SAP HANA（High-performance ANalytic Appliance）とは、ドイツのSAP社が提供する超高速データベースシステムのこと。次世代のERP（統合基幹業務システム）である「SAP S/4HANA」のデータベースとして採用されている。

SAP HANAの一番の特徴は「インメモリデータベース（IMDB）」であること。IMDBではコンピュータのメインメモリ（RAM）上にデータを保持し、追加・削除・変更処理を行う。このため、ハードディスクやSSDなどにデータを保存する従来のデータベースに比べ、読み込みにかかる時間を大幅に短縮し、超高速のデータ処理を実現している。処理速度は従来のデータベースの数千倍から数十万倍といわれている。また、不揮発性メモリに対応しているため、サーバーがダウンしてもデータを失わない仕様になっている。

SAP HANAのもう1つの特徴である「カラム型データベース」は、データを行（raw）ではなく、列（column）を基準として処理を行う。列単位でデータを取り扱うため、圧縮効率を向上させ、データの肥大化を抑制できる。データの集計や分析などの読み込み処理を得意とし、ビッグデータ解析に向いている。
（青木逸美）