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ファントークン

ファンとブランドの関係構築を目的とした暗号資産(仮想通貨)のこと。保有者はブランド方針決定への投票権を持つという特典がある。現在、ファントークンは主にスポーツ業界で利用されている。とくに、欧州のプロサッカークラブが積極的に導入、その利用は世界に波及した。日本では、Jリーグの湘南ベルマーレがファントークンを採用している。

Jリーグを例にすると、ファントークンはそのクラブ独自の通貨と考えられる。クラブの経営状態がよくなれば、通貨の価値も上がっていく。ただし、悪くなれば下がる。ファンは好きなクラブに貢献することで満足が得られ、クラブは資金調達にもなる上にファンとのエンゲージメント(誓約、約束という意味)を強化できる。

流通するファントークンの多くは、ユーティリティトークンとして発行されている。ユーティリティトークンは、ブロックチェーンを介して商品やサービスに交換することが前提のトークン。透明性・安全性が高く、トレーサビリティ(追跡可能性)という性質を持つブロックチェーン技術と紐づけることで、活用用途が拡大した。

NFTもブロックチェーンを利用したトークンだが、非代替性という特徴を持ち、デジタルデータに固有の価値を与える。ファントークンはビットコインと同じように代替性で、自分の持っているものと、他人が持っているものは同等である。

ファントークンはファンが特典やグッズ目当てに保有するだけでなく、投資家の投資目的にもなっている。今後、スポーツ業界だけに止まらず、幅広い分野で利用されていくと予想されている。
(青木逸美)