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2019/10/23

今読むべき本はコレだ! おすすめビジネスブックレビュー - 第14回

なぜ世界中の企業が5Gに注力するのかがわかる一冊


『5Gビジネス』亀井卓也 著

社会を変えると言われる5G。日本でも2020年に向けての整備が進み始めている。しかし、「スマホの速度が速くなる」以上のインパクトを理解している人は案外少ないのでは? この本を読むことで、世界中の企業が5G「ビジネス」に目の色を変えて注力する理由がわかるだろう。キーワードは「高速大容量通信」「超信頼・低遅延接続」「多数同時接続」だ。

文/成田全


これまでの世代とは決定的に違う「5G」

 2020年、日本でも本格的な「5G」のサービスが始まる。5G(ファイブジー)とは「5th Generation」の略で、「第5世代移動通信システム」を意味する言葉だ。移動通信システムはこれまで第1世代(1G)から、現在の第4世代(4G)へと発展してきた。ところが5Gは、これまでの世代とは決定的に違っていることがあるという。5Gは何が優れているのか、どんなことが可能なのか、また社会にどんな影響があるのかをまとめたのが、今回ご紹介する『5Gビジネス』だ。

 本書の第1章には日本の移動通信システムの歴史がまとまっている。簡単に振り返ってみよう。

 1979年に商用化された自動車電話、そして1980年代に登場した持ち運べる携帯電話が「1G」だ。アナログ方式だった1Gをデジタル方式に進化させたのが、1990年代の「2G」で、この時代、携帯電話が爆発的に普及し、データ通信によってメール送信も可能となった。そこに登場したのが、インターネットにつながる「iモード」や「EZweb」、さらには携帯電話で写真を撮影して送れる「写メール」などの革新的サービスだ。これによって移動通信システムは単なる「移動電話」から「プラットフォーム」へと進化を遂げることとなった。

 2001年、世界共通のデジタル方式「3G」が開始してスマートフォンが登場、動画などもストレスなく楽しめるようになった。さらにその速度を高めたのが、2012年に登場した「4G」だ。このように昭和の終わりに登場し、平成に入ってから凄まじい進化を遂げた移動通信システムは、約10年ごとに新たな世代となってきたのだ。

 次世代の5Gはすでにアメリカや韓国など一部では実用化されているが、これを4Gまでのような「移動通信システムの発展型」「通信が速くなる」というだけの認識では、5Gが及ぼす社会に与えるインパクトを見誤ってしまうことになる。それが本書のタイトルにある「ビジネス」という言葉に込められているのだ。「動画のダウンロードが速くなったり、ゲームで遊んでいるときに止まってイラッとしないよう進化するんでしょ?」と思った方は、すぐにでも本書を手に取ってもらいたい。

「高速大容量通信」「超信頼・低遅延接続」「多数同時接続」の実現

 5Gでは上りも下りも「高速大容量通信」となり、4G時代の10倍以上も通信速度が速くなる。これによって2時間の映画も数秒でダウンロードが完了するという。しかしこれは5Gの進化の一側面に過ぎない。

 他にもリアルタイム性を確保し、通信の種類ごとにネットワークの層を仮想的に薄切りにする“ネットワークスライシング”を行うなどの「超信頼・低遅延接続」、ひとつの基地局に大量の端末がアクセスしても接続できる「多数同時接続」を可能としている。その理由について、本書にはこう記されている。

 5Gの存在意義は通信インフラそのものにではなく、その通信インフラの上で、どのように人のライフスタイルを革新できるか、企業や社会のデジタルトランスフォーメーションを実現できるか、にあるからです。

 つまり、今はまだ表に現れていない需要を掘り起こし、5Gを活用したこれまでにないサービスを提供していけるのかを考えること=新たなビジネスになる、ということなのだ。通信事業者の5G環境を使って、電力会社がメーターの検針を自動化したり、工場内の産業用ロボットをコントロールしたり、コネクテッドカーやスマートシティの実現、遠隔医療といったこれまでよりも高度な環境で通信を行うため、途切れたり遅延がないよう進化したのが5Gなのだ。

 通信事業者は、これまでの「B2B(Business to Business=法人向け事業)」や「B2C(Business to Consumer=消費者向け事業)」だけではなく、「B2B2X」というビジネスモデルを掲げている。これは通信事業者が他の産業(「センターB事業者」と呼ばれる)に大容量の通信に付加価値を付けて提供、センターB事業者はエンドユーザー(スマートフォンなどを使う私たち)に向けた新たなサービスを提供することになる。さらに通信事業者からエンドユーザーには様々なサービスを受けられるメリットが提示され、エンドユーザーは端末のデータを通信事業者へと還元することになる。すべてのものがインターネットでつながる“IoT”では、各端末が「センサー」として働き、データをアップロードする。そのため「上り」も強化されているのだ。

5G実用化を急ぐ理由とは?

 本書は、プロローグ「202X年、ある日の風景」という、5Gが普及するとどんなことが可能になるのか、3つの未来における日常が描かれるところから始まる。そして第1章の「5Gが話題になる理由」から「5Gが変える生活」「ビジネスをどう変えるのか」と続き、実際にどういうことが起きるのか、身近な例や具体例をあげて詳しく解説されている。

 そして第4章では「5Gがもたらすリスク」として、プライバシーの問題や地域間格差、パーソナルデータを集約した「スコアリング」の普及といった5Gの負の側面にもしっかりと目を向けている。そして最後の第5章「5G時代にわれわれは何をすべきか」で、5G普及後の世界がどうなっていくのかを予測している。

 アメリカや韓国などが実用化を急ぐ理由、それは「新たな産業の創出」だ。

 米国や韓国が5G環境の構築を急ぐのは、その上で新たな産業を創出したい、新たな産業の担い手を自国に集めたいという意図があるわけです。日本として海外諸国と「世界初の5G」を競い合う必要は必ずしもありません。しかし、5G環境の構築がいつまでも進まずに世界のイノベーション競争から取り残されることは避けなければなりません。

 日本では2020年の東京五輪が、5Gの真価を目の当たりにする舞台となるだろう。世界の注目が集まる中でインパクトを与えるためにも、5Gについてわかりやすくまとまっている本書でいち早く基本を知り、新たなニーズを掘り起こしてもらいたい。

まだまだあります! 今月おすすめのビジネスブック

次のビジネスモデル、スマートな働き方、まだ見ぬ最新技術、etc... 今月ぜひとも押さえておきたい「おすすめビジネスブック」をスマートワーク総研がピックアップ!

『Q&A 日本経済のニュースがわかる! 2020年版』(日本経済新聞社 編/日本経済新聞出版社)

「外国人労働者を受け入れる課題は何ですか」「消費税の10%への引き上げで日本経済はどうなりますか」など、40~50個のトピックで構成。「いまさら聞けない……でも、わからない」そんな悩みをサクッと解決。各分野に詳しい日経記者が、Q&A形式で疑問にズバッとお答えします。経済がまったくわからない人でも容易に読めるように、目線を下げて解説。難しそうな単語は、用語解説をいれるという工夫を凝らしています。この一冊で、日本経済の主要な課題を把握できます。豊富なグラフで、何がどう変わったのかを一目で理解することができます。ビジネスで、就活で、話題についていくための必携書です。一項目完結のスタイルなので、知りたい項目だけを拾い読みできます。巻末に、別途「ニュースを読み解く重要キーワード」を掲載しました。実際の日経新聞の過去記事を使用しながら、重点的にキーワードの解説をします。(Amazon内容紹介より)

『文系のためのデータサイエンスがわかる本』(高橋威知郎 著/総合法令出版)

『データサイエンス』と聞き、「正直、よくわからない」という方も多いのではないでしょうか。データサイエンスとは、データとビジネスを結びつけ成果を出すための架け橋であり、今もっとも注視すべき事柄です。なぜなら、ビジネスシーンにおいてデータが鍵を握る時代が到来しているからです。データサイエンスは社内の課題解決にとどまらず、ひとつの経済圏を作り上げます。代表的な例がGAFA(Google・Amazon・Facebook・Apple)です。ただ、特に文系の方はデータサイエンスを使いこなすには少々骨が折れます。しかし、使いこなせないまでも、専門家(データサイエンティスト)との橋渡しという重要な役にはなれます。実際、そういった存在が今求められています。本書は、とっつきにくいデータサイエンスを、業界No.1データサイエンティストが初心者や文系人間にもわかるよう事例を用い解説します。(公式サイトより)

『中国「草食セレブ」はなぜ日本が好きか』(袁静 著/日本経済新聞出版社)

日本人では、年配層しか出入りしないような高級ホテルや高級レストランでいとも自然にくつろぐ中国の若者たち――彼らは一体、何者。実は、中国では、文化大革命が終わってから生まれた「80後」「90後」(20代30代)こそが、金銭的な余裕と消費意欲を兼ね備えている。その意欲は、ブランドのバッグやグルメ旅行にはじまり、整形手術まで幅広い。インバウンドに精通した著者が、彼らの消費性向と、日本企業の参入のヒントを語る。(公式サイトより)

『儲かる中小企業になるブランディングの教科書』(寺嶋直史 著、岩本俊幸 監修/日本実業出版社)

本書では、事業再生コンサルで見出し、体系化した「強み・価値」の発見方法を中心に、営業現場や社内の実務で使える「営業マップ」「1枚提案書」「営業管理ツール」「ブランド・ステートメント」「自己紹介ツール」など、著者が開発した様々な営業ツールの紹介と作成方法、効果が出るノウハウも解説します。しかも、各フォーマットのダウンロードサービス付きです。本書を読めば、すべての営業マンが「プロの営業」に大変身。これで御社も売上アップ、間違いなしです!(Amazon内容紹介より)

『システム思考がモノ・コトづくりを変える デジタルトランスフォーメーションを成功に導く思考法』(稗方和夫、髙橋裕 著/日経BP)

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し実現するために有効な思考法である「システム思考」を、ビジネスパーソンに向けてわかりやすく説明したのが本書です。戦略を司る経営層、モノづくり・コトづくりを支える現場のリーダー層に読んでいただきたい1冊です。ビジネスを変革・改善するには、 多様化・複雑化する課題に対して、適切な解決策を見出す必要があります。そのための考え方・手法が「システム思考」です。複雑化する社会、言い換えれば、「複数の要素が密接につながり合い、協働し合う=システム化する」社会において、モノ(製品)づくり・コト(サービスや体験)づくりに不可欠な要素である顧客の要望や自社のコア技術などを俯瞰的に捉えて見える化し、適切に検討して創発することで、DXを成功に導く――。この実現手法である「システム思考」を、わかりやすく、具体的に説明します。(Amazon内容紹介より)

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1600人以上を取材。『誰かが私をきらいでも』(及川眠子/KKベストセラーズ)など書籍編集も担当。

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