プレゼンの達人にはなれなくても

世の中には、「プレゼンの達人」と呼ばれる人がいる。例えば、大手IT企業でエバンジェリスト(伝道者)という肩書きを持つ人たちは、プレゼンテーションのスペシャリストだ。彼らはさまざまなテクニックを持っていて、説得力溢れるプレゼンを行う。展示会のセミナーなどで、そうした見事なセッションを体験したことのある人も多いだろう。

一方で、「プレゼン音痴」とまでは言われなくとも、プレゼンテーションに苦手意識を持っている人も少なくない。多くの場合プレゼンは対面で行うため、相手の反応がはっきりわかる。自分の説明がうまく届いていないことや、相手が納得していないことがわかってしまい、苦手意識のスパイラルに落ち込んでしまうことも珍しくない。

だが、仕事にプレゼンはつきものだ。ビジネスを進めるためには、作成した資料を元に社内外の説得を試みなくてはならない。このため、自身のプレゼン能力を改善していくことは、仕事上絶対に必要なスキルアップだ。

では、どうすればプレゼン能力が改善できるだろう? プレゼンがうまくいかない理由としては以下のものが考えられる。

① 資料(スライド)の作り方がよくわからない
② スライドが印象的でない
③ プレゼンのやり方がわからない


これらの課題にあわせて解決策を考えていかないといけないわけだが、ノーヒントで努力する必要はない。PCでプレゼン資料を作成するときほとんどの人が利用するPowerPointには、これらの課題を解決するためのヒントとなる機能が多数備わっている。そうした機能を知ることで、「プレゼン音痴」を克服していけるはずだ。スマートワーク総研では、戸田覚氏の連載「Microsoft 365で業務効率アップ!」「週間ジバラ」などの記事で、こうした課題に役立つ機能を紹介している。課題別に対応する記事を紹介していこう。

スライドの作り方がよくわからないならデザインアイデアを活用しよう

PowerPointで作ったスライドがわかりにくいと思われてしまう場合、スライド一枚一枚がバラバラに作られていて資料全体に統一感がないことが多い。個別にスライドパターンを考えていくとこうした事態に陥りがちなので、デザインアイデアを使って色味やフォントなど全体の統一感を意識して全体を通しで一回作ってみよう。会社や部署でのテンプレートがある場合も、一度こうした作りを体験して資料の一般的な全体構造を把握しておくことをお勧めする。

デザインアイデアを使用すれば統一感のあるスライドが作成できる

デザインアイデアを使用すれば統一感のあるスライドが作成できる

資料作成の流れをつかんだ上で、さまざまなスライド作成技法に挑戦していこう。スライドの見せ方については、本当に多種多様なスライド技法が紹介されている。その中から自分のプレゼン目的などにマッチした方法を選択し、スライドを作成していくのがいいだろう。戸田覚氏も説明時間を1枚3分に設定してスライドを作成する方法と1枚を10秒以下でめくっていく秒速プレゼンテーションという対照的な技法を紹介している。

スライドが印象的でないなら強烈な1枚を作ろう

安定して見てもらえるスライド作成が可能になったら、次に、インパクト勝負のプレゼン技法を身につける必要がある。特に社外向けプレゼンで、コンペ形式で競合者がいる場合、スライドの視覚面でも、相手よりインパクトを与え、印象を残したい。

ビジュアル面が弱いならばストックフォトを使う方法や、3Dモデルを使用する方法がある。今や普通に撮影しているスマホのビデオをパワポに貼り付けるのもいい。データを強調したいのであれば、グラフに注目してもらわなくてはならない。Excelで作った標準的なグラフは皆使うので、似たり寄ったりに見えてしまう。そこで、グラフをアニメーションにする技法が効果的だろう。

ただし、こうした強力なインパクトは要所要所で使用するのがコツだ。スライドをめくるたびにビックリさせていてはプレゼンにならない。プレゼン冒頭で注目させるために使うか、全体の中でも特別に覚えてほしい1枚に使用することで、何を訴えたいのかを明確にするのがいいだろう。

ストックフォトの利用はグラフィック強化につながる

ストックフォトの利用はグラフィック強化につながる

プレゼンのやり方がわからないなら、もっとパワポに頼ろう

自分を話し下手と感じている人は一定数いる。確かに同じスライドを使っても、話し手次第で伝わり方には大きな差が生じてしまう。かと言って、話し方教室に通う時間的な余裕はない。そんな時に役立つのが、PowerPointが持っているさまざまなプレゼンのサポート機能だ。

まず基本となるのは、ノート機能だ。プレゼンの視聴者側には見えないスライドのノート部分に話す内容や話す上での注意点をきちんとまとめておくことは重要だ。その他にも、次のスライドを見ながら話せる発表者ツールを使用したり、 声が聞き取りづらいと言われる人は字幕機能を使ったりするのもいいだろう。人前であがってしまう人は録画機能で音声も入れたスライドを用意しておくという荒技もある。また、少し上級のテクになるが、あらかじめ作成しておいたプレゼンに手書きで注目ポイントに丸をつけたり、重要な数字を強調したりなどしながらプレゼンを行う方法もある。いろいろ試して、自分に合った手法を取り入れていってほしい。

こうしたさまざまなPowerPointの技法を利用していく上で、もちろん前提として、要望に沿ったプレゼンを行う必要がある。社外に向けての提案なら、オリエンシートや要件定義書の内容を網羅し、個々の要望にしっかり応えた提案になっているかどうかきちんと点検しよう。社内向けなら予算や人員面など社内の具体的な実情に即しているかどうかのチェックも必要になる。プレゼンは相手に納得してもらえるものでなくてはならない。スライドはそれをわかりやすくするために作成する。プレゼンを成功に導くには、事前準備がどうしても重要になるのだ。

PowerPointのデザインアイデアを活用しよう(1) https://swri.jp/article/709
スライドの説明時間は1枚3分の黄金則(1) https://swri.jp/article/462
PowerPoint「秒速プレゼンテーション」のすすめ(1) https://swri.jp/article/666

PowerPointで素晴らしいストックフォトを使おう(1)https://swri.jp/article/867
3Dモデルで見たことのないパワポのスライドを作る https://swri.jp/article/616
パワポのスライドにスマホのビデオを貼り付けよう(1)https://swri.jp/article/640
注目度UP PowerPointのグラフをアニメーションする(1) https://swri.jp/article/568

【超基本】PowerPointのノート機能を使おう https://swri.jp/article/1115
PowerPointの発表者ツールを使いこなす https://swri.jp/article/1116
とてもわかりやすいパワポスライドの字幕機能を使おう https://swri.jp/article/996
PowerPointのプレゼンを録画する(1) https://swri.jp/article/693
PowerPointのプレゼンに手書きが効果絶大 https://swri.jp/article/622

著者プロフィール

狐塚 淳(こづか じゅん)

スマートワーク総研編集長。コンピュータ系出版社の雑誌・書籍編集長を経て、フリーランスに。インプレス等の雑誌記事を執筆しながら、キャリア系の週刊メールマガジン編集、外資ベンダーのプレスリリース作成、ホワイトペーパーやオウンドメディアなど幅広くICT系のコンテンツ作成に携わる。現在の中心テーマは、スマートワーク、AI、ロボティクス、IoT、クラウド、データセンターなど。