1分でわかるIT用語集

ChatGPT

「Generative Pre-trained Transformer」の略語で、「チャットジーピーティー」と読む。ユーザーが入力した質問に対して、AIが対話形式で答えるチャットボットサービス(生成AI)の1つ。英語、日本語、中国語、スペイン語など多言語に対応している。米国のAI研究企業OpenAIが2022年11月に公開。会話による自然な受け答えと、精度の高さが大きな話題となり、リリース後わずか2か月で利用者は1億人を突破した。さらに2023年3月、より進化した次世代モデル「GPT-4」が登場し、テキストだけでなく、画像や動画を扱えるようになった。

ChatGPTはOpenAIのアカウントを作成するだけで簡単に登録でき、無料体験を始められる。使い方もいたってシンプル。テキスト入力欄に質問やコマンドを入力すると、リアルタイムで回答文が生成される。これはAIの「機械学習」と呼ばれるデータ解析の仕組みで、Web上のビックデータを学習し、文章の続きを予測して言葉を繋いでいる。

完成度の高い回答が返ってくるため、既存産業や教育現場への影響を懸念する声があがっている。情報流出、プライバシーの侵害など、悪用されるリスクもある。また、古すぎる情報や直近の情報など、把握していないことを聞かれると、間違った内容をあたかも事実のように回答することもあるので、注意が必要だ。

欧米ではChatGPTを制限する動きもある。イタリアでは、プライバシー規制が順守されるまで、ChatGPTの使用を一時的に禁止した。アイルランドもGPT-4の禁止を検討しているという。一方で、日本では民間企業での導入や研究が始まっている。中央省庁でも、農林水産省や文部科学省がChatGPTをはじめとした、生成AIの活用を検討している。個人情報を扱わない業務に絞って、試験導入を開始した自治体もある。

ChatGPTの公開以降、Microsoft社の「Bing」、Googleの「Bard」など、対話型AIの搭載が相次いだ。今後、多様なAIツールが登場することが予測される。リスクを恐れるだけでなく、有意義な使い方をしっかり検討することが重要だ。
(青木逸美)