1分でわかるIT用語集

シェアリングエコノミー

インターネットを介して「モノ」や「スキル」を売買したり、賃借したりするシェアビジネス。企業や個人が持つ有形・無形の遊休資産を提供したい側と、必要とする側をインターネットのプラットフォームを通じて結びつける。「モノ」や「スキル」のほか、空き部屋を貸す民泊やオフィスシェアリングなどの「空間」、車を複数人で活用するカーシェアリングなどの「移動」、ネット上で寄付を募るクラウドファンディングといった「お金」と主に5つに分類される。

持続可能な社会づくりが浸透するに伴い、人々の価値観が所有から共有に変わってきたことで、シェアリングエコノミーが注目されるようになった。スマートフォンやタブレット端末が普及し、通信環境が整備されるなど、テクノロジーの進化もシェアリングエコノミー市場が急速に成長した要因になっている。最近では、コロナ禍で在宅勤務が広がり、フリマアプリなどシェアリングエコノミー取引を始める会社員が増えているという。

シェアリングエコノミーは仲介料がかからず、必要なモノやサービスを必要なときに、低価格で利用できる。提供者側は遊休資産を活用するため、初期費用が少なくてすむ。ほとんどの場合、支払いはクレジットカードなどのキャッシュレスで決済が簡単。需要があってシェアできるものなら何でも提供できるので、ビジネスとして成り立ちやすい。

一方で、不特定多数とのやりとりには、トラブル発生のリスクがある。シェアリングエコノミーでは利用者同士の信頼関係が鍵となる。そのため、既存のソーシャルメディアと連携したり、レビュー評価制度を導入したりして、信頼性の確保に努めている。

また、新しいサービスなので、保険や補償制度、法律の整備が追いついていない。最近では、シェアリングエコノミーの取引で得た所得の申告漏れを、国税当局から指摘されるケースが相次いでいる。国税当局は、ネットを介した所得を把握するため、専門のプロジェクトチームを設置して情報収集を強化。仲介業者に顧客情報を照会できる制度などの対策に乗り出している。
(青木逸美)