ニューノーマル・ワークスタイル 第9回

Chromebookの活用の幅を限りなく広げる顧客管理・営業支援ツール「Zoho CRM」


Chromebookを100%活用する方法の一つが、Webサービスの利用にある。全ての業務をChromeブラウザーで処理できるWebサービスを利用すれば、OSや特定のアプリに左右されない業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現できる。その可能性を広げる一つのきっかけが、ゾーホーの顧客管理・営業支援ツール「Zoho CRM」だ。

文/田中亘


世界25万社の導入実績

顧客管理・営業支援ツール「Zoho CRM」は、世界で25万社が採用しているクラウド型のCRM(Customer Relationship Management)サービスだ。日本においても、既存のCRMから乗り換えたり、中小企業が新規に導入したりするケースが増えている。ある大手のCRMサービスからの乗り換えで、コストを4分の1に削減できたという事例もある。

Zoho CRMの注目すべきポイントは、全てWebベースで利用できる柔軟なカスタマイズ性能だ。Zoho CRMではデータベースに登録する項目をかなり自由に設定できる。その登録や変更も、マウスのドラッグ&ドロップ操作だけで処理できるので分かりやすい。データベースに関する深い知識がなくても、ゲームのコンストラクションに近い感覚で、自由に項目を定義できるので、企業の規模にかかわらず営業現場の要件にマッチしたCRMの構築が可能だ。社内にCIOや専任の情報管理担当者がいなくてもセルフサービスでカスタマイズできる点が、グローバルでも国内でも評価されている。

Chromebookでシステムを導入する場合、Chrome OSに対応していなかったり、一部の機能が使えなかったりすることがある。その点、Zoho CRMはクラウドサービスなので、Chromebookで利用するときに、機能や性能に制限を受けることなく全ての機能が利用できる。Zoho CRMを採用すれば、少なくとも顧客管理や営業支援において、Chromebookだけで賄えるのだ。

Zoho CRMのログイン認証は、Chromebookで利用するGoogleのアカウントと連携できるので、シングルサインオンも実現する。大切な顧客データを管理するCRMをクラウドに移行して、セキュリティ性能に優れたChromebookだけで利用すれば、セキュリティ対策の強化が叫ばれている昨今において、かなり安全な運用が行えるだろう。これまでは、端末コストの安さが注目されがちだったChromebookだが、クラウドサービスとの連携によるサイバー攻撃対策という観点からも、デバイスとサービスを組み合わせた提案はかなり有効になるはずだ。

CRM利用のメリットとは?

PCがビジネスで使われるようになった1980年代の中盤は、名刺ホルダーと手書きの台帳で管理していた顧客名簿が、データベースに保存されるようになり、顧客管理は劇的に進化した。現在では、大手企業でCRMを導入していないケースはまれである。CRMは、単に顧客情報を管理するだけではなく、決済に関連する経理データをひも付けることで、顧客ごとの与信管理や売掛金回収などにも活用されている。

しかし、そうした理想的なCRMを実践している企業は、国内ではごく一部に限られているという。そこまで先進的ではなくても、CRMを導入したいと検討している経営者の多くは、営業支援ツール(SFA)としての活用に期待を寄せている。展示会やウェビナーなどで集めた名刺情報から連絡先を登録して顧客名簿を作成し、セールスリードを獲得するためのメールや電話によるアポイントの促進を狙っているのだ。その一方で、現実にはCRMやSFAを使うのではなく、Excelなどで管理している中小企業も多い。こうした代替的なCRMは、いわば「妥協」に近いIT利活用になる。紙に書くよりは、何らかのデータにしておいた方が再利用の利点が得られるからだ。

しかし、真のCRM活用では、一度データ化された顧客情報を多角的な視点に立って利用することで、企業や組織としての「売る力」を増大させるメリットがある。また、SFAでは個々の顧客を時間軸で管理して、アポイントメントに向けた連絡を取るタイミングを示唆してくれる。いわば、Excelによる顧客データベースとWordによる営業日報から脱却し、顧客データとセールスリード創出のワークフローをスマートに連携させたCRMシステムがあれば、円滑で効率の良い営業活動が可能になる。

反対に、顧客の立場になって考えてみると、場当たり的に営業担当者からメールや電話が来るよりも、自分に興味のあるテーマのイベントやウェビナーを案内してくれたり、どの営業担当と連絡を取っても、きちんと自分のことを把握してくれていたりするといった体験を得られれば、その企業の製品やサービスに対する興味や期待度は高くなる。提供される商品やサービスに大きな差異はなく、どれを選んでも同じ効果が得られるとなると、選ばれる基準は、最終的には提案する側の熱意や誠意、信頼性になってくる。そうした顧客に対する「人の気持ち」を伝えるためにも、CRMによる情報共有と的確なアポイントメントは重要だ。

さらに、そのCRMを効果的に活用するためには、営業の最前線で活躍する担当者だけではなく、CRMシステムへ顧客データに関連した情報を後方で支援するバックオフィスのスタッフも大切だ。そのようなフロントとバックオフィスが効果的に連携するためにも、Excelのワークシートを共有するのではなく、クラウドサービスとしてChromebookで操作できるZoho CRMの活用が求められる。

Zohoアプリの将来性にも期待

今回は、CRMに焦点を当ててZoho CRMの優れたカスタマイズ性能などに注目したが、ゾーホーではZoho CRMのほかにも50を超えるさまざまな業務支援ツールを用意している。

その中には、組織全体のビジネスプロセスを管理、連携、自動化できる「Zoho One」や、チームの共同作業に活用できる「Zoho Workplace」など、数多くのクラウドサービスがある。これらのサービスは、全てChromebookで利用可能だ。現在では、Zoho CRMの1企業における最大ユーザー数が2万人を超えるなど、グローバルで大規模な運用にも対応できる体制と性能を整えている。

Chromebookと言うと、Googleが提供するクラウドサービスに目がいくが、ゾーホーのようなクラウドサービスを提供するベンダーとの組み合わせも注目する価値がある。

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

著者プロフィール

田中亘(たかなわたる)

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系、ITまで、広範囲に執筆。代表著書:『できるWindows95』『できるWord』全シリーズ、『できるWord&Excel2010』など。