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育児・介護休業法(改正)

育児・介護を必要とする労働者を支援し、仕事と家庭を両立し、労働の継続ができることを目的とした法律。正式名称は「育児休業等育児または家族介護をおこなう労働者の福祉に関する法律」。1991年に制定された「育児休業等に関する法律」(1992年施行)をもとに、1995年に大幅な改正を実施、その後も2021年まで7回の改正が行われた。

育児・介護休業の法整備は徐々に進み、男性の育休取得率は年々増加、2020年度は12.7%(雇用均等基本調査)だった。しかし、女性の育休取得率は81.6%で、男女差はまだまだ大きい。今もなお、多くの女性が出産・育児を機に退職している。

こうした状況から、男性の育児休業(育休)取得をさらに促進するため、2021年6月に大きな改正を実施。2022年(令和3年)4月から、同10月、2023年4月と3段階に分けて施行される。今回の改正ポイントは以下とおり。

●雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化(2022年4月1日施行)
企業は育児休業を取得しやすい雇用環境を整える。また、従業員から本人または配偶者の妊娠や出産の報告を受けたら、育休制度の周知や、取得意向の確認を行う。

●有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和(2022年4月1日施行)
「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件が緩和され、改正後は「1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件を満たせば、育児・介護休業を取得できる。

●育児休業の分割取得(2022年10月1日施行)
子どもが1歳になるまで原則1回しか取得できなかった育休を、改正後は男女とも2回に分けて取得できる。

●産後パパ育休(出生時育児休業)の創設(2022年10月1日施行)
「産後パパ育休制度(出生時育児休業)」を創設。男性労働者が出生後8週間以内に4週間まで取得でき、分割取得や通常の育児休業との併用も可能。

●育児休業取得状況の公表の義務化(2023年4月1日施行)
従業員数1000人超の企業は、男性の育児休業の取得率の公表が義務付けられる。

現在、少子高齢化が急速に進行し、労働力人口の減少が懸念されている。人材確保が厳しくなる中で、出産・育児などによる従業員の離職は企業における重要課題となっている。従業員が仕事と育児を両立できる社内環境の整備は、優秀な人材確保・定着や生産性向上にもつながる。従業者が安心して働ける企業運営を目指すことが肝要だ。
(青木逸美)