スマ研・ニュース解説 Vol.10

PREV
1 2
3
NEXT

【NewsPickUp-3】

企業の副業・兼業試行、リスク可視化を支援する「副業特区」

パラレルワーカーやフリーランスがチームやプロジェクトを通じて、自律的に学び、越境活動が行える機会提供プラットフォームTeamlancer(チームランサー)を運用するエンファクトリーは、企業の副業解禁に向けた動きを支援する「副業特区」の提供を開始した。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000025659.html

【解説】

2019年6月に政府が閣議決定した「成長戦略実行計画」では、副業・兼業の拡大を推奨しているが、企業にとって従業員の副業を解禁するのは、まだまだ勇気ある決断だ。どんな副業なら認めていいかという判断基準も持っていないし、情報漏えいの危険や本業と副業を持つことで過重労働に陥るなどの労務管理の問題もある。

こうした課題をいちから自社で考えていくのは大変だ。しかし、企業サイドと従業員サイドで共通利用でき、相互の信頼を構築するための、副業支援のプラットフォームがあれば、ハードルは一気に低くなるだろう。

エンファクトリーが11月18日より提供開始した「副業特区」は、企業が副業解禁のリスクを可視化できる。エンファクトリーはパラレルワーカーやフリーランスが登録することで、副業の機会提供や支援を行うプラットフォーム「Teamlancer(チームランサー)」を運用しており、「副業特区」ではTeamlancerに登録した従業員がそこで紹介されたチームやプロジェクトなどの情報を企業側も共有し、リスクを可視化、チェックが可能になるサービスだ。

人事管理者は社員のTeamlancerでのチーム・プロジェクト登録履歴や兼業活動を可視化しチェックできる。また、社員が副業活動するにあたっての申請書の提出や承認といった申請フロー機能もシステム上で利用可能だ。今後は、企業毎の副業ガイドライン・申請フォーマットのアップロード・管理も可能にしていく予定だ

また、社員が副業活動の時間と内容をレポートすることが可能で、時間については、企業が設定した副業時間を越える手前と越えた場合に自動的にアラートされる機能もある。

一方、社員側の機能としては、Teamlancerを活用して、興味あるチーム・プロジェクトへの参加、必要なメンバーの募集、また、その活動のPR などが可能で、副業・兼業を実践できる。また、イベントで情報を収集したり、ワークショップに参加して自身のキャリアアップを図るなど、副業・兼業の活動準備も可能だ。

「副業特区」の活用ケース

企業の「副業特区」の活用ケースとしては、従業員の主体的な取り組み以外にも、社内(グループ企業内)に限定した副業・兼業の実施で社内に埋もれたタレントを発掘・活用でき、事業連携・新規事業創出の幅を広げることにもつなげられる。

また、社内リソースでは難しい、アイデアや発想を外部から獲得でき、オープンイノベーションを遂行するチームの構築が可能になる。

副業というと、自社の従業員がよそで働くというイメージしかない担当者も多いだろうが、他社の副業希望者を使用するなどのケースもあるわけだ。働き方の多様性が浸透していく現在、「副業特区」のようなプラットフォームを利用して、新しいビジネスチャンスを、企業側とワーカー側で、信頼を築きながら実践していくことが必要なのではないだろうか。

筆者プロフィール:狐塚淳

 スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。

PREV
1 2
3
NEXT