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2018/07/11

今読むべき本はコレだ! おすすめビジネスブックレビュー - 第2回

ライバル企業のビジネスモデルを暴く方法



『成功企業に潜む ビジネスモデルのルール』山田英夫・著

目の上のたんこぶ、あるいは遙か高みに位置するライバル企業たち。彼らが成功した理由――ビジネスモデルを真似てもなぜか成果が出ない。そんなときは本書を読んで、裏に潜む「真のビジネスモデル」を探し当てよう。意外なところに大儲けの理由が隠されているはずだ。

文/成田全


見えない、見えにくい部分にこそビジネスモデルの秘密がある

 検索エンジンで検索をかければ億単位でヒットする、誰もが普通に口にしている言葉「ビジネスモデル」。『大辞林』によると、その意味は「利益を生み出す仕組み。特に、情報技術やインターネットを利用して、消費者や取引先とのアクセス手段・商品や行為の選択・決済・配送まで一連の経済行為をシステム化し、さらにそれをモデル化したものを指す場合が多い」とある。

 この「システム化」「モデル化」こそ、ビジネスモデルの中で知りたいことだ。他社がどう儲けを出しているのか、そこにはどんな秘密があるのか……しかし参考にしようと検索エンジンで探しても、そこには狙ったようなことは出てこない。それは探している側が望むような参考例に「ビジネスモデルというタグ」がふられていないからだ、と指摘しているのが今回ご紹介する『成功企業に潜む ビジネスモデルのルール』だ。

 著者である早稲田大学ビジネススクール教授の山田英夫氏は「はじめに」で、こう書いている。

 ビジネスモデルの構築において、外部から見えやすいマーケティングの部分については、参考になる書籍がたくさんある。しかし、外部からは見えにくい「コスト」と「競争」の構造にも焦点を当てなければ、儲けの源泉にはたどりつくことはできない。

 成功している企業の見えない部分、見えにくい部分にこそ参考にしたいビジネスモデルの秘密が潜んでおり、本書はそこへフォーカスしていく。綿密な調査と取材、研究から導き出された具体例を知ると、本書のタイトルである“成功企業に潜むビジネスモデルのルール”がわかり、「ほー、そういうことがあったのか!」と思わず膝を打つことになる。しかも各社の取り組みがわかりやすく紹介されているため、非常に読みやすい。

コンビニATMへの紙幣補充が「月1回」で済む理由とは?

 本書は、それまで低価格でプリンターを売り、高価格の取り替え用インクカートリッジを販売することが収益源であった「エプソン」が、インドネシアで現地の業者がインクカートリッジを勝手に充填してしまうケースが続出したことから新たなビジネスモデルである「タンクレスモデル」の発売に踏み切ったエピソードを始めとして、「セブン銀行」「ソニー損害保険」「成田空港」「三菱電機」「リクルート」などの有名企業から、「リバイバルドラッグ」「ソラコム」「ランドスケイプ」「カーブス」「ソニー不動産」「ライフネット生命」といった中堅~ベンチャー企業などによるビジネスモデルが紹介され、なぜ上手く行っているのかが解説されている。また現状のままだと今後どんな懸念があるのかも指摘されているので、新たなビジネスモデルのヒントとなり得ることだろう。

 例として、本書で取り上げられているセブン銀行の「見えないビジネスモデル」についてご紹介しよう。セブン-イレブンにある「コンビニATM」、これに紙幣を補充するのはなんと月に1回ほどなのだそうだ。1日に日本全国で約200万人が利用し、24時間年中無休で稼働するセブン銀行のATMは入金よりも出金が圧倒的に多いように思えるが、なぜこれが実現できるのか? それは、銀行の夜間金庫に代わる「売上金入金サービス」を行っているからである。銀行が開いていない時間にレジを締めて当日の売上金を預け入れる人がいるため、月に1回でやっていけるのだ。

 ATMの現金補充・回収には、ヘルメットをかぶった重装備の二人の警備員、そして現金輸送車の運転手が必要になるため非常にコストがかかる。またセブン銀行のATMは小銭や通帳を扱わないので、ATM機器にかかるコストも通常の銀行ATMに比べて安くなっている。こうした見えない部分でコストを圧縮しているため、収益を上げられるようになっているのだ(もちろんこれ以外にも様々な要因があるので、ぜひ本書をお読みいただきたい)。またセブン銀行の今後の懸念として、金利が上昇した際の機会損失、そして電子マネーの普及などキャッシュレス化によるATMの負債化などが挙げられている。

ビジネスモデルは「改善」からは生まれない

 本書は3章まで各社の事例を元に説明しているが、「どうもウチの会社は新しいビジネスモデルのアイデアが出ない」という方は、第4章「ビジネスモデル構築と運用のポイント」を熟読していただきたい。これまでの常識を一度スッパリと切り離さねばならないこと、そして今求められていること、やらなくていいことを見極めることなど、ビジネスモデルを生み出すには「改善」ではなく新たな「構築」が必要であることが理解できるはずだ。

 こうした考え方ができないと、せっかく新しいビジネスモデルを開拓したとしても、その手法を取り入れた企業に次々と参入され、あっという間に価格競争に飲み込まれて撤退を余儀なくされる、またはその分野の先行企業に喧嘩を売ってしまう状態(本書では「大手の“虎の尾”」と表現している)になってしまう。これはなんとしても避けなければならないことだ。

 社内の人間にしかわからない、競合している企業しか気づけないような、見えない部分の「コスト構造」と「競争構造」による持続的な優位性、他社が簡単に真似できないような工夫、そして顧客や他社と協力できる部分を協力し合える柔軟性など、新しいアイデアがあっという間に陳腐化して過去のものになる今だからこそ、新たなビジネスモデル構築のためのヒントを本書から学んでもらいたい。

まだまだあります! 今月おすすめのビジネスブック

次のビジネスモデル、スマートな働き方、まだ見ぬ最新技術、etc... 今月ぜひとも押さえておきたい「おすすめビジネスブック」をスマートワーク総研がピックアップ!

『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』(ルトガー・ブレグマン 著/文藝春秋)

ピケティに次ぐ欧州の新しい知性の誕生――オランダの29歳の新星ブレグマンが、「デ・コレスポンデント」という広告を一切とらない先鋭的なウェブメディアで描いた新しい時代への処方箋は、大きな共感を呼び、全世界に広がりつつある。最大の問題は、人間がAIとロボットとの競争に負けつつあること。その結果「中流」は崩壊し、貧富の差は有史上、もっとも広がる。それに対する処方箋は、人々にただでお金を配ること、週の労働時間を15時間にすること、そして国境線を開放することである。それこそが、機械への『隷属なき道』となる。(公式サイトより)

『「原因と結果」の経済学――データから真実を見抜く思考法』(中室牧子、津川友介 著/ダイヤモンド社)

「メタボ健診を受けていれば健康になれる」「テレビを見せると子どもの学力が下がる」「偏差値の高い大学に行けば収入は上がる」はなぜ間違いなのか? 世界中の経済学者がこぞって用いる最新手法「因果推論」を数式なしで徹底的にわかりやすく解説。世のなかにあふれる「根拠のない通説」にだまされなくなる!(公式サイトより)

『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』(河合雅司 著/講談社)

前著『未来の年表』が年代順というタテ軸を用いて俯瞰したのに対し、本書は起きる出来事を「ヨコ軸」、すなわち面としての広がりをもって眺める。少子高齢化や人口減少で起きることを、家庭、職場、地域社会といったトピックスに分けてカタログ化すれば、さまざまなシーンを「あなた自身の問題」として具体的に置き換えることができる。そしてそれは、10年後、20年後の日本でうまく立ち回っていくための指針となる。(Amazon内容紹介より)

『データサイエンス入門』(竹村彰通 著/岩波書店)

ビッグデータの時代だ。さまざまな分野の研究がデータ駆動型に変わってきている。ビジネスでのビッグデータ利用も人工知能の開発とあいまって盛んだ。データの処理・分析に必要な情報学(コンピュータ科学)と統計学の基本知識をおさえ、またデータから新たな価値を引き出すスキルの学び方を紹介する。待望の入門書。(Amazon内容紹介より)

『ソーシャルメディア・マーケティング』(水越康介 著/日本経済新聞出版社)

本書では、ソーシャルメディア(SNSやブログなど)の個別具体的な活用法ではなく、共創という概念が従来のマーケティングを進化させたというストーリーを描く。ネットの隆盛で既存のマーケティングが役にたたなくなったわけではない。マーケティングに精通した学者が、新しい概念を取り込んで体系化し、SNS等のソフトの盛衰にかかわらず、時代に即したマーケティングを解説する。(Amazon内容紹介より)

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。文学、漫画、映画、ドラマ、テレビ、芸能、お笑い、事件、自然科学、音楽、美術、地理、歴史、食、酒、社会、雑学など幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1500人以上を取材。

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