働き方改革が叫ばれたあと、DXによる業務改善を進める企業が増えてきていますが、意外と現場サイドでは改善の余地が多く残されています。ちょっとした細かいことでも意外と工数がかかるもので、そのために専用のシステムを構築するとなると、多くの出費がかかってしまいなかなか改善できずにいるのではないでしょうか。

IT部門にも頼れず、現場だけでなんとかしたいといったニーズに応えたサービスが、今回紹介するノーコードでモバイルアプリが作れるアステリアの「Platio (プラティオ)」です。業務改善に一役買うPlatioのサービスについて、池澤あやかさんが伺いました。

聞き手はエンジニアでありタレントの池澤あやかさん。なお記事中の発言は個人の見解で所属企業を代表するものではありません

聞き手はエンジニアでありタレントの池澤あやかさん。なお記事中の発言は個人の見解で所属企業を代表するものではありません

ネット環境がなくても動作するモバイルアプリの優位性

お話を伺ったのは、アステリアのマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 Platioプロダクトマネージャーの大野晶子さん

お話を伺ったのは、アステリアのマーケティング本部 プロダクトマーケティング部 Platioプロダクトマネージャーの大野晶子さん

大野晶子さん(以下、大野) 「まず弊社のサービスであるPlatioについて説明いたします。Platioは誰でも簡単に自社の現場業務に合ったモバイルアプリをノーコードで作成、活用できるクラウドサービスとなっています。最大の特徴がモバイルに特化した業務アプリを作れるところになります。モバイルアプリが活用されるシーンとしては、店舗だったり工場だったり、倉庫といったような、机から離れて立つ作業が多い現場をイメージしてみて下さい」

池澤あやか(以下、池澤) 「そういった現場では、システム化があまり進んでいないですよね」

大野 「そうなんです。情報のやり取りなどに、かなり苦労されているようで。課題の1つが、チャットなどで電子データにはなっているけど、報告書にしようとした時にデータが流れてしまっていて、うまくまとめられないですとか、まだ紙で運用しているのでデータとして情報が溜まっていかないということです」

池澤 「いまはデータ収集してそれを活用していくことが重要ですからね」

大野 「たとえ、Excelでデータを収集されていても、誰が記述したのかという管理ログも取りづらいという課題もありますし、ほかにも日本語特有の表現の問題として、例えばヒヤリハットで、尖っていて危ないといった表現のとき、尖っていて危ない、鋭利で危ないなどと表現の揺れがあり、データがあっても集計しづらいという課題もあります」

池澤 「一般用語ならまだしも、専門用語だとより集計が難しそうですね」

大野 「現場もIT導入を進めてアナログだったり非効率な業務を効率化しようという動きはあるのですが、いまはIT人材が不足していたり、IT部門は基幹システムの整備で忙しく現場まで面倒が見られないといった課題もあります。またシステムを独自で構築しようとすると、どうしても高くつきますし時間もかかってしまいます。

とはいえ、現場としてはいますぐ欲しいところなので、現場で使いやすいモバイル端末を活用し、効率化を図れるということから、Platioをご紹介させていただいております」

池澤 「ノーコードで作成できるということは、エンジニアでなくてもモバイルアプリが作れるということでしょうか」

大野 「はい、Platioならプログラミング知識がない現場の担当者さんでもモバイルアプリを作成できます。Platioには、100種類以上のテンプレートがあり、テンプレートを選んで項目を設定していく程度で、誰でも手軽にアプリが作れます。作成したアプリはすぐに配布して現場で利用できますし、データはクラウドへ自動的に上がっていきますので、リアルタイムで関係者に共有できるようになっています。

また、データの変化を検知して、自動でプッシュ通知を知らせてくれる機能もついており、例えば、現場で倉庫の温度管理をしている場合、設定温度を超えると管理者へ自動で通知がいくといった使い方もできます」

池澤 「作成したアプリがすぐ配布できて利用できるというのは便利ですね」

大野 「Platioにはいくつかの特徴がありますが、モバイルファーストなUIを採用しており、どんな方でも迷わないシンプルな画面構成となっています。また、オフラインでも操作可能なので、いつでもアプリを使って報告を入力できます。このあたりはウェブアプリとは違い、ネットがない環境でも動作し、ネットに接続したらデータを自動的にアップする仕組みになっています」

池澤 「確かにウェブアプリだとネットがない環境では使えないですよね」

大野 「意外とネットがない環境って、まだまだ多いですよね。広い敷地の工場内は事務所付近しかネットが繋がらないといった声も伺います。宅配水を扱うナック様の事例として、マンションなどの高層階へ届けに行くと、意外と携帯の電波が届かないケースがあるそうです。そうしたちょっとしたことで作業が滞るだけでも、現場にとってはストレスがかかるため、現場ではネット環境に依存しないシステムが望まれています」

池澤 「電波の状況を気にせずに扱えるのはストレスフリーですよね」

大野 「使用するデバイスを選択したり、アクセス制限をしたりといったセキュリティを強化できる機能も搭載しており、安心してご利用いただけます。そして、低コストでご利用いただけるというところもポイントの1つです。経営視点からみると小さなことかもしれませんが、現場の非効率な業務を改善し続けることで、全体的な生産性向上や、収集したデータを経営判断に活かすことにもつながります。だからこそ導入しやすいコストと使い勝手は重要だと思います」

画面の構成を見ながらドラッグ・アンド・ドロップで作成

大野 「では、いかにノーコードで簡単にアプリが作れるのか、実際の作成画面を見ていただきます。アプリの作成はブラウザー上のPlatio Studioという環境で行います。ガイドに沿って進んでいきますと、テンプレートを選ぶ画面になります」

池澤 「いろいろなテンプレートが用意されていますね」

大野 「サービス業であれば遺失物の管理や改善レポートなど。製造系なら、工場日報やKY活動のチェックリスト、改善レポートなどもご用意しています。今回は、汎用的な写真日報のテンプレートを使って作っていきます。作成ボタンを押すと、テンプレートに沿って裏側で自動的にアプリが作成されます。

Platio Studioの画面。100種類以上のテンプレートが用意されており、やりたいことを見つけてそれをベースにアプリを開発できます

Platio Studioの画面。100種類以上のテンプレートが用意されており、やりたいことを見つけてそれをベースにアプリを開発できます

画面上部でアプリ内で入力や表示するデータの項目(フィールド)を設定し、画面下部でスマホで操作したときの画面サンプルを確認・設定します

画面上部でアプリ内で入力や表示するデータの項目(フィールド)を設定し、画面下部でスマホで操作したときの画面サンプルを確認・設定します

池澤 「例えば、写真を撮った場所もデータに残しておきたいといった場合、どうするのでしょう」

大野 「さまざまなフィールドタイプを用意しており、地図(位置)フィールドを使えば撮影した位置情報を収集できます。ほかにも、バーコードの読み取りやテキストを自動的に読み取ってくれるフィールドもあり、倉庫業務などでよく使われています。任意のフィールドを追加した後に、ドラッグ・アンド・ドロップで並べ替えれば、スマホの画面サンプル上にも変更が反映され順番が入れ替わります」

フィールドを追加することで、収集したいデータを業務に合わせてカスタマイズできます

フィールドを追加することで、収集したいデータを業務に合わせてカスタマイズできます

池澤 「確かに、自動的に変わっている」

大野 「どんな感じで画面が見えるのかを把握しながらアプリを作成していけます。アプリができたら保存して配布するというボタンをクリックすれば、利用できるユーザーはすぐに修正済みのアプリを使えます」

作成したアプリは、すぐにスマホで利用できます

作成したアプリは、すぐにスマホで利用できます

写真を撮影した場所を地図上で記録できるようにした写真日報アプリの画面

写真を撮影した場所を地図上で記録できるようにした写真日報アプリの画面

池澤 「この写真日報はデータテーブルが1つだと思いますが、アプリによっては、それに加えてユーザーや製品マスター情報を持つほかのテーブルを絡めていきたいというケースがありますが、後から追加はできるのでしょうか」

大野 「はい、もちろんです。別のデータテーブルとなるデータポケットを追加したり参照する場合も、Platio Studioで簡単に設定できるようになっています」

池澤 「例えば、このユーザーにはこの画面見せたいけど、ほかのユーザーには見せたくないといった、権限設定もできるのでしょうか」

大野 「可能です。例えば、一般入力者用と管理者用とで画面を分けるということが可能です。また、ユーザーのプロファイル設定で、どのデータポケットを見せるかという設定もできます」

池澤 「ユーザーが入力した情報を確認する画面というのは別にあるのでしょうか」

大野 「アプリ側でも見られますが、データビューアーというブラウザー上で見る管理者向けの画面も用意されています。」

データビューアーで、入力されたデータを一元管理できます

データビューアーで、入力されたデータを一元管理できます

作って即利用でき、いつでも修正可能

大野 「アプリの画面は装飾もなくとてもシンプルです。そのためアプリの説明会を1回行えば、皆さん使えるようになります。導入者が教える工数が少なくて済むというのも特徴です。写真や位置情報など、スマホの機能を活用したデータ収集も特徴ですね。実際に今回作った写真日報は、スマホのカメラ機能を使って撮影した写真を登録し、写真に対してメモ書きできる機能も設けています。

現場でアナログなやり方ですと、スマホで写真は撮っても、そのデータを結局席に戻ってスマホからデータを抜き出し、それをExcelに貼り付けるという作業を行うケースが多く、現場にとっては面倒な作業となります。また、フォルダで写真を管理している場合検索できず、どれがいつの現場の何の写真なのかが迷子になってしまい、あまり使いものになりません」

池澤 「写真の検索は難しいですよね」

大野 「管理者の方が最終的に分析する際はExcelを利用されることが多いので、現場はスマホでどこからでもアプリに写真や情報を入力し、管理者は収集したデータをデータビューアーからはExcelやCSV形式でエクスポートして活用できるようになっています。写真も共に出力されるので、写真がどこへいったということもなく管理できます」

池澤 「アプリはスマホのストアを介さずに配布されるんですよね」

大野 「はい、ストアには出さずにリアルタイムにアプリを更新できる仕組みになっています。お客様はPlatioアプリをスマホにダウンロードし、そのアプリ上で、弊社ではミニアプリと呼んでいるんですが、自分が作ったミニアプリを使っていただく形になっています」

池澤 「Platioアプリを立ち上げると、作成したいろんなアプリがそこで動いているというイメージですね」

大野 「そうですね。通常、モバイルアプリを作成するだけでも数ヶ月以上かかりますし、加えてストア審査にも時間がかかります。 その間に現場の運用が変わってしまうことも多く、せっかく作ったアプリが使われないこともあります。なので、現場のフィードバックにすぐ応えられ、本当に使いやすいアプリにすぐに改修していけるのがPlatioのいいところだと思います」

池澤 「社内アプリ制作にそんなリソースを割きたくないですよね」

大野 「どれくらいでアプリを作成できるのか実際に活用いただいている事例を少し紹介させて下さい。まず廃材などをリサイクルしている豊通リサイクル様では、ITに詳しくない工場長の方がヒヤリハット報告アプリを3時間で作られました。20年以上前からヒヤリハットや改善提案という制度があったものの、すべてが手書きで情報管理に手間がかかっていたのですが、その場でアプリから報告できる手軽さから報告件数が倍増。報告のデータ化や集計作業も不要になり、管理者の業務負担を毎月20時間削減できたという効果が得られています」

豊通リサイクル様 ダイジェスト版動画

池澤 「現場発信でワークフローを変えていけるというのは素晴らしいですね」

大野 「あとは、スポーツクラブのルネサンス様では、業務部の方が忘れ物管理アプリを3日で作成されました。会員情報はきちんとシステム化されているのですが、忘れ物管理は紙で行われていたんです。現場は苦労していたのですが、基幹システムでは忘れ物管理といった現場の細かいスキマ業務までは対応していません。そこでPlatioで忘れ物管理アプリを作成したところ、工数や検索の手間が半減して、スムーズな問い合わせ対応や引き渡しが行えるようになっています」

株式会社ルネサンス様 ダイジェスト版動画

池澤 「先ほど低コストだとおっしゃっていましたが、料金体系はどうなっているのでしょう」

大野 「初期費用は0円で、プランがStandard、Premium、Enterpriseの3つがあり、いちばん安いのがStandardで月額2万円となっています。いずれも10ユーザーが含まれていますので、10ユーザー以内ならこの金額で利用できます。それぞれのプランで上限がありますが、10ユーザー3000円で追加できます」

池澤 「従業員の少ない中小企業でも導入しやすい金額ですよね」

大野 「そうですね。PremiumやEnterpriseだと、ログが取れたり、デバイス制限が可能になったりなど、セキュリティ関連の機能が強化されます」

池澤 「アプリを作れるユーザー数というのは?」

大野 「現状は10ユーザー固定となっています。」

池澤 「自社のデータベースなど既存のもので活用できますか?」

大野 「はい、できます。API連携も可能なので会社のマスターデータをアプリでも活用したり、アプリで収集したデータをBIツールなどの別システムに反映するといったこともできます。また、Webhook(Webアプリやサービスでイベントが発生したときに、クライアントへ通知する仕組み)も利用できます」

池澤 「今後も機能の拡充やテンプレートの充実を図っていく感じですか」

大野 「Platioは、ドラッグ・アンド・ドロップといったマウス操作で、誰でも簡単にアプリを作成できるというコンセプトで生まれた製品ですが、操作性の向上やどこまで簡単に作れるのかを追求し、よりよい機能を搭載していきたいと考えています。作る側の機能は隔週でアップデートされており、現状もかなりの頻度でブラッシュアップが図られています」

池澤 「自社の業務に合わせたモバイルアプリをわずか3時間で作れるってすごいなと思いました。これまでデータ化に前向きではなかった人たちも、Platioで用意されているテンプレートをきっかけに、こういうことができるんだと気づきになれば、DXも進んでいくんじゃないかなと感じました」

大野 「最近はノーコードという用語が流行ってきたことで、自分たちの業務も変えられるのではという意識が少し強まってきていると思います。アプリを作成して、スマホですぐ確認し、使ってみて修正するというPDCAサイクルをうまく回せている感覚が、現場に生まれると、どんどんアプリも良くなりますし、Platioはアプリを導入しても使われないということも無くしていけるツールになるんじゃないかなと思っています」

Platio

自社の現場業務に合ったモバイルアプリをノーコードで簡単作成。100種類以上のテンプレートが用意されており、非エンジニアでもアプリ制作ができます。ネットがない環境でも利用でき、初期費用0で月額2万円からと導入しやすい価格設定なので、現場のDXを加速させる強い味方です。

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