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2020/08/21

今読むべき本はコレだ! おすすめビジネスブックレビュー - 第22回

「テレワークの社内ルールを即作成しろ」と会社に無茶ぶりされたら、まずこの本を読もう


『Q&Aでわかるテレワークの労務・法務・情報セキュリティ』足立昌聰 編著、寺島有紀、世古修平、笹川豪介、関原秀行 著/技術評論社

アフターコロナの情勢下では「いつでもテレワークできる社内体制」が必須。しかし、労務・法務・セキュリティと考えるべき課題は多岐にわたり、浮かぶ疑問もまた多い。今回取り上げるのは、会社がテレワーク体制を整える際に必要な論点と解決策を詰め込んだ、テレワーク虎の巻とでもいうべき一冊だ。

文/成田全


急務である「テレワークに関するルール」の策定

 東京商工リサーチが行っている調査「新型コロナウイルスに関するアンケート」の第6回(7月14日発表)で、新型コロナウイルスの流行で導入した在宅勤務やリモートワークを現在も継続して実施していると回答した企業は全体の31.02%だったという。

 一方で、一度も実施していない企業は42.2%、実施したが現在は取りやめたという企業が26.78%もあったそうだ(回答のあった1万4356社の割合)。

 今回のコロナ禍は想定外の事態であり、しかも感染拡大による社会の変化が急だったため、インフラの整備が間に合わなかったことや既存の就業規則では対応しきれなかったこと、また社員の感染防止は徹底したいが、業績の悪化はなんとしても避けたい……テレワークを一度も実施していない、実施したが取りやめた、という企業からはそんな思いも透けて見える。

 しかし都市部を中心に再び新型コロナウイルスの陽性者が増えている現在、働き方を「コロナ以前」の状態に戻すのは賢明な選択ではない。そのためにも在宅勤務やテレワークができる体制を、あらゆる面でしっかりと整えておくことが急務だ。

 だが何を優先すべきか、どこで線引きをしたらいいのか、テレワーク可能な仕事と不可能な仕事はどう振り分けたらいいのか、どんなルールを策定したらよいのかわからない……という声があるのも事実だ。そこで担当者の皆さんにご紹介したいのが、『Q&Aでわかるテレワークの労務・法務・情報セキュリティ』だ。

「Q&A形式」なのでピンポイントでの検索が可能

 本書はすべてQ&A形式になっており、テレワークを始めたものの曖昧なままになっていることや、社内で問題になっていることなどをピンポイントで探すことができる。また執筆から出版までわずか3ヶ月で作られた本なので、最新の情報(2020年6月9日の法令、ガイドラインに基づいた内容)が盛り込まれている。

 本書は全3章で構成されている。

 第1章「労務のQ&A」ではテレワーク導入のイロハから、従業員の労働時間管理、通信費や通勤手当について、人事評価をどうすべきかといった労務関係の問題についての解決法が載っている。例えばテレワークの際、社員が自宅でプライベートで使っている通信回線を使用した場合の費用負担をどうするのか、という悩ましい問題についての解説もある。またテレワーク時の人事評価については、経営者や管理職の評価以外に、同僚などからの評価も取り入れる「ピアボーナス」の導入を勧めるなど、内容は多岐にわたっている。

 第2章「法務のQ&A」では押印について、取締役会や株主総会をオンラインで開催できるのかどうか、賃料の減額請求についてなど、法務関係の問題がまとめられており、テレワーク時に問題となった、従業員が仕事をサボっていないかどうかパソコンをモニタリングすることの是非についても言及されている。もしモニタリングをするのであれば、どこへ話を通し、どのようなルールを策定するべきか、社員への通達をどうするのか、クラウドサービスを使う際はどのように個人情報を管理したらよいのかなどが懇切丁寧、かつコンパクトにまとめられているので、法務担当者の方は一読されることをお勧めしたい。

「急務」のための、心強い一冊

 続く第3章「情報セキュリティのQ&A」では、テレワーク時に事業を継続していく上での問題点や社員へのセキュリティ教育について、自宅での業務とプライベートの衝突をどう回避するのか、また家族への情報漏洩の問題や、自宅外で作業することは是か非かなど、細かいところまで行き届いた内容が詰まっている。

 また各章には規程に追加すべき文言の例があり、巻末には付録として「テレワーク規定テンプレート」があるので、新規ルール策定の際の参考となるだろう。

 未曾有のコロナ禍はまだまだ予断を許さない状況だが、テレワークとなったことで自分の仕事の意義や意味を捉え直すきっかけとなったり、実は会社へ来るだけで仕事を全然していなかった人や必要がなかった会議や出張など、多くの無駄があぶり出されたという側面もある。毎日の電車通勤がどれほどの負担になっていたのかを痛感した方も多いことだろう。

 7月末、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加していることを受け、西村康稔経済再生担当大臣は企業に対して社員のテレワーク率を70%に推進することの再徹底を要請した(感染防止策をまとめた業種別ガイドラインの徹底、体調の悪い人は出社を控えさせてPCR検査を勧めること、時差通勤や大人数の会食を控えること、接触確認アプリCOCOAの導入促進なども併せて通達している)。

 今後、新型コロナウイルスの流行がどうなるのかは誰にも予測できないが、生き残りをかけた厳しい社会となることはもはや避けられない。そのためにも、コロナ禍での急務であるテレワークに関する社内規程を策定することは、社員が安心して働くことに繋がり、さらには優秀な人材を確保する上でも重要となる。担当者にとって心強い一冊となるはずだ。

まだまだあります! 今月おすすめのビジネスブック

次のビジネスモデル、スマートな働き方、まだ見ぬ最新技術、etc... 今月ぜひとも押さえておきたい「おすすめビジネスブック」をスマートワーク総研がピックアップ!

『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(デヴィッド・グレーバー 著、酒井隆史、芳賀達彦、森田和樹 訳/岩波書店)

やりがいを感じないまま働く。ムダで無意味な仕事が増えていく。人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析し、ブルシット・ジョブ蔓延のメカニズムを解明。仕事の「価値」を再考し、週一五時間労働の道筋をつける。『負債論』の著者による解放の書。(Amazon内容紹介より)

『ニューノーマル時代のビジネス革命』(日経クロストレンド、藤元健太郎 著/日経BP)

「ニューノーマル」「アフターコロナ」と呼ばれる時代は、ただ「コロナ前」の日常に回帰するのではなく、以前には戻れない不可逆な変化が起こる。本書ではニューノーマルにおけるビジネスコンセプトと事業機会を、4つのキーワードで整理することを試みた。トレーサビリティー、フレキシビリティー、ミックスドリアリティー、ダイバーシティーの4つである。不可逆なニューノーマルに向けて、企業の戦略から個人の生き方まで、どのように最適化していくか。考えるための羅針盤になるべく、現在起きている萌芽事例や事象を可能な限り盛り込んだ。(Amazon内容紹介より)

『ブランデッドエンターテイメント お金を払ってでも見たい広告』(カンヌライオンズ審査員 著、鈴木智也 監修・訳、PJ・ペレイラ 編/宣伝会議)

Amazon Prime Video、NETFLIX、Hulu、Spotify、YouTube Premium……観客たちがお金を払い「広告を避ける権利」を手に入れた今、お金を払ってでも見たい広告とは? 世界最大級の広告クリエイティブの祭典『カンヌライオンズ』の審査員15人が初めて語る、未来の広告手法「ブランデッドエンターテイメント」とは? 受賞作制作の舞台裏ストーリー満載。(Amazon内容紹介より)

『アフターデジタル2 UXと自由』(藤井保文 著/日経BP)

アフターデジタル社会になると、市場のルールが変わると考えたほうがいい。キーワードは「UX」。そして、アフターデジタル社会において成功企業が共通で持っている思考法を「OMO」(Online Merges with Offline)と呼びます。社会の変革は避けようがないなら、こうした新たなルールをいち早く学び、自社の立ち位置を決めて戦略を練らねば負けてしまいます。既に新たな成果を出し始めている日本企業もあります。デジタルを強みにするには必読の書です。(Amazon内容紹介より)

『顧客体験マーケティング 顧客の変化を読み解いて「売れる」を再現する』(村山幹朗、芹澤連 著/インプレス)

天才でなくても「売れる商品」は作れる。顧客第一、顧客視点、顧客体験……マーケティングにとって顧客に寄り添う姿勢は大切です。しかし顧客を「理解」しても、施策に結びつかなければ意味がありません。本書は100以上のブランドで5000以上の顧客体験を分析してきた著者が、「顧客体験」を軸にしたマーケティングの実践方法を体系的に解説した本です。顧客の声を「ナラティブ分析」で掘り下げながら、ブランドが次に打つべき施策や押し出すべき価値を、誰でも理解できる形で導きだします。戦略立案やターゲット設定から、個別の施策やクリエイティブの検討方法まで、現場で役立つノウハウが満載です。(Amazon内容紹介より)

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1600人以上を取材。『誰かが私をきらいでも』(及川眠子/KKベストセラーズ)など書籍編集も担当。

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