仕事も遊びもスマホで完結する超大容量50GBプランで何ができるか計算してみた



Netflixを毎日2時間ずつ見てもまだ残る!

iPhone 8/8 Plus、iPhone Xの登場を受けて大手キャリアから発表されたのは、100GBをはじめとする超大容量プラン。そこで、業務から遊びまで1台でこなすBYODユーザーが使い倒した場合、どんなサービスを何時間使えるのか計算してみた。

文/正田拓也


iPhone X以上の驚きだった超大容量プランの登場

 ここ数年、iPhone発売を見計らってキャリア各社から新料金・新プランが登場している。昨年は10GBを超える大容量プランが契約可能になったことで、毎月のやりくりがだいぶ楽になった社会人も多かったはずだ。スマートワーク総研でも月間20GBプランにおけるアプリやサービスの利用状況について考察した

 とはいえ油断は禁物。新たに動画配信サービスや写真の自動バックアップを始めたりすると一気にパケットを消費して、月末まで日数があるにもかかわらず激遅の世界に突入してしまう。また、9月に公開されたiOS 11では、一部のバックアップをWi-Fi接続時以外でも行なうように初期設定が変更されたため、突然パケットが底を突いて驚くユーザーも少なくない。

 そんな状況を鑑みてか、今年はなんと月間50GB、家族とシェアで月間100GBといったケタ違いの超大容量プランがお目見えした。『50GBもあって一体何をどうするんだ?』と思った人は多いだろう。しかし50GB、いや100GBでも決して使い切れない非現実的なパケット量ではなく、それどころか上手く使えば今までの制約から開放され、1つ上の快適さをもたらしてくれるのだ。

 そこで今回は、月間50GBを存分に使ったスマホライフを考えてみた。想定したのは前回の20GBのときと同様、仕事でも私物のスマホを使っているBYODユーザー。自宅はWi-Fi経由でインターネット接続する人だ。

超大容量プランの追加でスマホがもっと便利に使える!?

キャリア・プラン名 パケット量 料金(税抜)
NTTドコモ ウルトラデータLパック 20GB 6000円
NTTドコモ ウルトラデータLLパック 30GB 8000円
NTTドコモ ウルトラシェアパック30 30GB 1万3500円
NTTドコモ ウルトラシェアパック50 50GB 1万6000円
NTTドコモ ウルトラシェアパック100 100GB 2万5000円
au スーパーカケホ フラットプラン20GB 20GB 6500円
au スーパーカケホ フラットプラン30GB 30GB 8500円
au カケホ フラットプラン20GB 20GB 7500円
au カケホ フラットプラン30GB 30GB 9500円
au シンプル フラットプラン20GB 20GB 6000円
au シンプル フラットプラン30GB 30GB 8000円
au データ定額20 20GB 6000円
au データ定額30 30GB 8000円
ソフトバンク ギガモンスター 20GB 6000円
ソフトバンク ウルトラギガモンスター 50GB 7000円
ソフトバンク 家族データシェア50GB 50GB 1万6000円
ソフトバンク 家族データシェア100GB 100GB 2万5000円

※キャンペーン等で料金は変動する。

月間50GBの世界とは? 毎日高画質で映画を1本鑑賞できる!

 お得な1人50GBのプランを前面に押し出しているのはソフトバンクだが、ドコモ、auもコンセプトは違うが超大容量プランを用意している。ここでは月間50GBやそれに匹敵する大容量があればできることを考えてみたい。

 まず、50GBを30日で割れば1日あたり約1.67GB。これはNetflixなど最新の動画配信サービスで高解像度動画を2時間ほど見られる量だ。1日2時間も動画を見ている時間がある人はなかなかいないと思うが(しかもWi-Fiを使わずスマホ単独だから外出先の可能性が高い!)、毎日高画質で映画を1本見られる容量があることは確かだ。

 平日は仕事三昧な一方、土日はゆっくり時間をとれるなら、休日は10時間以上見ても大丈夫。それどころか、「1.67GBで2時間」というのはあくまでも高画質に限った場合なので、ある程度の画質で構わないのなら休みの日は1日中見ていても50GBに収まるだろう。

最大手のNetflixなど動画配信サービスでは画質設定によってパケット消費量が増減する。

 とはいえ、50GBすべてを使い切るほど動画にハマる人は少ないし、そんな人がスマホ単体で見続けるとも思えない。例えばNetflixでデータ量設定が「中」の場合は2時間で1GB消費する。月に8日間ある休日ごとに2時間の映画を2本見たとして、1GB×2回×8日=16GBとなり、50GBにはほど遠い。また、インターネットテレビ局のAbemaTVなら中画質で3時間1GBともう少し効率的だ。なお、一般的に動きの少ない動画は容量が減りがち。実際、Netflixの中画質で2時間の映画を視聴したものの、500MBで済んだ例もある。

AbemaTVも画質設定が可能。テレビを謳い、長時間視聴を指向していることもあり、パケット消費量は効率的だ。

写真や動画のバックアップ、生中継も躊躇なく実行できる

 ネットの利用は動画だけではない。次に大きく消費しがちなのは自分で撮った写真や動画のクラウド保存だ。撮ったそばからクラウドサービスに保存することで、スマホの紛失盗難や誤操作時にも大切な思い出は守られる。また、USBケーブルでつないだりメモリーカードを取り出して取り込むといった手間もない。さらに、PCあるいは外付けHDDなどの保存機器が手元になくてもネットにさえつながればいつでも活用できる。

 良いことずくめに思えるクラウドとの同期サービスだが、一瞬でパケットを消費してしまう。画像1枚3MBとすると、100枚で300MB、それを30日で9GBだ。動画を含めると容量はさらに増す。そして、パケット消費は画像の閲覧時にも発生する。当然、同期時と同様の消費になるわけだ。クラウド上の画像フォルダを開き、画像一覧を表示するだけでもばかにならない。もちろん通常はWi-Fi接続時に限るのが無難だが、超大容量を契約することで、月に数回の同期ぐらいではビクともしなくなる。

iOSではiCloud、AndroidではGoogleフォトの設定次第で撮影後ただちに同期できる。超大容量化で利便性がさらに増すだろう。

業務と共用するBYODにもイラつくことがない

 会社によっては通信料金の補助があるかもしれないが、規定がないなら自分のデータ通信量を会社のために利用することになる。社内メールシステムへのアクセスなど限られた用途だとすれば消費量も少ないだろうが、そんな上手く事は進まない。経験があると思うが、画像たっぷりのプレゼンファイルが添付されていたり、ここを見ておいてとばかりに重いデータが詰まったWebサイトのアドレスが記載されているおかげで、思いがけない消費をしてしまうことも少なくない。

 当然、スマホでは基本的に添付ファイルをダウンロードせず、緊急に見ておくべきものだけをピックアップするので、数GB単位になることはありえない。とはいえ、業務メールだけで毎日50MBほどは取られてしまうので平日合計で月間1GB。月間2GBの契約であれば業務の割合は50%にもなる。それが50GBの契約であれば2%まで比率を下げられる。添付ファイルを見るたびに「ギガが減る」とイライラする必要もなくなるわけだ。お得な超大容量プランとの差額を会社に負担してもらえれば、なおうれしいのだが。

月間50GBの内訳をあらためて

 ここで、50GBでできることをおさらいしよう。2時間で1GBの伝送速度で映画を視聴すれば50本の視聴が可能だが、それほど見ていられないので週末に毎日2本で月間16GB、これに写真を1日100枚撮ってネットで同期して月間でプラス9GB、さらに写真が多いWebサイトの閲覧を1日300MB分見まくってプラス9GB。これでも合計34GBだ。さらに会社で1GB+α。ここまで使えばスマホ操作以外の時間がなくなってしまうように思えるが、ついでに音楽のストリーミング配信で5GB使っても合計40GBだ。

 ハイレゾ音源のアルバム1枚で1GBを超えるようなものもあるが、通常の音質なら容量は小さいし、ダウンロードするタイプならば2回目以降ゼロになる。そのため音楽配信で5GBも使うことはそうそうない。そのほか、SNSも全体からすれば比率は小さく、1日10回タイムラインを確認すると仮定しても1GBに満たない。なお、スマホゲームをガッツリプレイしても月に数百MB程度だ。

 ただし、前回調べた通り、動画を使ったウェブ会議は注意が必要だ。お手軽ビデオチャット「appear.in」を使った場合、2時間で1GB消費した。毎日2時間ウェブ会議するとは考えられないので、週に2回・1時間ずつと仮定すると約4GB。まあ、それを足しても50GBに収まってしまうのが超大容量プランの凄味なのだが。

長時間のビデオ会議は鬼門だが、超大容量プランならギリギリ許容できる。

 このほか、OSアップデートがあれば1GB以上消費してしまうことと、毎日のアプリの更新にも注意が必要だが、このあたりは自宅でのWi-Fi接続時に行なうものなので、除外してよいだろう。

 テザリングをモバイルルーターに任せるならば、あとは誤差の範囲内だ。モバイルルーターを忘れてWi-Fi環境もないという事態が月に1度あるかないかと考えれば、筆者の経験上、500MB以内で済むはず。そしてモバイルルーター持ちであれば、ウェブ会議もそちらに回せる。代わりに、最近は暗い夜道で防犯用に動画チャットや生中継しながら帰宅する人もいると聞くから、空いた容量で帰宅時の動画チャットが可能になる。安全を躊躇なく買えるのは素晴らしいことだ。

 その他、家族とシェアできる100GBプランなどを契約すれば、家族のパケットを割安に使うことができる。家にいる時間が長く、自宅回線をWi-Fi経由で使うことができる家族ならば、1人1GB程度で済んでしまうこともあるだろう。遊びに使うのはためらわれるなら、ウェブ会議や添付ファイルのダウンロード回数を増加させてみるのはどうだろう。

超大容量契約には手続きが必要、利用スタイルをまず把握

 月間50GBといった超大容量を利用するにはキャリアの利用プランを変更するなど手続きが必要だ。1人で50GBを割安に使えるのはソフトバンクだが、家族で利用すると50GB契約者1人あたりの割引が大きくなる。ドコモでは50GBや100GBを家族でシェアするプランがあり、auは20GBや30GBのお得なプランが登場している。

 それぞれの詳細やお得になる条件は非常に複雑なのでここでは触れないが、プラン変更するなら通信事業者の専売ショップやお客さまセンターへ相談するなどし、キャリアの乗り換えも含めて考えるなら、すべての通信事業者を扱うショップで相談してみると良いだろう。

 どのキャリアが最適かはあなたの利用スタイルによって大きく変わる。その際、月にどのくらい消費しているのか、今回のように具体的に計算してみるとよいだろう。さらに、割引やシェアプランの契約に関わるので、家族や同居人などの状況もふまえて相談に行くと、より的確なものが選べるだろう。

 そして、この機会にスマホを買い替えるならば、一緒に購入しておきたいのがモバイルバッテリーだ。今回の計算を見てもわかる通り、50GBはスマホに触れる時間を一気に伸ばしてしまう。どちらかといえばパケット消費の前に、バッテリー消費を気にするほうが先ではと思うほどだ。

超大容量は長時間利用につながる。外出時はモバイルバッテリー(とケーブル)を忘れずに。

超大容量はBYOD派への追い風だ!

 来年以降は働き方改革需要によるモバイル業務ソリューションが本格的に普及し始めるだろう。節約することも悪くはないが、逆にもっと活用して業務と日常生活の両方を便利に、楽しくすることを考えるほうが前向きだ。

 割安な超大容量プランの登場は、そんな利活用をスタートさせるチャンス。テレワーク時代ならではのモバイルワークを一足先に踏み出そう。

筆者プロフィール:正田拓也

PCとの関わりは8ビット機やBASIC全盛の時代から。Windowsとの深い関わりは小規模企業の兼任システム管理者時代から。その後、インプレスWatch記者などを経て、フリーライターへ。得意分野はPC全般からハンダゴテを使った自作系、通信系まで。

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