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DeFi

「Decentralized Finance」の略称で、中央管理者を必要としない金融サービスの呼称。「ディーファイ」と読む。これまで、金融の仲介は、銀行や証券会社、証券取引所、生命保険会社などが担ってきたが、DeFiには中央管理者としての仲介者が存在しない。すべての取引はブロックチェーン(分散型台帳)に記録され、ユーザーが取引記録が正しいかどうか精査し、承認する仕組みだ。ユーザー同士が管理する仕組みを日本語では「分散型金融」という。仲介者不在であることから、「オープンファイナンス(Open Finance、Op-Fi)」とも呼ばれる。

従来の金融サービスは、国や銀行などの金融機関が主体となっている。そのため、国や地域の法令に基づいてサービスを受けることになる。例えば、日本で海外の投資商品に投資する場合、その国の金融機関で口座を開設、日本円をその国の通貨に交換し、金融商品を購入する必要があった。ルールや条件によっては、サービスそのものを受けられない可能性もある。一方、DeFiのアプリケーションを利用して、仮想通貨を保管する「ウォレット(財布、札入れという意味)」を開設し、誰でも、いつでも、どこでも金融商品を購入できる。

また、銀行から資金を調達して海外に送金するとタイムラグが発生し、仲介者に高額な送金手数料を支払うことになるが、DeFiは仲介者が存在しないため、時間的・金銭的コストが大幅に削減される。さらに、氏名や住所などの個人情報の提示が不要なので、プライバシーが侵されることもない。

DeFiには、次のようなデメリットもある。取引の際、ネットワーク手数料の支払いが必要となるが、日本円などの法定通貨を使うことはできない。事前に仮想通貨取引所に口座を開設して、仮想通貨を購入するという一手間がかかる。DeFiは日本の法律では認可されていないので、消費者保護のシステムがない。中央管理者のサポートもないので、トラブルは自己責任となる。

世界各国で法規制・法整備の必要性が提起されており、議論も進んでいる。今後、誰でも自由に取引できるというDeFiの利用環境が大きく変わる可能性がある。
(青木逸美)