パラダイムシフト
「その時代の規範となる思想や価値観(Paradigm)」の「転換(Shift)」という意味で、新しい技術の登場などで、考え方や価値観などが劇的に変わることを指す。1962年、米国の科学者で哲学者のトーマス・クーンが提唱した概念。社会科学の分野で引用され、現在では、ビジネスやソーシャルムーブメントなど様々な分野において頻繁に使われている。「パラダイムの転換」ともいう。
例えば、近年のビジネスシーンにおけるパラダイムシフトに「IT革命」がある。インターネットが急速に普及したことで、カメラ、テレビ、電話など様々なデバイスがデジタル化・モバイル化された。SNSや動画配信サービスが一気に拡大し、ネットに接続すれば必要な情報は簡単に収集できるようになった。特に2000年代後半に登場したスマートフォンは音声通話機の枠を超え、ゲームや動画の視聴、サイフとしての活用など、「電話」の常識を一変させた。
新型コロナウイルスの影響で普及した「テレワーク」もパラダイムシフトの一例だ。在宅勤務に切り替える企業が続出し、ビジネスチャットやWeb会議が定着。オフィスに通勤して働くという常識が大きく変容した。また、働き方の多様化が進み、労働者の終身雇用に対する認識も変わってきた。ワークスタイルもライフスタイルも転換期を迎え、社会は新たなパラダイムへと加速している。今後、企業や組織はパラダイムシフトを受け入れ、新たな価値観に対応していく必要に迫られるだろう。
(青木逸美)