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2019/10/04

ワーキング革命 - 第42回

プリント量の減り方で見えてくる働き方改革の実践度


IT専門調査会社のIDC Japanは、働き方改革と企業のプリンターや複合機のプリント量の相関関係を調査した。今年の4月に発表された調査結果によれば、従業員のモビリティの増加はプリント量のマイナスにつながるという。一方で、残業時間の短縮などはプリント量にそれほど影響を及ぼさないようだ。こうした調査結果からは、働き方改革に関連した商材の提案ポイントが見えてくる。

文/田中亘


この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売)からの転載です。

公式サイトはこちら→ PC-Webzine

テレワークとフリーアドレスの効果

 調査にあたってIDC Japanでは、ある仮説を立てていたという。それは、政府の主導する働き方改革によって、労働時間の短縮が促進されると、それに伴って企業のプリント量は減るのではないか、というものだ。しかし、実際のアンケート調査の結果からは、明確な相関関係は見いだせなかった。

 IDC Japanの調査によれば、残業時間の短縮によってプリント量が減少すると回答した割合は約20%。半数は影響がないと答え、残る約30%は増えると回答している。調査の正確性を高めるために、今回のアンケートは総務部やIT部門でプリンターや複合機を管理している部門の担当者を中心に調査を進めたという。

 プリント量の減少に貢献する働き方改革の取り組みとして、調査結果から浮き彫りになったのはテレワークフリーアドレスだった。テレワークは約40%、フリーアドレスは40%強がプリント量のマイナスに貢献すると回答している。その理由として考えられるポイントは二つある。

 まず、テレワークに関しては在宅やサテライトオフィスでの仕事になるので、本社などのプリンターや複合機を利用しなくなる。物理的にプリント量は減る。ただし、個人の働き方によっては、自宅や出先で会社にいるときと同様に紙を打ち出すことも考えられる。そのため、テレワークとプリント量に関しては、もう少し踏み込んだ状況分析が必要になる。

 もう一方のフリーアドレスは、物理的にも心理的にも紙を増やせない状況を作り出すので、プリント量削減の的確な効果が得られる。フリーアドレスを実践している企業では、基本的に社員の定席はない。各自に専用のロッカーとキャビネットは用意されるが、資料を積んだままにしておける自席がないので、自ずと紙を減らす方向に意識が向く。

 フリーアドレスが当たり前になる以前、増え続ける紙や資料を減らす目的で、定期的にフロアの配置換えを行う企業も多かった。いわゆる「社内引っ越し」によって、各自に不要な資料などを捨てさせていた。フリーアドレスになると、それが毎日になるので、自ずとプリント量にも影響が出る。

 加えて、テレワークやフリーアドレスを推進している企業では、紙の回覧を廃止していたり、承認や申請のIT化が進んでいたりする。そうした総合的な状況も含めて、プリント量の削減を実現している。

業務フローのデジタル化を提案

 IDC Japanの調査結果は、各企業のプリント量の増減を調べることで、その会社の働き方改革の進捗度を推し量るバロメーターになることも示唆している。直近のプリント量が数カ月や1年前の値と比較してほとんど増減のない企業では、効果的な働き方改革が実践されていないと推測できるのだ。もし、明確なプリント量の減少が確認されたならば、テレワークかフリーアドレスが導入されたかどうかを調べてみればいい。また、ワークフローやITを活用したドキュメント共有やコラボレーション環境が構築された可能性も考えられる。

 プリント量に変化がない企業に対しては、今回の調査結果を紹介して、テレワークやフリーアドレスによる働き方改革の効果が期待できると提案できる。テレワークであれば、モバイル関連のデバイスやクラウドサービスの商材として紹介が可能だ。また、自宅でプリントすることを考えると、プリントをモニターするソリューションなども提案できる。

 一方のフリーアドレスは、オフィス内のファシリティなども関係してくるので、一社で提案するのは難しいかもしれない。ただ、フリーアドレスを実現するためには、紙による申請や承認、回覧などを廃止して、ITによるワークフローを実現しなければならない。そこで、フリーアドレスのための準備としてワークフロー商材を提案できるチャンスはある。

 ビジネスの多くは、さまざまなドキュメントで成り立っている。そのドキュメントに記録された情報を伝えるために「紙」の果たす役割は大きい。PCが普及した当時にも、情報の電子化によって紙は減ると唱えられていた。しかし、低価格プリンターの普及や、モニターでは確認できない仕上がりを見るために紙の消費が増えた企業は多い。

 手軽に印刷できる環境をなんとかしようと、複合機に集約して解決しようとした例もある。こうした取り組みは、決して無駄ではないものの、根底には紙に頼る業務フローや、デジタル化された情報に対する信頼の低さがある。

 スマートフォンやタブレットが普及し、モバイルPCの画面解像度が上がり、大型モニターも安くなっている。その気になれば、いくらでも紙を使わない仕事は実現できる。そのためには、トップダウンでの意識改革も必要だ。特に、紙を回覧するような業務フローからデジタル化されたワークフローに切り替えるためには、経営トップからの強い意志とメッセージが求められる。

 つまり、プリント量を減らす努力は、単なる経費の削減やエコロジーへの取り組みだけではなく、経営のスピードやビジネスの質を高める経営判断につながる。その真価を伝えることが、ワーキング革命の新たな提案につながるはずだ。

(PC-Webzine2019年9月号掲載記事)

筆者プロフィール:田中亘

東京生まれ。CM制作、PC販売、ソフト開発&サポートを経て独立。クラウドからスマートデバイス、ゲームからエンタープライズ系まで、広範囲に執筆。代表著書:『できる Windows 95』『できる Word』全シリーズ、『できる Word&Excel 2010』など。

この記事は、ICTサプライヤーのためのビジネスチャンス発見マガジン「月刊PC-Webzine」(毎月25日発売/価格480円)からの転載です。

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