ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第27回

使うほどに学習してユーザーの思い通りに書類整理するドキュメントスキャナーがスゴイ


PFU「ScanSnap iX1500」

「ペーパーレス化」が幾度となく叫ばれていますが、紙の書類は存在し続けており、デジタル業界でさえも資料を紙で配っています。完全なペーパーレス化の時代はずっと先の話。それを待つよりも、手軽にデジタル化する道具を導入して先にペーパーレス化しましょう。そこで今回は6年ぶりにフルモデルチェンジしたPFUの最新ドキュメントスキャナーをレビューします。

文/ジャイアン鈴木


スマホのようなユーザーインターフェースで直感的な操作が可能

「ScanSnap iX1500」はA4カラー文書を両面同時読み取り可能なドキュメントスキャナー。新機能の「手差しスキャン」モードに設定すればA3サイズの書類もスキャニング可能です(A3サイズ連続、サイズ混在の読み取りを実施する場合は、A3キャリアシートが必要)。今回の最大の進化点はタッチ対応カラー液晶ディスプレイを搭載したこと。まるでスマホのようなユーザーインターフェースで、直感的な操作が可能です。

PFU「ScanSnap iX1500」実売価格4万6000円前後

タッチ対応カラー液晶ディスプレイのサイズは4.3インチ。タッチ操作の感度は良好で、処理も待たされ感はありません

本体サイズは、トレイ収納時は292 × 161 × 152mm(幅×奥行き×高さ)、トレイ全開時は292 × 494 × 293mm(同)、重量は3.4kg。トレイを全開にすると大きくなりますが、後ろ方向にはあまり奥行きが広がらないので、フットプリント+約160mmのスペースがあれば設置可能です。あ、もちろん前面には空間があるという前提ですよ。

本体前面

上部トレイを開くと、4.3インチタッチ対応カラー液晶ディスプレイが現われます。なお本製品に電源ボタンはありません。トレイを開くと自動的に電源が入り、液晶ディスプレイに操作画面が表示されます。ちなみにスキャン開始までの時間はUSB接続時で2.9秒、Wi-Fi接続時で5.4秒です(クイックモードの場合)

本体背面には、電源端子とType-B形状のUSB 3.1 Gen 1端子が用意されています。USB端子はUSB 3.0、2.0、1.1にも対応しています

付属のACアダプター。スキャナー本体に内蔵していないのはちょっと邪魔ですが、万が一故障してもACアダプターのみを交換すればよいというメリットがあります

上部トレイ、前面トレイを完全に開くと、奥行きは161mmから494mmへと広がります。なお前面のトレイはスキャン済みの書類がこぼれないように、大きくカールした形状に変更されました

上部のボタンを押すと前面カバーが大きく開き、スキャナー内部にアクセス可能となります。読み込み時に紙が重なったり、スキャンしたデータに筋が入るようになったら、内部をクリーナーで清掃しましょう

独自機能の使い勝手は?

従来製品では設定をちょっと変更する際にもPC側のアプリを操作する必要がありましたが、今回タッチ対応液晶ディスプレイが搭載されたことによって、ScanSnap iX1500だけで多くの操作、設定が可能になりました。

「SCAN」の左にある「カラーモード設定」、「読み取り面設定」、「画質設定」ではスキャナーとしての基本設定を変更可能です

前の画面の右下にある「設定」アイコンをタップすると、「メンテナンス」、「スキャナー設定」、「Wi-Fi設定」などの設定が可能。「端末接続」では新たにPCやモバイル機器と接続するためのQRコードが、「ヘルプ」ではオンラインマニュアルにアクセスするためのQRコードが表示されます

スキャン時のプロファイルは自由に追加可能。追加したプロファイルのアイコンはScanSnap iX1500の液晶画面に表示され、またユーザーごとに色分けできます

PC用の管理アプリケーションとしては新開発の「ScanSnap Home」をWindows用、Mac用に用意。原稿の読み取り、閲覧、編集、管理、検索、アプリとの連携など多くの機能が統合されています。本アプリの売りが学習機能。スキャン履歴や認識した文字情報の修正履歴を蓄積し、「ファイル名修正アシスト」や「抽出データ修正アシスト」機能を利用可能です。

あまりに個人的なデータが蓄積されているので筆者自身のScanSnap Homeの画面はお見せできませんが、このサンプル画像のように取り込んだドキュメントは原稿種別、タグ、スキャン履歴などで分類され、またキーワードを入力することで目的の書類をすぐに見つけられます

スキャンしたデータを直接クラウドサービスにアップロードする「ScanSnap Cloud」というサービスも利用可能。「弥生会計」などの会計・個人資産管理、「Eight」などの名刺管理、「Dropbox」や「Evernote」などのドキュメント管理、「Googleフォト」などの写真管理クラウドサービスなどと連携できます。

スキャンしたデータにデバイスを問わず、またクラウドサービスを共有している複数のユーザーがアクセスできるのは、テレワークにピッタリの機能と言えます。

会計・個人資産管理は「Concur Expense」、「Dr.Wallet」、「クラウド会計ソフト freee」、「MFクラウド会計・確定申告」、「MJS」、「STREAMED」、「TKC証憑ストレージサービス」、「弥生会計・やよいの青色申告」、名刺管理は「Eight」、ドキュメント管理は「Box」、「Dropbox」、「Evernote」、「Google Drive」、「OneDrive」、写真管理は「Googleフォト」と非常に多くのクラウドサービスに対応しています

基本性能も向上した待ちに待っていた最新モデル!

もうすぐ確定申告シーズンが始まりますが、個人事業主の筆者はレシート類の整理にドキュメントスキャナーは必須装備。スマホ用にもドキュメントスキャナーアプリがリリースされていますが、膨大な書類のスキャニング用途に使うのは現実的ではありません。

30枚/分の高速スキャン、Wi-Fiが5GHz帯に対応したScanSnap iX1500は待ちに待っていた最新モデル。実は筆者の「ScanSnap S1500」も2011年来まだまだ現役なのですが、基本性能&使い勝手が大幅にアップグレードされたScanSnap iX1500は非常に魅力的な存在と言えます。

従来モデルのシルバーやブラックからイメージを一新してホワイトカラーを採用したScanSnap iX1500。黒づくしの筆者の部屋では逆にちょっと浮いて見えることだけが悩みの種です

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。