AOAIは「Azure OpenAI Service」の略称で、Microsoftが提供するクラウドサービスの1つ。OpenAI社が開発した生成AI（ジェネレーティブAI）をMicrosoft Azureのプラットフォーム上で利用できる。有料サービスで、使用するAIの言語モデルによって料金が変わり、いずれも従量課金制。

AOAIは、システム開発やプログラミングなどの専門知識がなくても、アプリケーションなどに短時間で自社データを組み込める。自社サービスの強化や、社内チャットボットの構築に利用でき、業務効率化や生産性の向上といった効果が考えられる。

AOAIを使う大きなメリットは、Microsoft Azureの高いセキュリティ環境（国際基準に則ったセキュリティ認定を取得）でAIを活用できることだ。ChatGPT（Webサービス）では、入力したデータがAIの学習データとして利用される可能性があるが、AOAIでは入力データに外部への流出を防ぐ対策が施されているため、学習データに利用されない。

AOAIでは、インターネット接続だけでなく、プライベートネットワークも選択できるため、安全性が確保された環境で、AIサービスを利用できる。

また、用途に合わせてAIの言語モデルが選べることも魅力の1つだ。自然言語による質疑応答や翻訳、会議の要約、画像・動画・音声の生成、データ分析などが実行できる。例えば、テキスト生成なら「GPT-4」、画像生成には「DALL-E」、プログラミングの補助には「Codex」というように、幅広いタスクに対応している。

Microsoft社はAOAIを「責任あるAI」という考えに則って提供している点も重要だ。人を第一に考える原則に基づき、不正確で有害なコンテンツの生成や悪用から保護するために多大な投資を行っているという。AOAI利用には申請が必要だが、「責任あるAI」へのコミットメントを考慮し、現在新規アクセスは制限されている。
（青木逸美）