ニューノーマル世界のITビジネス戦略を探る #1 シスコシステムズ

DIS WORLD Digital Days 2021セミナー報告


2021年2月16日~19日まで、「ニューノーマルで変わるITビジネス。その影響と対策を学び、考える。」をテーマにDIS WORLD Digital Days 2021(主催:ダイワボウ情報システム)が開催された。ニューノーマルでITビジネスはどのように変わるのか? 注目のセッションを紹介する第一回は、初日のセミナーからシスコシステムズのKeynoteをピックアップする。


ビジネスレジリエントなハイブリッドワークの実現

初日のKeynoteでは、Cisco Systems,Inc.の会長兼チェアマンのチャック・ロビンス、アジアンパシフィックジャパン&チャイナCTOのディヴ・ウェスト氏、シスコシステムズ合同会社の中川いち朗代表役員執行社長が登場し、「多様性を尊重し共創する日本の未来のために」のテーマでオンラインに登場した。

チャック・ロビンス会長兼CEO

チャック・ロビンスCEOが挨拶に立ち、シスコの戦略とコミットメントについて、デジタル革新ではビジネスレリジエンス(復元力)が最優先事項だと語った。新型コロナウイルス下で、シスコはハイブリッドな働き方、生産性向上、事業継続性にますます注力し、俊敏なソリューション開発に取り組んでいく。「多様性を尊重し共創する未来」を実現していくことがシスコの目的で、日本市場に最大限コミットしていくと述べ、信頼されるテクノロジーを提供するパートナーを目指すとした。

ディヴ・ウェストCTO

続いて、ディヴ・ウェストCTOは、コロナ下でデジタルシフトのスピードが加速していることを指摘。在宅のリモートワーク、学校のデジタルラーニング、病院の遠隔診療など、さまざまな組織が生き残りと競合優位性獲得のために変化に取り組んでいるが、従来からの文化やプロセスが存在するために、変化は簡単ではないと述べた。変化を実現するためには、従来の通勤時間を、生産性を高める働き方に転換するハイブリッドなワークスタイルや、ユーザーエクスペリエンス(UX)とリターンを高めることが重要で、そのためにはデジタルに投資する変化の価値を見極めなければならない。ユーザーの課題解決の支援には「アプリケーションの再構築」、「データ保護」、「インフラストラクチャの変革」、「チームの可能性拡大」の4つの領域が重要だと述べた。

ビジネスレジリエントなハイブリッドワークを実現するためには「セキュアなリモートワークフォース」、「信頼できるワークプレイス」、「不確実性に対応し事業継続を支えるレジリエントなワークロード」の3つのエリアで実現する必要がある。そのためにセキュリティではVPNなしのゼロトラストネットワーク、シームレスなコンファレンスでリモートユーザーを守るDNA(Digital Network Architecture)スペースなど、シスコがオンプレミスとクラウドの接着剤の役割を果たすプラットフォームを提供する。

Webexはオンラインミーティングだけのツールではなく、新しい技術としてセキュアなプラットフォームで垂直統合を実現、タッチレスミーティングなどにも対応し、柔軟な働き方を支援するソリューション提供にコミットしていくとした。

ニューノーマルの世界は変化を志向する企業のビジネスチャンス

中川いち朗代表役員執行社長

ウェストCTOからバトンを受けた中川社長は、日本におけるニューノーマルに向けたシスコの取り組みを紹介した。ネガティブな情報とポジティブな情報が錯綜して混とんとする中、元の世界には戻らないためニューノーマルへの対応が必要だが、変化を志向する企業にとってはニューノーマルな世界はチャンスだと述べた。

シスコジャパンは来年で30周年を迎えるが、早くから働き方改革に取り組み「グレートプレーストゥーワーク」日本一として表彰されている。働き方改革はツールの採用だけでなく社員が自主的に取り組み協業する企業カルチャーが不可欠だ。今回の講演テーマである「多様性を尊重し共創する日本の未来のために」は、すでにシスコ社員のDNAになっている。

シスコジャパンはパーパスとして「多様性を尊重し共創する日本の未来のために」を、ビジョンとして「チーム全員の想いの力を最大化し、人々の仕事、暮らし、楽しみ、学習の仕方を変革していく」を掲げている。その実現のための3つの戦略として「セキュアプラットフォームの提供」「企業のニューノーマル対応、DX対応の支援」「社会のデジタイゼーション(Society5.0)支援」を推進している。

マルチアクセス環境をシームレスに利用できるよう提供するプラットフォームにより、生産性向上に貢献する。そしてマルチクラウド環境下でアプリケーション利用に最適化したITインフラを提供する。最後にインテント(意図)ベースにインフラを統合管理し、運用変更と自動設定を可能にする。シスコとダイワボウ情報システムはこの実現のために、連携して新しいパッケージソリューション「楽々テレワークパッケージ」の提供を2021年1月に開始している。

シスコは5Gへのデジタル連携に取り組んでいる

シスコジャパンは日本社会のデジタイゼーション支援については、日本でニューノーマル対応の6つのイニシアティブ(注力分野)を進めている。その中のひとつ、5G投資は企業のDX実現のインフラとして、2020年11月に世界初となる「シスコ5Gショーケース」をオープンし、5Gインフラをエンドトゥーエンドで、ユースケースとマルチアクセスを実現したパートナーとの創造の場として提供している。5Gを駆使したDX推進を支援していくと結んだ。