役が旗を振ったところで、実際に働いている人たちの「働く意識」が変わらないとどうにもならない。これは第2回「働き方は『制度』だけ作っても改革できないことがよくわかる一冊」で取り上げた『絶対失敗しないワークスタイル変革』(日経ストラテジー編/日経BPムック)でご紹介した通りだ。

 これ以外に連載でご紹介してきた本は「テレワーク」「労働時間短縮」「女性の活躍」といった、社会や会社全体で取り組まねばならない大きな問題を扱ったものが多かった。しかし『仕事の問題地図』には「『で、どこから変える?』進捗しない、ムリ・ムダだらけの働き方」という副題が付いていることからもわかるように、働く人たちが日々感じている「仕事が進まない、終わらない」ことにはどんな問題があり、そもそもどこでつまずいているのかをチェックできる、“現場で実際に起きていること”をあぶり出してくれる本だ。無理や無駄を取り除くことは、働き方改革の第一歩なのである。

私が言ったところで会社は何も変わらない……と思った人にこそ読んでほしい

 本書は冒頭で仕事が進まない、終わらない要因として以下の7つを上げている。

  • 「計画を立てられない」「進捗が見えない」など、仕事の進め方(プロセス)の問題
  • 「期限に終えることができない」など、個人のスキルも関係する問題
  • 「一体感がない」「モチベーションが低い」など、意識や気持ちの問題
  • 「だれも意見を言わない」など、職場環境や雰囲気の問題
  • 「やり方を知らない」「有識者がいない」など、知識の問題
  • 「抵抗する人、邪魔する人が多い」など、人間関係の問題
  • 「同じ失敗を繰り返す」「失敗から学ばない」など、組織風土の問題

 本書ではもし思い当たることがあれば、今のあなたの働き方、もしくは職場に問題がある可能性が高いことを自覚してほしい。「でも私が言ったところで、どうせ会社は何も変わらない……」と思ったそこのあなた! そんな思いを抱くあなたにこそ読んでもらいたい本なのだ。

 仕事が進まない・終わらない要因をさらに切り分け、「計画不在」「進捗不明」「一体感がない」「モチベーションが低い」「期限に終わらない」「意見を言わない」「有識者不在」「抵抗勢力の壁」「対立を避ける」「失敗しっぱなし」の10項目とし、なぜ日々の仕事で無理や無駄が発生するのかを懇切丁寧に解説している。

「人間だもの」失敗はある

 例えば「計画不在」では、計画を立てない・立てられないことが起こってしまう原因として、計画なんか作らなくったってなんとかなるだろう(というかこれまでなんとかしてきた)という「勘でなんとかなるだろうと思っている」、計画するにあたって何をすべきなのかがわかっていないという「計画の標準形がない」、これから取り組まねばならない問題を解決するにあたり何が必要なのか皆目見当がついていない「やるべきことがわかってない」という3つのことを指摘している。

 これらを解決するには、今回の仕事のテーマ→目的→目的達成のための活動→具体的な作業項目という4つの階層に構造化して「やるべきこと」を確認し、いつまでに何をするのか計画表を作って周囲に相談。そして仕事のテーマが「未知」なことなのか社内にデータや有識者がいる「既知」のことなのかをチームで判断して、どのような選択・行動をすべきかを決める。そして最後に旗振り役を置いて情報を共有する、という流れが必要となる。またどこのタイミングでどういった考え方をするべきか、また誰をどうやって巻き込んでいくべきかについても言及されている。

 さらに要所で「人間だもの」というワードを使い、もしやることを忘れても、仮に漏れがあったとしてもバックアップできるようにシステムなどを作ってチームで共有しておくこと、時には失敗もあるけれど、そこから何を学んで次に活かすのか、といった「ヒューマンエラーはあること前提」のスタンスでわかりやすく解説されている。

多様な人材が様々な力を遺憾なく発揮できる職場づくりのヒント集

 どんなことでも「これまでのやり方を変える」というのは勇気がいることだ。そして変えようとすることに抵抗する勢力は必ず現れる。今から15年ほど前の筆者の個人的な体験だが、仕事の件で取引先の中年男性にメールをしたところ、しばらく経ってから電話がかかってきて「メールしました、って電話してくれないとわからないじゃないか!」と怒鳴られたことがある。またたった数ヵ所の修正なのに、メールで送った数十ページある文書を全部プリントアウトし、ご丁寧にすべてのページをファックスで大量に送り返す(もちろん修正のないページの方が多い)困った人もいた。今では考えられないことだが、通信手段は郵便と電話・ファックスと思い込んでいた20世紀の人たちは「インターネット」という新しい技術を渋々使うもツールとして使いこなせず、これまで自分がやってきたやり方を頑なに変えようとしなかったのだ。

 スマートワーク総研の特集記事「働き方改革の基礎知識 2017」第5回で登場いただいたソフィアバンクの藤沢久美さんは、働き方改革は新しい人材やテクノロジーが入ってくることで、やらなくてはいけないことが増えて短期的には効率が落ちるが、長期で効率化を目指すことでイノベーションが起きるとお話しされている。目先の利益やこれまでのやり方に固執すると、後々取り返しのつかないことになりかねないのだ。

 何かというと武勇伝と文句ばかりの「役割を履き違えている人」、昔のやり方が最適と思い込んで「新しいスキルを学ばない人」、仕事は誰かが用意してくれるものと考える「依存体質な人」、私の仕事はここまでなので後のことは知りませんという「取り付く島もない人」、返事は良いけどすぐに忘れる「抜けた人」……そんな会社の困った人たちを上手にハンドリングしつつ、多様な人材が様々な力を遺憾なく発揮できる職場づくりのヒントを、ぜひ本書で探してみてもらいたい。どんな仕事もひとつひとつ着実にこなしていけば終わりはあるし、問題解決する方法も探せば必ずあるはずなのだから。

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。文学、漫画、映画、ドラマ、テレビ、芸能、お笑い、事件、自然科学、音楽、美術、地理、歴史、食、酒、社会、雑学など幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1500人以上を取材。

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