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2018/09/28

今読むべき本はコレだ! おすすめビジネスブックレビュー - 第5回

最初は必ず失敗するが、続ければ目標達成できる凄い働き方がある



『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』クリスティーナ・ウォドキー 著、二木夢子 訳、及川卓也 解説

停滞した会社や部署の一念発起はたいてい悲惨な結果に終わる。突然、「PDCAを素早く回して圧倒的成長を遂げよう!」などと言い出す上司。面倒なルールや報告書を強要され、ただでさえ詰まり気味の業務が滞る部下。その様子を見て『まだ工夫が足りない』と勘違いする上司。そして部下は一層不可解なメソッドを押し付けられ……。彼らが本当に知るべきなのは小手先の技ではない。「目標と結果を適切に設定する方法」なのだ。

文/成田全


インテルやグーグルが実践する「OKR」とは?

 学生時代に抱いた夢を叶えるため起業し、会社の仲間を鼓舞しながらあちこちへ頭を下げ、毎日必死に働くスタートアップ企業のCEO。しかし思うようにならず、考えたことはことごとく上手く行かない。同じ目標へ向けて頑張っていたはずの仲間との関係もぎくしゃくし始め、そろそろ資金もショートしそうな危機的状況だ。

 ここで実績を作り、売上げをアップさせなければ、エンジェル投資家から良い返事はもらず、事業は行き詰まってしまう。そんな事態を打開するために教えられたのが「OKR」だった……『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』は、そんな実際にありそうなスタートアップ企業の物語から始まる(OKRを働き方改革に活かすには?及川卓也氏へのインタビューはこちら)。

 OKRとは「Objectives and Key Results」の略だ。目的を意味する「O=Objectives」と、主な結果である「KR=Key Results」を設定し、全員が一丸となって目的へ向かうというフレームワークだ。OKRはもともと「インテル」で始まったシステムで、これまでに「グーグル」、ソーシャルゲームメーカー「ジンガ」、ビジネス特化型SNS「リンクトイン」などで導入され、3人のスタートアップから6万人の大企業まで様々な会社で採用され、大きな成果をあげている。

 企業が成長するためには「目標」が必要だ。しかし「売り上げ◯%アップ」「顧客の倍増」といった数字だけの目標を設定するだけでは、目先のことにとらわれ、成長することができない。成長しないことは、スタートアップ企業では命取りになりかねない(本書にはスタートアップの約90%は失敗に終わるとある)。

 OKRでは「ヒット商品を出す」といったような成し遂げたいことを「O」として設定、「KR」に「売り上げ1万個」「リピーター率を50%にする」など、後々「O」が実現できたのかを判断するための具体的な数値目標を入れる。これを年単位や四半期単位で、また会社全体、部署、プロジェクトごと、そして個人などで設定することで、目先の数字に振り回されず、やる気が出て、生産性が断然上がる……というのだが、冒頭の物語に登場するスタートアップ企業で試みられた最初のOKRは大失敗に終わってしまう。

 コンサルタントである著者は、OKRを導入しようとするクライアントには必ず「最初は失敗しますよ」と警告しているという。これはいったいどういうことなのだろう?

失敗の理由はどこにある?

 OKRを初めて導入した会社では、楽に達成できそうな目標を設定してしまうことがあるという。もちろん達成はできる。しかしそれでは成長はない(本書では簡単な目標を「サンドバッグ」と呼ぶ。反撃されないし、いくら打ったところで何も変わらない)。その逆、到底無理な目標を設定してしまう企業もあるが、これは実力を正当に評価できていないから無茶をしてしまうことが原因だ(もちろん達成は無理)。そして最もよくある失敗パターンというのが、OKRを設定するだけして、達成できているのかどうかをこまめに検証せず、期末や年度末になってようやく見直すものの、まったく前進していないことに気づく、という状態だ(夏休みが始まる前の小学生の目標みたいだ)。

 OKRの成功に必要なこと、それは「ストレッチ・ゴール」の設定だ。ストレッチ・ゴールとは「難しいが達成が不可能ではないもの」を意味する。あまりに簡単な目標では得るものはない(もしくは少ない)し、あまりにハードな目標は端からやる気を削いでしまう。ではどのくらいまでストレッチすればいいのか? それは成功確率5割くらい、「ちょっと無理かも……でも、行けそう!」というレベルで設定すると上手く行くという。

 また成功する会社は「再挑戦」をするという。設定した条件の何が機能して、どこがダメだったのか、しっかりと検証をして精度を高めていく。「学ぶことが成功の肝」と筆者は記している。

難関は金曜日のウィン・セッション?

 OKR設定の前には、会社が何を目標とするか(ミッション・ステートメント)を定めることが必要となる。そして「O」は1つ、1ヵ月~四半期で実現できる、働く人を鼓舞するようなことを設定する。「KR」は難しいが達成が不可能ではないタスクを3つほど設定。月曜には会議を開いて優先事項を確認し、金曜には「ウィン・セッション(Win Session)」を開き、その週に達成したことを称え合うのだ(この場での嫌な話や小言はNG)。

 ただ日本人にはこのウィン・セッションが難関になるかもしれない。酒やスナックを楽しみながら皆で褒め合う、というのはなかなか難しいかもしれないが、連帯感を高め、会社が自分を必要としてくれていると思える場を大切にしてもらいたい。OKRを成功させるための細かなルールなどは、本書を読んで参考にするとよい。

 冒頭のスタートアップ企業は、最初の失敗を乗り越え、問題点を洗い出し、必要なことを考え、厳しい判断を下して、素晴らしい成果をあげるようになる。会社というのは社員を管理して、悪いところをあげつらったり、できないことを問い詰めるところではない。

 働く人一人ひとりの良い点を伸ばし、お互いを高め合っていける関係性を構築するため、あなたの会社でもぜひOKRを取り入れ、試行錯誤してほしい。その先には、必ず成長と成功があるだろう。

まだまだあります! 今月おすすめのビジネスブック

次のビジネスモデル、スマートな働き方、まだ見ぬ最新技術、etc... 今月ぜひとも押さえておきたい「おすすめビジネスブック」をスマートワーク総研がピックアップ!

『イラスト図解 スマート工場のしくみ IoT、AI、RPAで変わるモノづくり』(松林光男 監修、川上正伸、竹内芳久 著/日本実業出版社)

グローバル競争の生き残りをかけ、日本の製造業は工場のスマート化が急務です。「スマート工場」とは、工場のIoT化(工場内のセンサーや機器、設備などをインターネット接続する)やAI導入などを行ない、「工場の見える化」「工場のつながる化」を実現した工場です。スマート工場では人と機械が効率よく働き、生産性の高いモノづくりが可能になります。本書では、工場業務のシステムがスマート化で具体的にどう変わるのか、どう活かしていくのか、工場全体の業務についてくわしく解説します。(Amazon内容紹介より)

『クールワーカーズ 時間と場所に縛られず、専門性を売って稼ぐ人になる』(北村貴明 著/合同フォレスト)

少子高齢化・生産年齢人口減少へと向かう日本で、あなたはどう生きる? 日本の雇用問題解決のカギを握る、クールワーカーズ(Cool Workers)。それは、好きな仕事を、望む場所で行い、より多くの報酬を得る働き方を実現する、最強フリーランス。限りある人材を「雇用」という形で一つの会社が縛る時代は、終わりに近づいています。本書では今までにない、自由な働き方を生み出す仕組みと仕掛けを提案しています。近い将来到来する「必要なときに、必要なスキルを持っている人を、必要な期間だけ調達する」時代に向けて、売れるスキルを身に付けるためにはどうすべきか。時代は、雇用から契約へシフトする――。働き方革命、ここに始まる! これからの働き方に不安を覚える会社員、既にフリーランスで働く人、人材不足に悩む企業担当者にぜひお読みいただきたい一冊です。(Amazon内容紹介より)

『世界でいちばん働きがいのある会社』(マイケル C. ブッシュ&GPTW調査チーム 著、笹山裕子 訳/日経BP社)

日本の「働き方改革」はまだまだ甘い! 世界基準の「働きがい」の高め方をデータに基づいて教えます! 著者がCEOを務めるGPTW(グレート・プレイス・トゥ・ワーク)は、米国ではフォーチュン誌「働きがいのある会社100」の調査元として知られています。GPTWでは、世界で6000社以上の企業とそこで働く400万人以上の従業員を調査・分析し、従業員がどのような経験をすれば「働きがいのある会社」となるかに関して、豊富なデータを持っています(「働きがいのある会社」は業績もずば抜けて良いことがわかります)。本書では、そのデータ分析に基づき、世界レベルの「働きがいのある会社」とそれを率いる「全員型リーダー」のつくり方を指南します。また、日本語版特別章として、日本の実情に合わせて執筆した「日本の働き方改革の光と陰」も収載しています。(Amazon内容紹介より)

『プレイングマネジャー 「残業ゼロ」の仕事術』(小室淑恵 著/ダイヤモンド社)

2019年4月から罰則付きの残業規制がスタート。上からは「残業を減らせ」と言われ、現場からは「仕事は増えてるのに」と反発される。そんなプレイングマネジャーに贈る、自分もチームもラクして成果を出す43の具体策。900社で実証された、現場からの「働き方改革」決定版!(公式サイトより)

『ネットで「女性」に売る2 「欲しい」を「即買い!」につなげるホームページの基本原則』(こぼりあきこ 著/エムディエヌコーポレーション)

女性に商品やサービスを「売る」ためのホームページ・デザインのノウハウを解説する本。ここで言うデザインとは、色使いやレイアウトのことだけではありません。コンテンツ企画、コピーライティングなどを含め、ホームページという媒体を通じてお客様とのコミュニケーション全体を設計することです。女性ならではの思考や購買心理にもとづきながら、デザインのプロではなくとも実践できる具体的なノウハウを伝えます。(Amazon内容紹介より)

筆者プロフィール:成田全(ナリタタモツ)

1971年生まれ。大学卒業後、イベント制作、雑誌編集、漫画編集を経てフリー。インタビューや書評を中心に執筆。文学、漫画、映画、ドラマ、テレビ、芸能、お笑い、事件、自然科学、音楽、美術、地理、歴史、食、酒、社会、雑学など幅広いジャンルを横断した情報と知識を活かし、これまでに作家や芸能人、会社トップから一般人まで延べ1500人以上を取材。

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